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トランスキッズの母、3月のお悩みといえば。

トランスキッズに限らず、海外に住む子を持つ親なら誰しも経験があるのではないでしょうか、、
年明け辺り、早ければ年末からソワソワしだすもの。。


そう、サマーキャンプ!!!


私が住む場所の夏休みは長い。6月末から9月上旬まで約二ヶ月半の夏休み。宿題?そんなものは全くありません。素敵なVacationをー!とテンション高らかに言われてあっさりと一学年が終わってしまうのです。

二ヶ月半なにも予定がないと親子とも爆発してしまうので、大抵の親はサマーキャンプに子供を入れます。キャンプといってもお泊りではなく、日帰りのものがほとんど。内容、時間、期間も価格も多岐にわたり、子供相手の商売はここぞとばかりにサマーキャンプで稼ぐのです。そしてその大半が3月前後に申込みをしなくてはいけない。そうしないと希望のキャンプは埋まってしまったり、値上がりしてしまったりするから。

我が家もご多分に漏れず、毎年サマーキャンプにお世話になっています。だって日本に1ヶ月一時帰国してもまだ1ヶ月半もあるのよ。本当に長い。ひと月ほどしか夏休みのない日本をどれだけ羨ましいと思ったか。


さて、例年はポコを通っている幼稚園のサマーキャンプに入れていましたが、卒園してしまった今年、「さてどうしようか、、、」と私は頭を悩ませていました。

長時間預けられるプログラムほど、プールや水遊びは避けられない。そうなるとトランスキッズ特有の着替え問題が発生するのよね。プールがないところも探したけれど、時間が短い、ずっと屋外(暑い)、、なかなかここ!というところが見つからないまま私は3月を迎えていました。

そんななか内容の充実度からずっと気になっていたサマーキャンプに問い合わせをしてみました。空きの確認をするにも、まずは登録が必要のようだったので(電話したら教えてくれただろうけど、できるだけ電話を避けたい英語できない民)親、子供の情報を登録。

そこでおや、っと手が止まりました。
子供の性別欄になんとMale, Femail, Non-binaryとあったのです。おぉ、これは嬉しい。今まで男女の2択に悩まされていた私にとって、この小さな気遣いは私の心をぽっと暖かくしてくれました。ここの会社のプログラムは期待できるのでは、と意気揚々と「Non-binary」を選択。

しかしここで問題発生。サマーキャンププログラムが選択できない。え、なんで?もういっぱいなの?!、、、仕方がない。電話するか。英語の電話は毎回全神経を耳に集中させないといけない。私はノートとぺンを用意し、ふうっと一呼吸、気合いを入れてから問い合わせをしました。

結果からいうとNon-binaryを選択したことが原因でした。ここのキャンプでは男女でグループ分けをして活動するため、男女の人数を把握する必要がある。だからNon-binaryには選択肢がなかったのです。ただ担当者によると、Non-binaryももちろんウェルカムよ、過去にも実績があるわ、とのこと。しかし過去のノンバイナリーはどうやら生まれた時の性別グループに所属したらしい。いや、それは困る!それはうちとは事情が違います!

私はポコのこと、女の子として扱われたいという彼女の希望、現在の学校生活など詳細を話しました。電話口のエイミーというキャンプの責任者の方はとても真剣に話を聞いてくれ、解決策を提示してくれました。

「ポコのことはわかったわ。彼女なら女の子のグループに入って問題ないわよ。着替えは本来更衣室でみんな一緒に着替えるけど、彼女には近くのバスルームで着替えてもらった方が、彼女にとっても周りの女の子達にとってもいいと思う。みんなの前で着替えたくなくてバスルームで着替える子も珍しくないから大丈夫よ。」

さらに

「こちらで一旦彼女の登録をFemaleに変えるわね。そうしたら申し込みができるから。その後またノンバイナリーに変更しておいてね。そうしたらスタッフは彼女のセクシャリティのことがわかるから。もちろん他のキャンパー達には言わないし言う必要もないから大丈夫よ。」

あぁ、よかった。これでこの夏はなんとか乗り越えられそう。エイミーも理解があり本当にありがたい。


英語での電話はいつまで経っても苦手だけれど、やはりメールなどオンライン上で文字でやり取りをするより得るものが大きいと改めて実感しました。話し方、こちらの話を聴く姿勢、声からは文字だけでは測り得ない相手の心がひしひしと伝わってきます。

それと同時に思い返して気づいたこと。 

「そんな子は今までいなかった。」
「私たちにとってもあなたが初めてよ。」

またこの言葉を言われたなぁ。私の住む場所は日本に比べLGBTには寛容で理解もあると思われている。それでも現状はこれなのだ。
いない訳はないと思う。きっと今まで自分を小さく押し殺しながら過ごしていた子たちが少なからずいたんだろうと思うと、胸がキュッと締め付けられました。

うちの子が初めてでもいい。
そこで小さな小さな風穴をあけることで、少しでも悩める子ども達の思いが尊重される世の中になりますように。

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