阪神タイガース 2023シーズン通信簿 投手編
・A評価
①村上頌樹(25)
22登板 144.1回 防御率1.75
10勝6敗 137奪三振 war5.2
獲得タイトル→MVP 新人王 最優秀防御率
伸びのあるストレートを主体に、今季初先発となった巨人戦での7回完全投球やその後の第2先発では9回完封勝利で鮮烈デビューを飾った後もシーズンを通してタイガースを牽引し、ポストシーズンでも山本由伸に投げ勝つなど終始大暴れした若きエースには文句無しの最高評価です。
②伊藤将司(27)
21登板 146.2回 防御率2.39
10勝5敗 91奪三振 war3.7
安定感の塊という投手。イニングイーターとしてもゲームメイカーとしても群を抜いており、緩急を駆使していく姿は達人のそれ。ルーキーイヤーから3年連続で安定して成績を残しており、信頼度は現ローテでも最高クラス。
③大竹耕太郎(28)
21試合 131.2回 防御率2.26
12勝2敗 82奪三振 war3.3
今季現役ドラフトでソフトバンクから加入した中堅左腕。抜群のコントロールを誇り、女房役の坂本との最高の相性で全ての面で自己キャリアハイを記録。日本シリーズでもソロでの失点のみの5回1失点と持ち味を出して日本一に最後まで貢献しました。
④岩崎優(32)
60試合 56回 防御率1.77
3勝3敗 15HP 35セーブ 62奪三振 war1.1
獲得タイトル→最多セーブ
現役10年を超えるベテラン左腕。今季は中継ぎでスタートも、守護神の湯浅の不振と怪我により配置転換。そこからは神がかりのピッチングで幾度となくセーブを積み重ね、遂に今年初のセーブ王のタイトルを受賞しました。日本一を決めた試合やリーグ優勝を決めた試合での不要な被弾もありましたが、今季1年間フル稼働した左腕には敬意を払わざるを得ません。
・A-評価
①才木浩人(25)
19登板 118.2回 防御率1.82
8勝5敗 107奪三振 war2.9
昨季復活を遂げた大型右腕。今季は大谷に2ホームランを打たれるなど劇的な幕開けでしたが、シーズンを通して安定したピッチングを披露。佐々木朗希に投げ勝ったり、日本一を決める試合だったりと印象的な活躍も多かった一方でローテの間で何度か2軍落ちをしたりするなどスタミナ面での未熟さが露呈していたので、来季はそこを含めて完全体になって欲しいです。
② 加治屋蓮(32)
51試合 38.2回 防御率2.56
1勝5敗 32奪三振 war0.3
火消し役としてフル回転した中堅右腕。鋭いフォークを武器に4月と5月を自責0で乗り切るなど凄まじい活躍でしたが、7月に調子を落とした(防御率7.71)ものの、最後に調子を再び上げてチームに貢献したのはプラス評価です。
③桐敷拓馬(24)
27試合 40.1回 防御率1.79
2勝0敗 40奪三振 war0.9
「スペードのエース」として、フレッシュオールスター後に1軍に定着した若手左腕。最速151㌔のストレートを軸にあらゆる場面で後半戦の台所事情を支えました。来年はもっとタフな役割になると思うので変わらず成績を残して欲しい所。
④島本浩也(30)
35試合 26.2回 防御率1.69
4勝2敗 20奪三振 war0.6
不死鳥の様に復活してきた左腕。大車輪の活躍だった19年から手術を経て昨年復帰。今年はそれ以上にタフな火消しで登板し、阪神中継ぎ陣の中でもトップに安定していました。年々奪三振能力が低くなっているのは怖いですが、基本的にランナーすら出さない投手なので来年も好成績を残すことを期待しています。
⑤石井大智(26)
44試合 40回 防御率1.35
1勝1敗 29奪三振 war0.5
質のいいストレートを武器に戦う若手中継ぎ。プロ初登板の雪辱とは打って変わり昨季から好成績を残しており、今季は困ったら出てくる便利屋の様な存在で数字以上に活躍した印象。意外とランナーを出す上に三振は少ないので、少しハラハラさせるので少し怖いのが本音ですが、数字と貢献度は素晴らしいのでA評価です。
・B評価
①ジェレミー・ビーズリー(28)
18登板 41回 防御率2.20
1勝2敗 43奪三振 war1.2
