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#12 資本主義システムにおいて労働者に支払われる給与とは何か?

 我々は資本主義社会の中に生きている。資本主義社会では、一部の資本家が多くの人間を労働者として雇用し、何らかの価値を生み出している。

 資本主義社会においては、往々にして我々労働者の賃金は上がりにくく、資本家と労働者の経済的格差が生まれ、それが拡大する傾向にある。それはなぜだろうか?

 ここで考えるべきは、資本主義システムにおける企業から我々が受け取っている賃金・給与の意味である。

 資本主義システムにおける人件費とは、産業機械等の設備投資・維持費などのコストと同列に扱われる、人間労働力の維持コストである。すなわち、人件費として我々労働者に支払われる賃金や給与の意味合いとは、「その人間が労働によって消耗した体力や精神力を復元するための経費」なのである。我々の賃金は、労働者が労働者として生命維持、および労働を継続できるようにするための最低限の賃金として支払われているのである。

 つまり、資本主義システムにおける賃金や給与は、我々の労働分の対価では無いのである。

 したがって、資本主義システムにおいてある労働者がどんなに効率的に労働して抜きん出た成果を上げたとしても、その成果は必ずしも直接的に賃金・給与には反映されないのである。『資本論』を著したカール・マルクスは資本主義システムの研究を通して、労働者の労働により生じる成果から労働者の再生産代として支払う賃金を差し引いた利潤を資本家側が回収することを、「搾取(exploitation)」と呼んだのである。ただし、これはいわゆる日本語におけるネガティブな意味合いの"搾取"とは違い、学術用語(technical term)である。
 この明白な事実を誰も強調しないが、これを知っていないと、我々労働者は苦しむことになる。

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