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宇宙の話をしよう

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小野雅裕 著『宇宙の話をしよう Tales of the Cosmic Voyage』 本書の紹介と連載には制作段階のものもあり、出版される前のイラストが見ることができる特典付き… もっと読む
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宇宙小話(8)〜どうして木星と土星の大接近は400年ぶりだったの?/どうして新月のたびに日食が起きないの?

宇宙小話(8)〜どうして木星と土星の大接近は400年ぶりだったの?/どうして新月のたびに日食が起きないの?

先週の木星と土星の大接近(だいせっきん)、見ましたか?ふたつの惑星(わくせい)が望遠鏡(ぼうえんきょう)の視野(しや)に並んで見えるほどに夜空で近づきました!これほど近づいたのはおよそ400年ぶりとのこと。次は60年後です。

でもちょっとまって!これを聞いて、宇宙っ子は何かを疑問(ぎもん)に思いませんでしたか?

僕は子供のころ、似た疑問を持ったことがあります。日食や月食の仕組みを聞いたとき、ど

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宇宙小話(7)〜中国の宇宙開発史/中国のロケットの父・銭学森

宇宙小話(7)〜中国の宇宙開発史/中国のロケットの父・銭学森

嫦娥5号による44年ぶりの月サンプルリターンの成功は世界中で大きなニュースになりました。中国の宇宙開発は国主導のプロジェクトだけではなく、民間も非常に勢いがあります。3つしかない有人宇宙飛行を成功させた国の一つでもあります。

中国の宇宙開発は長い歴史があります。『宇宙の話をしよう』ではロシア、アメリカ、ドイツ、日本の「ロケットの父」を取り上げましたが、中国にも「ロケットの父」と呼ばれる人がいまし

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宇宙小話(4)〜日本の惑星探査の世界での立ち位置

宇宙小話(4)〜日本の惑星探査の世界での立ち位置

最近は「日本の〇〇が世界に絶賛(ぜっさん)された!」と自画自賛(じがじさん)する話をよく目にしますが、多くは誇張(こちょう)が入っています。

しかし、はやぶさは決して誇張ではありません。アメリカの独断場(どくだんば)である惑星探査(わくせいたんさ)において、世界ではじめて小惑星(しょうわくせい)からのサンプルリターンを成功させた功績(こうせき)は強い存在感を放っています。

もちろん、一般(いっ

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宇宙小話(3)〜小惑星のサンプルから何がわかるの?

宇宙小話(3)〜小惑星のサンプルから何がわかるの?

きのうのはやぶさ2の帰還(きかん)、見ましたか?ロサンゼルスは朝だったのですが、手に汗(あせ)握(にぎ)って見ていました!

なぜサンプルリターンが重要(じゅうよう)かは、宇宙小話の一回目に書いた通りです。では、はやぶさ2が持って帰ってきたサンプルから何が分かるのでしょう?

地球もリュウグウも同じ太陽系の兄弟星。それなのに、リュウグウの石には、地球の石にはない何かがあるのでしょうか?

この質問

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宇宙小話(5)〜彗星の一生と流星群

宇宙小話(5)〜彗星の一生と流星群

今晩はふたご座(ざ)流星群(りゅうせいぐん)の夜ですね。明るい流れ星が多く、都会(とかい)からでも簡単(かんたん)に見ることができます。

そこで、流れ星を待つのが少しだけ楽しくなる小話をしましょう。

実は、流星群の流れ星の生まれ故郷(こきょう)は、海王星よりも遠い太陽系の果てにあるって知っていましたか?

遠く遠く、海王星よりも遠くには、小惑星(しょうわくせい)がたくさんあります。火星と木星の

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宇宙小話(6)〜どうして流星群は輻射点から放射状に流れるの?

宇宙小話(6)〜どうして流星群は輻射点から放射状に流れるの?

昨晩のふたご座流星群、見れましたか?僕は1時間で10個ほど見えました!

流星群の流れ星は空のどこにでも現れますが、必ず「輻射点」(または放射点)と呼ばれる点から放射状に流れます。きのうの流星群は輻射点がふたご座にあったので「ふたご座流星群」と呼ばれるのですね。

では、なぜそのような流れ方をするのでしょう?

前回の宇宙小話で、流星群は彗星が残していったチリが地球に飛び込んで流れ星になると書きま

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宇宙小話(2)〜はやぶさ2はどうして行きは3年半かかったのに帰りは1年なの?

