子どものころ
聖人君子になりたかった
わからないことを他人に聞くのが苦手だ
ねえねえ教えて!
転校をして間もない頃はいつも、クラスメートに話しかけられなかった
先生の顔をうかがったり
誰か教えてくれないかなと願ったりしてた
気づいたら周りの行動や言葉から察するスキルが芽生えていた
その能力は今、働くときにかなり役に立っている
ただ、今になってもスムーズに教えを請うことができない
聞いた相手が答えを知っているわけではなくて
聞きやすい人に限って知らなくて
知ってそうな人は聞きづらい
勇気を出して聞いても、私が求めている答えじゃないと納得がいかないから
自分で調べ始める
あらゆる角度から
色んな言葉をキーワードにして
調べたら必ずわかるわけじゃないけど
わからないまま寝かせておくと
ある日、別のことを調べているときに答えを見つけたりする
それは、数カ月後だったり、数年後だったり
そうやって身につけた知識や経験で
少しずつ仕事をしやすい環境に整えていく
そのうち、
わからないから教えて
そして、
どうしたらいいの?誰に聞けばいいの?
そして、
わかるならやってくれない?
わからない人もわかるようにしてよ
わかる人のラベルを貼られた途端
誰にも聞けなくなる
私よりわかるというラベルを誰も貼られなくなるから
本当にわからないと答えると
ひどく残念そうに
まるでいじわるをされたかのように
見捨てられた人の顔をする
その顔が嫌だ
わかるようになる過程が好きだ
知ることは楽しいし、自分が成長している感覚がある
だけど
生きていく中で
わからないから教えてと素直に聞ける人は強い
そして聖人君子が何であるのか、
私は知らない
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