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ペンタNote

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思いつくままに
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#夏

蓮畑

夏の風景に君は何を想う 蓮の花は日の出と共に花を咲き始め 半日ほどでしぼんでしまう 日傘が似合う後ろ姿に 夏の恋が始まる 深緑の蓮畑と高い空 蓮の白い花が咲いている 心の声を聴いてくれるように 緑の海の白波のように そこはかとなく 蓮の花は咲いている 太陽の光を浴びて

風鈴

居間から見える景色を眺めていると 風もなく風鈴は静かに軒先にたたずんでいる 深緑の庭が風鈴と同化してしまった夏の一日 団扇を片手に母はいつものように世間話が終わらない 風鈴だけがうなずいているのかもしれない 時間の流れはゆっくりと 季節の溝に思い出を刻んでゆきます 仏壇にお参りしてゆきなさいよ、と 母が思い出したように告げる いつもの風景だ 風鈴の音のように忘れた頃に耳に届く 季節の変わり目を教えてくれた

夏の思い出

今年は線香花火を送り火にお盆も過ぎてしまいました。 映画館で「糸」を観ながら思い出を紡いでみよう。 縦の糸、横の糸 絡まりながら時間が過ぎる。 きみと過ごした夏も 僕の心には1枚の写真で残していたい。 蝉時雨も聞こえなくなり 日暮蝉の響き渡る鳴き声が季節の色をブルーに染めた。 浴衣姿の君は線香花火を何度も繰り返し 夏の記憶を紡いでくれた。

夏空

空を見上げて蒼さを感じる 梅雨の雲が抜けて夏の空が広がる 夏休みは短くなったけど この空を背に旅に出かけよう 蝉時雨の中 お気に入りのシャツを着てバイクに乗ろう タンデムシートはビーチマットを載せて 今日はサザンをイヤフォンから流して行こう

梅雨

眠れない夜に街中に出かけて 濡れた路地を散歩した 雨に濡れた夏の匂いがする いつだろうか君と歩いたこの路も いまでは一人で歩くことに慣れてしまった 梅雨の雨の音は心に残っていた声を再生して なつかしさと甘酸っぱさが胸を染めた

夏色

素足になって海に飛び込もう 空と海が藍色に染まる頃 夏の日差しはきついから 麦わら帽子が欲しいけど 短くした髪には似合わない 一緒に過ごした夏の時間 何年経っても忘れない 僕の心の夏色だから 澄んだ海の波間に あの日の後ろ姿を見つけてしまう 夏色の時間は短くて 蝉の声に紛れながら 泡立つサイダーの虹を眺めてしまう 冷たくなった指先を頬にあてて 夏色はまた瞳に染まる

梅雨の合間に

故郷の路を歩いてみた 小さい頃の思い出が白壁の隙間にある風景 父の大きな手にひかれ 夏祭りに出かけた季節までもう少し 赤いランドセルに黄色い傘をさして 近所の小学校まで歩いて行った 夜になると雨音と蛙の声が鳴り響く 夕立が過ぎると蛙が鳴く 風が田んぼを過ぎる瞬間に ゲコゲコと鳴いてた声が止む 少し経つとキュッと鳴く蛙が始まりで ゲコゲコと合唱が始まる 街灯の周りには 小さな虫たちが集まり 夏の夜を楽しんでいる 小川のせせらぎに 昨日見た夢を笹舟に乗せて 梅雨の合間は過ぎて

紫陽花

梅雨の合間に紫陽花寺を訪れた しとしとと降る雨の中に気持ちが波打つ 傘に溜まったしずくのように 二人の出会いが記録されていく 何気なく花言葉を探していると 君の視線に気が付く 出会ってからどれくらいの日が経っただろうか 石畳に降る雨は足跡を消してゆく 何度も何度も振り返るきみの笑顔を 僕はこれからも記憶する 今日も朝から雨が降る 紫陽花寺の参道に そこはかとなく時間は流れ 君との想いを並べては 僕はこれからも記憶する

夏の恋

思い出作りに海にきた お気に入りの海岸線で車を停めて夕陽を眺める 防波堤は今日と明日の境界線 お気に入りの曲を聴きながら 手を繋いで行こう 夕陽を追いかけて 素敵な記憶を作ろう

叫んでみる

青い空に叫んでみよう 心の言葉を雲に向かって 波の音に消されないよう 明日の自分に叫んでみよう 波間に向かって叫んでみよう 昨日あったことを 白い消しゴムのように 心の隙間を消してくれる ひたすら叫んでみよう 今の自分を見つけるために

夏の恋

潮風に誘われて走ってみよう 波に負けないように走ってみよう 明日の自分に叫んでみよう 雲の流れに押されてひたすら走る 波間に空が見える うねる海の中に雲が見える 明日の自分と泳いでみよう 水平線の向こう側まで 大好きな人の名前を呼ぼう 潮風に乗せて 大好きな歌を口ずさんで 夏の恋をしよう

記憶

路地裏の記憶 夢の中で何度か見た景色 もうひとりの私はここにいた 懐かしさが扉の向こうから香る ショーウィンドウに映るメニューや植木鉢の花 日差しが強くて影帽子が舞う 誰と来たのか いつのことか 曖昧な記憶だけど懐かしい 路地裏の小路はサンダルの乾いた音を響かせて 微かな記憶を紡いでくれた 小さなひまわりと麦帽子 明日も天気になぁれ