地元にオーケストラがやって来た 〜7年ぶりのN響甲府公演〜
3月14日、我が地元である山梨・甲府にNHK交響楽団がやって来た。(noteタイトルは、かつて山本直純さんが司会を務めた伝説的音楽番組のタイトルにかけてみたり)
自分自身が高校生の時以来7年ぶりの甲府公演となった。(前回は2014年3月)
地元にプロオーケストラの無い山梨の住人にとってはまたとない機会である。そのためか自分が思っていたよりはるかにチケットの売れ行きが良く、自分がチケットを取ったときには(恐らく)最後の一枚だった。そうしたこともあり当日は完売。しかしながら、コロナ対策ということで1席空けた市松模様の座席配置。
今回の指揮は、ドイツを中心に活躍するマエストロ キンボー・イシイ。そしてソリストにはヴァイオリンの松田理奈。
王道の名曲プログラム
プログラムは、普段東京での定期公演ではなかなかお目にかかれないような、ある意味王道の名曲プログラム。
冒頭のフィガロの結婚序曲から爽快感と美しさを兼ね備えたこれぞN響!と思わせてくれる演奏で華々しく幕開け。
松田理奈さんをソリストに迎えた、メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲。最初は音量が小さいかな…?と感じたが、曲が進むに連れて軌道に乗ってきたように見え、曲が終わる頃には音量の小ささを忘れ去るような圧巻の音色を堪能させて頂いた。しっとりと深くまろやかで芳醇な音色が印象的。
大熱演の名演を生み出したキンボー・イシイのベト7
休憩を挟み、後半はベートーヴェンの交響曲第7番。十数年前に人気を博した、のだめカンタービレで一躍有名になった曲だ。
正直なところ、聴く前までは"まぁN響だから安定感ある演奏なんだろうなぁ"くらいの軽い気持ちでいた。
ところがこれが期待以上の大熱演であり名演だった!マエストロのキレのある俊敏なタクトに、果敢に挑んでいくN響の面々。その両者の化学反応によって生み出された大熱演と言える圧倒される演奏!昨年のベートーヴェン生誕250周年の年にはコロナ禍の自粛生活により、ベートーヴェン作品を生で聴く機会が殆ど無かったこともあり、この熱演には大満足だった。
大熱演のイメージを重ね合わせるならば、かつての名指揮者 カルロス・クライバーが指揮した同曲の演奏に近いような感覚になった。(是非リンクのYoutubeを合わせて観てもらいたい)
今回の指揮者 キンボー・イシイは、名前は以前から存じていたものの、実演に触れるのは今回が初めてだった。かつて大阪交響楽団の首席客演指揮者のポストを務めた経歴があるが、日本のプロオーケストラへの客演はそこまで多くはなく、どんな指揮者であるかが自分自身正直なところ無知であった。そのためあまり期待していなかったが、それが全ての間違いだった。
こんなにも盛り上がる熱量のある演奏を引き出してくれるマエストロだったとは…!
彼をもっと日本のプロオーケストラの指揮台に起用してほしいと思うし、日本での活躍をさらに期待したい。