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隠しきれない特徴を捉えられてしまう ロートレック展

私にはちょっと観てて恥ずかしいなぁ〜と思ってしまう絵があって、それがロートレックの絵なんです。

SOMPO美術館入口にて

なので、ずっと気になっていたロートレック展に行って来ました。


会場は新宿駅西口から徒歩5分のSOMPO美術館です。訪れたのは、2024年7月です。

まずは感想です

誰しもどうしても表に出てしまう、隠しきれない部分てあると思います。

今回の展覧会ではたくさんの素描を観ることができたのですが、

落書きのように描いてる線ひとつひとつが、その人の特徴をよく捉えていて、本質的なところまで表されてるようでした。

《ギャバレのアリスティド・ブリュアン(文字入れ前)》
素描は撮影NGでした

丸裸にされてるような。

ロートレックは人の隠しきれない部分を逃さず捉えて、絵に表現してるようでした。

ロートレックに自分の絵を描いてもらうとしたら、恥ずかしい気持ちでいっぱいになりそうです。(でも、やっぱり描いてもらいたい。←悩ましい気持ち)

素描の展示が充実

コレクターのこだわり

今回の展覧会は、アメリカ在住のギリシャ人夫婦フィロス夫妻のコレクションです。

図録を読んで、おふたりが状態の良いものを厳選してコレクションしていることを知りました。

『ラ・ルヴュ・ブランシュ』誌のためのポスター

展覧会も素描の数がとても充実していて、落書きのように描いてある素描も、しっかりと描きこんである素描も、どれもその対象の特徴を捉えているのが分かりました。

将棋の一手一手が確実に王手に近づく感じ。
(将棋が強い人ってそんなイメージありませんか)

きっとサササッと描いていたんだろうな。
すごいなぁ〜

7歳から描いてるそうです。その枚数、計算すると36歳で亡くなるまでに1日1枚ペースなんだとか!

誰かに似てないか?…芦雪!

ロートレックの素描を観ていて思ったのですが、

この感じ…

長沢芦雪に似てる!

長沢芦雪《大黒天図》
京都の福田美術館を訪れた時に撮影

芦雪の絵を観た時、どこに筆を置くか描く前から芦雪には分かってる感じがしました。

その時と同じ感じで、ロートレックも紙に鉛筆が吸い寄せられてるようでした。

これは私の中での大発見です!

ロートレックのお気に入りの人 ロスチャイルド家の御者

とても印象に残っているのが、ロスチャイルド家の御者トムです。

横柄な態度を取る人だったらしいのですが、ロートレックはその態度がお気に入りだったようです。

図録より「ザ・チャップ・ブック」誌
一番右がトムみたいです

もの好きですね〜

彼の絵を何枚か描いてるみたいです。

そんな人には近寄りがたいなぁと思うのですが、きっとロートレックは彼のそんな態度もコミカルに料理して受け入れていたのかもしれません。

彼の器の大きさが伺えます。


モンマルトルの男女の様子

ドガとの違い

ロートレックはドガをレスペクトしてたらしいのですが、男女の描き方が全然違ってそれぞれの性格が出てるなぁと思いました。

ドガは絵の中に出てくる男性はあまり表情が気にならなかったのですが、

ロートレックが描くと男性は太ってて、頭はきっとバーコードで(←これは私の想像)そしていやらしい目をしています。

図録より《可愛い使い走りの娘》

相手をしていた女の子たち、必死に生きていたんだろうなと同情してしまいます。


ステージの演目も直球

いやらしさ満載の演目があったことにも驚きました。
「老紳士たち」というステージは、使い走りの娘たちに色目を使う老紳士たちについて歌っているそう…。

図録より 楽譜「老紳士たち」』の
タイトルページ 1894年

おもしろいなぁ、その感覚。

ちなみに、当時は女性が男装することが禁じられていたらしいのですが、モンマルトルでは、男装する女優が人気だったそうです。

「ひまわり」と初対面

そして、最後に異様なオーラを放っていたのがゴッホの《ひまわり》です。

実はあまりゴッホが好きではありません。

ちょっと苦手なタイプの人だなぁと思っています。

絵を観ても、そのタッチがちょっと怖い感じがするのです。

職場の学芸員の方曰く、本物を目の前にすると違うとのことで、今回「ひまわり」を少し楽しみにしていました。

絵の前で立ち止まる人が多くいました

確かに。この存在感に心が動かされます。

色使いに切なさを感じてしまいます。

仲間になり得る人を待って、期待でいっぱいだったのか、待てども待てども来てもらえない寂しさなのか。

ただ、その絵の大きさと力強さに、何とも表現しがたい気持ちになりました。

あぁ〜、ゴッホ。あなたのことをたくさん知っている訳ではないけれど、

もう少し生きてる内に報われて、幸せをもっと感じてほしかった。


まとめ

ロートレックといえば、彼のポスターが有名ですが、今回の展覧会ではたくさんの素描を観ることができました。(もちろんポスターも多数ありました)

紙に描かれるそのひとつひとつの線がどうしても表に出てしまうその人の特徴や本質をグッと捉えているからか、私はちょっと恥ずかしくなるんだと思います。

《ディヴァン・ジャポネ》

それから、モンマルトルの男女関係とそれがかなりオープンに表現されていることにも驚かされました。

ゴッホの《ひまわり》はというと、まだ私の中でうまく片付けられずにいます。

今回のお昼ご飯

こめらくのお茶漬け
1,500円弱だったはず!

展覧会を観終えると、ものすごーくお腹が空いていました。
鑑賞中もお腹が鳴って恥ずかしかったです。

このお茶漬け、とーっても美味しかったです。ごちそうさまでした。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

またnote書きます。


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