宇宙小話(2)〜はやぶさ2はどうして行きは3年半かかったのに帰りは1年なの?

はやぶさ2は2014年12月に打ち上げられ、3年半かけて小惑星(しょうわくせい)リュウグウに到着しました。

(画像:JAXA)

しかし帰りは2019年11月に出発し2020年12月に地球帰還(きかん)ですから、1年ちょっとしかかかっていません。

どうして行きと帰りで、こんなにかかる時間が違うのでしょうか?東京から大阪へは3時間半だけれども大阪から東京へは1時間で行ける、なんていうことはありま

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宇宙小話(1)〜どうしてサンプルリターンが大事なの?

宇宙小話(1)〜どうしてサンプルリターンが大事なの?

(アイキャッチ画像:DLR German Aerospace Center )

子どもも大人も楽しめる宇宙小話(うちゅうこばなし)を、ここに書いていこうと思います。不定期に、気のおもむくままに。

もうすぐはやぶさ2が地球に帰ってきますね!小惑星(しょうわくせい)の石を持って帰ってきます。このように、ほかの天体の砂、石や空気、液体などを地球に持って帰ってくることを「サンプルリターン」といいます。

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宇宙の話をしよう コラム15

宇宙の話をしよう コラム15

小野さんの新刊『宇宙の話をしよう』がついに11月20日に発売されます!発売前にいち早く本の内容をお届けするこのコーナー、今月は「日本のロケットの父」と呼ばれ、はやぶさが着陸した小惑星の名にもなった、糸川博士についてです。

『宇宙の話をしよう』の先行予約は隆祥館書店およびアマゾンで受け付けています!

宇宙の話をしよう コラム1

宇宙の話をしよう コラム1



お知らせ
9/19(土)12:00〜 「宇宙の話をしよう」小野雅裕 著-SBクリエイティブ- を隆祥館書店にて予約開始いたします!!お近くの方は、ぜひ、お問合せください。Amazonでも、同時予約開始!!

宇宙の話をしよう 連載7

宇宙の話をしよう 連載7

第7章 宇宙はどこにある?

ロサンゼルスに珍しく雨がしとしとと降る日、パパが車でミーちゃんを小学校に迎えに行くと、ミーちゃんはすでに門のところで待っていた。車を見つけるとミーちゃんは全力ダッシュで走ってきて、車に乗るなりまくし立てた。

「もぉーーっ、来るのが遅いよ、ずぶ濡れじゃん!!!聞いて!!!今日ずっと考えてたんだけどさ」
「おう、なあに?好きな人ができた?」
「あのね、年頃のレディにそん

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宇宙の話をしよう 連載6

宇宙の話をしよう 連載6

前回までのあらすじ
宇宙と恐竜が大好きな12歳のミーちゃんがは、友達に「変人」と呼ばれ落ち込んでいた。仕事から帰ってきたパパは一冊の古い本をミーちゃんに渡す。ジュール・ベルヌの古典SF小説『地球から月へ』だった。そして、変人と呼ばれた子どもたちが「ロケットの父」となり、宇宙時代を切り拓いていったことをミーちゃんに説明する。ミーちゃんは少しずつ元気を取り戻していく。

第6章 頑固な変人が未来を創る

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宇宙の話をしよう 連載5

宇宙の話をしよう 連載5

前回までのあらすじ
宇宙と恐竜が大好きな12歳のミーちゃんがは、友達に「変人」と呼ばれ落ち込んでいた。仕事から帰ってきたパパは一冊の古い本をミーちゃんに渡す。ジュール・ベルヌの古典SF小説『地球から月へ』だった。そして、変人と呼ばれた子どもたちが「ロケットの父」となり、宇宙時代を切り拓いていったことをミーちゃんに説明する。ミーちゃんは少しずつ元気を取り戻していく。

第5章 ロケットは「時代遅れの

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宇宙の話をしよう 連載4

宇宙の話をしよう 連載4

前回までのあらすじ
宇宙と恐竜が大好きな12歳のミーちゃんがは、友達に「変人」と呼ばれ落ち込んでいた。仕事から帰ってきたパパは一冊の古い本をミーちゃんに渡す。ジュール・ベルヌの古典SF小説『地球から月へ』だった。そして、変人と呼ばれた子どもたちが「ロケットの父」となり、宇宙時代を切り拓いていったことをミーちゃんに説明する。

第4章 「カルーガの変人」が編み出したロケット方程式
パパが着替えるため

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