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観劇記録 asatte produce『ピエタ』

原作:大島真寿美「ピエタ」(ポプラ社)
脚本・演出:ペヤンヌマキ
音楽監督:向島ゆり子
プロデューサー:小泉今日子
出演者:小泉今日子、石田ひかり、峯村リエ/広岡由里子、伊勢志摩、橋本朗子、高野ゆらこ
演奏:向島ゆり子、会田桃子、江藤直子

小泉今日子様が代表取締役を務める制作会社・株式会社明後日(あさって)が企画製作した舞台『ピエタ』。
コロナ禍で一度流れたそうで、昨年観劇した小泉さん出演『修羅のごとく』でチラシを頂いてたんですよ。

小泉さんが、ってこともありますが、広岡由里子と伊勢志摩と峯村リエを同時に見られる機会なんて滅多にないだろう?ということで参戦。

舞台批評めいたことは書きません。書けません。
映像作品と違って誰でも見られるものでもなければ、私自身も見返せるものでもないので、あくまで「観劇したなあ」ってメモ。
なので、他の記事をどうぞ。

ヴィヴァルディの史実をベースにした小説として面白いんだと思います。
劇中、ヴィヴァルディの楽譜を探すエピソードがあります。
その楽譜の裏に詩(詞)のようなものを書いたという話になります。
実際、ヴィヴァルディの有名曲「四季」は各曲にソネット(詩)が添えられています。
そして人気作曲家だったヴィヴァルディは1741年の死後忘れ去られ、19世紀末に楽譜が再発見されてやっと再評価されたのです。
少し前に、その時代背景を読みながら、「バロック」「古典」「ロマン派」のクラシック代表曲を聴いたりしてたんですよ。ヴィヴァルディ「四季」をフルで聴いたりして。
そうした事後のエピソードもさり気なく取り込んだ、よくできた話でした。

小泉さんは、女性作家の原作を女性の手によって演出し、女性だけの出演者で「むすめたち、よりよく生きよ」というメッセージを打ち出します。
「あっちもこっちも恋せよ乙女」と歌った小泉さんが、約40年の時を超えて若い女性にエールを送ったのです。

私はこの「むすめたち、よりよく生きよ」が、なんだか「世は並べて事も無し」に思えたんです。
『赤毛のアン』で、アンが最後に言うセリフです。
高畑勲版では「神は天にいまし、すべて世はこともなし」だったと思います。

ブラウニングの詩の一節だそうで、原文は以下の通り。
God’s in his heaven, all’s right with the world

上田敏の翻訳が「世は並べて事も無し」。
実はこれ、私の座右の銘で、iPadに刻印してるんですよ
「All’s right with the world !」って。

(2023.07.28 下北沢本多劇場にて観劇)