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ワンダフルライフ

ニーチェに関する書籍は結構な数がある。ときおり、否定的なものもある。
ヒトラーに影響を与え、ナチスの暴虐に繋がったという説もある。
晩年に悪魔が乗り移って発狂してしまったという説もある。
ニーチェの思考は果たして人類の宝なのか、狂人の妄想なのか。

某宗教団体から出版されたニーチェの本を読む。ニーチェは悪魔に魂を売り、地獄に落ちた、などというショッキングな見出しもある。
それを読んでみるが、霊媒らしき人に取り憑いたニーチェとそれを審神者する人との会話集のようでもあるが、そこで語られるニーチェは、ウィキペディアで仕入れるくらいの薄い内容を下品な日本語で話す。質問者はワイドショーのレポーターのようだ。贔屓目に見ても、茶番劇にしか見えなかった。神は死んだと宣言したニーチェと、我こそは神であるという教祖を抱えた教団での茶番劇である。ニーチェを否定して、教祖の方が偉い、という事に誘導したいのか。もっと高度な哲学論議は出来なかったのか。

これを見て、うーん、ニーチェ批判する人達のほうが、尋常ではないな、という思いがよぎる。ナチスとの関わりも、ヒトラーが都合のいい部分を曲解して利用したにすぎないという見方もある。ニヒリズム思想を広めたと解説しているものもあるが、それは真逆であり、ニヒリズムに陥ってはだめだ、という思想ではないか。読めばわかる。

発狂し、晩年は不遇であったとされ、狂った思想と見る向きもあるが、梅毒による脳障害によって発狂したに過ぎないという説もある。

24歳で大学教授になる天才が、病気のため、職を去り、思索の世界に飛び込む。徐々に侵されていく脳機能と戦いながら、自分の不遇な状況に負けず、哲学書を、まさに命を燃やして書き記したのだ。恐るべき力ではないか。

彼の魂はどこに行ったのか。神を否定した彼は、天国に行っただろうか、地獄に落ちただろうか。永劫回帰のループする世界で、また、同じ人生を繰り返しているのだろうか。きっと、超人として、同じ人生をループし続けているのかもしれない。そのループの世界で幼児のように人生と戯れ遊んでいるのだとすると、恐るべき人ではないだろうか。

矢沢永吉の「ワンダフルライフ」。その歌詞にはこうある。
「もう一度生まれ変わるチャンスをくれたって、俺はこの人生選んでしまうぜ。
そうさ、極上さ、ワンダフルライフ。」

ニーチェは、ワンダフルライフを生き続けている。そう信じたい。
そして、私もこの歌詞のような気持ちになる人生の残り半分を模索していきたい。そう思った。


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