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【ネタバレなし】「7 Days to End with You」というゲームがとても感情を揺さぶる作品だったのでお勧めしたい(switch/steam)

1.「翻訳ノベルゲーム」とでもいう珍しいゲーム

 目覚めると、そこには見知らぬ人が。そんな導入から始まるこのゲーム。
でもその特異性には開始10秒で気づくことができます。
「……何言ってるかわからない。」

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 このゲームは「7Days」の名の通り、この人と過ごす7日間がテーマとなっており、1回のプレイ時間は数時間といったところです。
 その中で「言葉の通じない」登場人物とコミュニケーションをとり、物語を味わい、噛みしめることが目的のゲームです。

2.こんな人におすすめ

とはいえ、このようにゲームの「形式」は特殊ですが、基本的には

・同じようなことを言っているものを探す→推定する
・その言葉を話している表情や状況から、話している内容を推定する
・お、さっきもこの言葉出てきたぞ!を大事にする

といった、コミュニケーションの基本が詰まっているものです。
なので、所謂「逆転裁判」や「不思議のダンジョン」をプレイしたことがある人なら攻略の道筋を見つけるにはそう時間はかからないかと思います。
もちろんパズルゲームが好きな人も、ビジュアルノベルが好きな人にも勧めたい作品です。

・「ローグライクゲーム」が好き
・「探偵ゲーム」で分析することが好き
・「ノベルゲーム」で長編じゃなくとも作りこまれたお話を楽しみたい

こういった人には間違いなくおすすめできるゲームです。

3.「この子の話していることを理解したい!」がモチベーションに繋がる

 ここからは少し内容について。
 所謂パズルゲームの難しさの一つに「モチベーションの維持」というものがあります。
 難しいだけのパズルゲームは世に溢れていますし、もちろんそれを解けたときの気持ちよさはあります。でもそれ以上に難しさで挫折してしまうことも多々。
 このゲームの素敵な部分はパズルそのものではなく、
それを解くこと、解きたいと思わせる導線が付加されていること
なのかもしれないな、と。

泣いてるのに、なんで泣いてるのかわからない。悲しさと悔しさが混じった気持ちに。

 「言語を覚えるなら、その国の恋人をつくって理解したいと思うこと。」

某漫画の教師がそう言っていましたが、まさにそれを実感できる作品です。

4.そして…翻訳はゴールじゃない、むしろスタートだと気づく

 このゲーム、実はネタバレにならない程度に言うと「周回プレイ」が前提になっています。1回のプレイは7日間なのですが、1回だけではまずこの人の言ってることを全ては理解できないでしょう。
 じゃあ、その周のプレイは無駄なのかというとそうではなく、出てきた言葉をメモすることができるので、それをもって次回の理解の助けにすることができるというわけです。
 ストーリーは変わらなくとも、自分自身が成長することでより深くゲームを理解し、感情移入できるようになる。このあたりはローグライクゲームと非常によく似たプレイフィールを感じます。

5.見える!私にも見えるぞ!からの

 何周かプレイし、少しづつ理解できる文章も増えてくるとストーリーもなんとなく見えるようになってくることでしょう。

「この文字列が初出ではないではない」という意味で書いた適当なメモ「こけくく」に悩まされる

 それでも一部不明なところもあったり、(答え合わせというものがないので)的外れかもしれないと思いながらも徐々にこの人のことがわかってくると……

ストーリーに張り巡らされた伏線が徐々に回収されてきます。

 正直なところ、翻訳行為がなく最初からストーリーがあったとしても、
充分に一本の名作短編として感じられるストーリーではありますが、
それに「自らの力で言葉を理解した」という経験を加える(加えられる)
ことによって感情移入が深化、抜け出せなくなるという……。
私自身クリア後にはしばらく放心状態になっていました。

ぜひともプレイして、製作者の思惑通りになっていただきたい作品です。

6.「行間の大きさ」が少しだけ難点にも

「このゲームはあなたが自由に感じてください」
 ゲームを開始して最初に表示される地の文(メッセージ)であり、まさにその通りで良いのだと思います。登場人物の細かな機微はプレイヤーの想像に委ねられている部分もあり、それについては全く問題がないのですが……
とはいえ、ゲームである以上ある一定の「道筋」は存在します

言葉を入力する場面では、どうしても「正解」が存在してしまう

「正解」と便宜上書きましたが、それをしなければならない、
という意味ではないです。それでもこういった「入力によって回答が変わる」部分だけは、ある種仕方ない難点として存在します。

加えて「たぶんこういうことなんだな」に当てはまる言葉が多数あるが故に

「言いたいことはわかってるし、伝えたいこともわかってる」
→「でもどの言葉をかけてあげればよいのかわからない」

という問題が一部生じます。
「逆転裁判」でも、もう答えはわかっているのに突きつける証拠が順番通りになっていないとダメということはありましたが、そこはもう、システム上甘受が必要な部分かもしれません。

7.終わりに

 この作品は当初Andoroid/ios版とsteam版のみの発売でしたが、
今年2023年1月26日にニンテンドーswitch版が発売され、CS機で発売されたことで非常にプレイしやすくなりました。
 知られざる名作であるのも勿体ない作品だと感じたため、今回ネタバレを抑えつつお勧めレビューをするという投稿をさせていただきました。
 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

興味ができたらまずはPVを視聴して
そして、もしプレイしてクリアしたと思えたらぜひ

もう一度PVを見てほしい

そんな作品です。


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