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ネコ

嘘のようなホントの出来事が起こった。それは日曜日の朝から始まった。

朝方何時か分からないような明け方に、ネコの声がした…ような気がする。確信はないけどそれはでも、確かにしたと思う。だが、我が家はマンションの10階。動物はほとんど来ない。というより飼ってるペット以外はいない。私の頭の中では「私が寝ぼけてるだけ?空耳?」「いや、でも絶対ネコの声したよな?」「え、もしかして人間の赤ちゃん?!」というような色んな会話が繰り広げられた。
その日はそのまま、とりあえず聞かなかったことにしておいた。

だが、その日の夜、寝ようとベッドに入るとまた「アーンアーングググアーン」というような鳴き声が聞こえた。「え、やっぱり赤ちゃん?」「そんなわけないよな。誰かのイタズラ?」「いや、ん?やっぱりこれはネコだわ。」という会話が繰り広げながらネコという確信がついた。とはいえ、どこに?!どうやって?どうしてここに?という疑問だらけ。

家族全員ネコの声なんて聞いてなかった。だから、余計に怖かった。

翌朝、父に玄関を見てもらった。(赤ちゃん出てきたら怖いから自分ではいかなかった笑)そしたらなんと!やっぱり?ネコがいたのだ。しかも、玄関の天井の裏に。え?なんで?どうしてここに?どうやって来た?疑問はこればかり。

さっそく、もう仕事に行っていた母に報告。すると、「えーーなんでー?どうして?どうするの?どっかの飼い猫?返した方がいいんじゃない?」とLINEが来たが、誰も正解は分からない。し、みんな同じ疑問抱いております。という感じだった。

その晩、家族でネコをどうするか会議が開かれた。私も母もネコが大好きだ。でも、飼える環境は我が家にはない。だけど、保健所には絶対送りたくない。どうする?じゃあ、保護猫センターに翌朝相談して、保護してもらおう!という話に落ち着いた。そこまではいいんだが、保護猫センターってどこにあるの?ってなり、調べてもイマイチ分からず…
そこで思いついたのが、友達に里親になって保護猫を飼っている子がいたから、その家にどこの保護センターを利用したか聞いてみて、そこに相談してみよう。という話になった。

さっそく、事情を説明してLINE。すると、まさかの返信が。なんと!「家のネコが今10日間家出していないんだよね」と。我が家騒然。なんせ、その友達が飼っていたネコと我が家の玄関の天井の裏にいるネコはそっくりだったから。絶対その子じゃん。22:00。おそらく我が家と友達の家2つの家が大騒ぎになっていた。「教えてくれてありがとう」と返信するはずが、「今すぐ来なよ」が次の返信になってた。

22:15友達到着。ネコと人間の知恵較べのスタートだった。極寒。初雪の日。
天井の裏のネコは一向に動く気配なし。ですよね〜と思いつつ、じゃあどうする?って話になり、とりあえず、捕獲器をセットすることに。23:30捕獲器セット完了。ちょうどパルシステムの発泡スチロールがあったから、それで周りをガード。これで次の日かかってたらいいなぁと思いつつ、その日は「じゃ、また明日!」って別れた。

次の日、朝様子を見に行ったらなんと、ちゃんと捕獲器の中にいたのだ。びっくりするくらい落ち着いてて全然気がつかなかった。結果無事友達の家に戻って行った我が家の迷いネコ。

不思議なポイントは本当に多い。だって、友達の家と私の家は山ひとつ挟んだ位置にあるからだ。まず、その山を超えて私の住んでいる団地に来た。そして、この団地にはマンションが多く立ち、約720世帯が住んでいる。なのに、私の住んでいるマンションを選び、さらに、10階までやってきた。10階まで来ても、10階には15世帯くらい住んでいるし、我が家はエレベーターからも非常階段からもそんなに近くない。なのに、なぜ我が家?!720分の1で友達の家のネコは我が家に来たのだ。

そして、友達の家のネコだと判明したその日は初雪の日。ネコの名前は「雪ちゃん」。

もしかしたら、雪ちゃんには全てが分かっていたのかもしれない。こうなることが必然かのように。
我が家に来てくれてありがとう。

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