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パトゥムタニ日記 vol. 6〜不遇なパパイヤを食べる〜


パパイヤ。タイ語ではマラコー。
ぴちぴちのトロピカルフルーツなのに、タイではなぜか不遇。


屋台でもスーパーでも果物として
熟してオレンジ色になったものを売ってはいるのですが
どうも人気はいまひとつな気がします。
果肉がくたっとして中途半端に甘い。酸味がない。独特の苦味がある。
酸っぱいのが大好きなタイ人の舌には何か物足りないようです。

我が家のパパイヤ。どうも不評。。。

そもそも、タイ人にとってパパイヤは果物ではないのかも。
むしろ未熟な青パパイヤが野菜として活躍します。

“ソムタム”はパパイヤの未熟な青い実を薄く削って
ナンプラーやライムで和えたタイ料理。
キュウリを使ったタムテーン、インゲン豆に似た長豆を使ったタムトゥアなど
色々なパターンがありますが、基本は青いパパイヤです。

このソムタム、今ではタイ全土で食べられていますが
元はイサーンと呼ばれるタイ東北地方の郷土料理。
農作業が一段落したところでパパイヤをもぎ、その場で作るソムタム。
蒸した川魚と、もち米のおこわ。
彼らのソウルフードです。

初めてタイに来た時、フルーツサラダを期待して“パパイヤサラダ”を注文したら
出てきたのがこれで驚愕しました(笑)


タイでパパイヤを育てるのはとても簡単。
種を蒔く、というほどのこともありません。
暑くて湿気の多いタイでは、完熟の黒い種をその辺りに捨てておくと
勝手に発芽してみるみる大きくなり、1年くらいで実がつきます。
(雄木と雌木があるそうで花が咲いても結実しないものもあります)

家の裏に咲くパパイヤの花


我が家の周囲を見渡すと
大抵どこの家にも2、3本のパパイヤがあるのですが
それが塀の外側とか、玄関と道路の間の隙間とか
何だか微妙な立ち位置。
勝手に生えています、といった風情。
そして、実がたわわに成っていても放置されていることが多いのです。
簡単すぎてありがたみが無い、そんな感じ。
グァバや柘榴だと一つ一つ袋掛けして大切に見守るのに
成りっぱなしのパパイヤ。
マンゴーは、「うちのマンゴー食べてみて」って感じでお裾分けし合うのに、
パパイヤはそんな事もなし。

時々、近所の工場に勤める若い行員さんが
「一つくださーい」
声をかけて もいでいきます。
「はいよー、大きいの持っていきなよー」

あの娘たちも東北タイから出てきたのかなあ。

こちらの本は、タイの野菜がレシピ付きで紹介されていてとっても便利。
(残念ながら今は絶版になっているようですが)
私は、上記のソムタム以外ゲーンソムという酸っぱいスープに入れるくらいしか
パパイヤの使い道を思いつきませんでしたが
この本によると茹でても炒めても美味しいそうです。
甘辛味できんぴら風、肉じゃが風にもできるとか。


というので作ってみたのがこちら 
青パパイヤと人参のきんぴら風。

唐辛子と胡麻がアクセント

庭のパパイヤ、外は緑色なので未熟と思いきや
中はちょっとオレンジになりかかっていて
うっすら甘味がありました。
私としてはもう少しパリッとした方が好みです。
パパイヤは火を通すと直ぐにくたっとしてしまうので加減が難しい。
半日くらい置いておいたら、じんわりと味が滲みて美味しくなりました。

タイの年金生活者としては、この不遇で健気なパパイヤを
今後大いに活用しよう、と心に決めたのでした。


本日もお読みいただきましてありがとうございました。





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