高い奪三振能力を誇る超大型右腕。開幕を中継ぎで迎えるも途中で先発に配置転換。両方でそれなりのピッチングを見せ、チーム投手5位のwar1.2を記録。個人的にいつ見ても笑顔な所や、帰国時の「来年はなるべく多くのイニングを投げる」等の先発に対する意欲からメッセンジャーと被り応援したい選手のうちの1人です。
②カイル・ケラー(30)
27試合 26.1回 防御率1.71
1勝0敗 28奪三振 war0.2
昨年の開幕戦で阪神ファンの魂を破壊した男ですが、今季はランナー自体は出すものの点は取られない安定したピッチングを披露。調子を上げてきた8月に家庭の事情を余儀なくされ帰国。そのままシーズンエンドににってしまいました。来年の再契約は無く、日米の争奪戦が予想されています。
③岩貞祐太(32)
50試合 43.1回 防御率2.70
1勝0敗 30奪三振 war0.6
長い事チームを支える元ドラ1左腕。期待値が高いと打たれ、期待値が低いと完璧の抑える謎の存在でしたが、9月以外は安定した成績を残しました。1軍定着後最低の奪三振率になったものの、メンターとしても評価できる点も含めて頼れるベテランであることには変わりません。
④西勇輝(33)
18試合 108.1回 防御率3.57
8勝5敗 56奪三振 war1.0
イニングイーターとして高い評価を得るベテラン右腕でしたが、今季は開幕から不調。7月までは見ていて不快な投球を続けていましたが、2軍落ちを経て8月から成績が急上昇。特に9月は3試合で防御率0.78 3勝0敗とチームを牽引。日本シリーズでは第2戦で炎上してしまいましたが、6戦目はロングリリーフでチームに貢献するなどベテランの意地を見せた印象でした。加齢による衰えもあるでしょうが、まだまだ第一線に居続けて欲しいです。
⑤及川雅貴(22)
33登板 36.1回 防御率2.23
3勝1敗 40奪三振 war0.6
高校時代からその名を野球ファンの間に轟かしていた剛腕左腕。高卒ながらも1軍定着すぐから主に中継ぎで三振の取れるリリーバーとして活躍し、今季遂に侍ジャパンに選ばれる程の投手になりました。6月に少し荒れた程度で彼も基本は安定しまくり、各種スタッツも年々上昇してる投手なので来年の更なる飛躍に期待でしょう。
・B -評価
①コルテン・ブルワー(31)
13登板 11.1回 防御率2.38
0勝1敗 14奪三振 war0.2
ビーズリー同様高い奪三振能力を持つ中堅外国人。シーズン途中に入団し、安定した成績を残しましたが、ベンチを外れた日本一後にインスタで「リリーバーを欲しているチームはDMをしてください」という明らかに水を差す様な投稿を上げて物議を醸しました。再契約はしないらしいですが、最後の喧嘩別れ的なサヨナラはファンとして物悲しいものがあります。
②西純矢(22)
17試合 72.1回 防御率3.86
5勝2敗 45奪三振 war0.3
投打にセンスが光る若手右腕。Twitterでの件やスタイルの割に低い奪三振能力、シーズン序盤と末期の不安定な投球など色々惜しい選手で、中々殻を破れない印象です。他の強力投手陣の中でもかなりのポテンシャルを持っている投手だけに覚醒に期待です。
③岡留英貴(24)
8試合 7回 防御率1.29
1勝0敗 6奪三振 war0.2
今季シーズン途中に昇格したものの、層に埋もれて中々投球機会を得られませんでしたが、その数少ない機会でも四球、自責が共に1と内容も完璧で来年以降の活躍に期待です。
④馬場皐輔(28)
19試合 22回 防御率2.45
2勝1敗 22奪三振 war0.1
首元が涼しくなってきた元ドラ1。155㌔のストレートに14色の変化球と言われたカタログとは大分変わってきましたが、今季久しぶりに1軍で好成績を残したのは本人に取ってもプラス材料でしょう。正直現役ドラフトに出される可能性が高そうですが、来年のチームがどこになっても頑張って欲しいです。
・C評価
①青柳晃洋(29)
18試合 100.1回 防御率4.57
8勝6敗 64奪三振 war1.0
ここ2年阪神のエースだった変則右腕も今年は大不振。4月5月の2月を共に防御率6点以上で過ごし、その後少し持ち直すも、またレギュラーシーズン終盤に荒れて終わりと散々な1年でした。日本シリーズの第7戦の好投など、終わってみればそれなりに見れない数字ではあるものの、全てにおいてキャリア最低の数字で、岡田阪神の中でもトップに計算外な成績であったに違いないでしょう。来年の復活を西勇輝と共に期待しています。
②門別啓人(19)
2試合 8回 防御率3.38
0勝0敗 5奪三振 war0.1
現在の阪神の2軍で最も期待されていると言っても過言では無い若手左腕。2軍でも12試合を投げて55回で防御率2.78と十分な成績を残しており、岡田監督や他の解説者からも大絶賛の逸材です。阪神投手陣の層の厚さを20やそこらの年齢で超えるのはかなり難しい事になるでしょうが、それを可能にするだけの能力は既にあると思うので頑張って欲しいです。
③湯浅京己(24)
15試合 14.1回 防御率4.40
0勝2敗 15奪三振 war-0.1
侍ジャパンにも選ばれた剛腕中継ぎ。今季序盤は昨年と変わらず安定した投球で守護神の任を全うしていましたが、6月から故障もあって豹変。楽天戦でのサヨナラホームランや、オリックス戦での2者連続ホームランは本人もつい涙を浮かべる程。ただ日本シリーズで復帰した際の2戦目には1回を2奪三振を含むパーフェクトリリーフを見せた事もあって、来年の復活を見たいファンもかなり多いはず。岡田監督も「湯浅の復活が最大の補強」と言う通り、変なマイナーリーガーを取るよりも彼の方が様々な点で大きなプラスを見込めるので、来季は是非アツアツな制圧を期待しています。
④ 富田蓮(22)
9試合 16回 防御率4.50
1勝2敗 10奪三振 war0.0
高校から社卒の経歴を持つ左腕は今季1年目ながら、侍ジャパンとの壮行試合にも召集されたりと大きな期待を持ち、プロ初勝利を上げるなどまずまずの働きをしていました。ですが先発転向後の日ハム戦を3回3失点(自責2)、中日戦を5回5失点(自責3)とゲームを作れずに終わってしまったイメージが強く残りました。既に2軍で14試合71.1回で防御率1.77と敵無し状態なほで、早く1軍に定着して欲しい所です。
⑤小林慶祐(31)
1試合 1回 防御率0.00
0勝0敗 1奪三振 war0.1
今季2軍セーブ王の投手。1軍にいた期間で登板は1試合のみでしたが、その間チームが快進撃を続けていた為、験担ぎの好きな阪神ファンから「幸運の置物」扱いされていたのが今季のハイライトでしょう。来年は既に新潟でのプレーが決まっています。
・D評価
① 浜地真澄(25)
30試合 27.2回 防御率5.86
3勝1敗 23奪三振 war-0.5
正直言って今季の浜地の投球は見るに耐えないものでした。昨年52試合 防御率1.14の超好成績なら一転、7月と8月を除くほぼ全ての月で大荒れ、湯浅以上の誤算を生み出し、中継ぎ陣の負担を大きく生み出したと思います。特に得点圏での被打率が.421、ホームランが3本、被OPSが1.276と相手が全員大谷以上の打者状態になっており、本当に笑えない状態の信用0のシーズンだったので来年は昨季ほどまでは行かずとも、それなりの成績を残すことを期待しています。
②秋山拓巳(32)
2試合 9.2回 防御率7.45
0勝1敗 7奪三振 war0.2
限界が見えてきた伊予ゴジラ。2年続けて1軍登板が5試合以下と完全に居場所を無くしており、今季は伊藤将司が開幕出遅れた枠に入ったものの、2試合とも不完全燃焼。ファームでは8勝を挙げましたが、防御率3.95と完全に衰えを隠せていませんでした。元々コントロール勝負の投手とはいえ、大分コマンド面にガタが来ており、その上平均136㌔最速141㌔しか出ない出力ではもうどうする事も出来なくなってしまった印象で、更にチームに左右は違うとはいえ同じ様なタイプの若い大竹が来たことで完全に御役御免の雰囲気が流れています。阪神が中々微妙な時期にローテを支えた投手だけに最後の輝きが見たいです。
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