任天堂Switchが売れていると言う人に欠けている視点

任天堂Switch。
日本市場に限定すれば、向かう所敵なしの覇権ハードという事に異論はない。
出始めの頃は性能信者を中心に売れないだろうと言われてた(WiiUと性能的には大差ないのでその点は間違ってはいないのだが)けど、ハイブリッドという特性が受けてゲーム機史上稀に見るヒットとなりました。

とは言え、任天堂ゲーム史における大きな転換点であったこともまた事実なのだ。
それは、
据え置き機、携帯機という2機種展開の時代が終わったということ。

どういうことかというと、ファミコンとゲームボーイからWiiUと3DSまでの二刀流展開をSwitchを機にやめているが、それが商業的に正しい判断だったのか疑問が残るのだ。

僕が言いたいのは、それまで2機種だった(据え置き機と携帯機の出るタイミングは完全に同じではないので、単純には言い切れないが)売り上げを1機種に統合しているから、売れているように見えるのは錯覚ではないかという視点だ。

携帯機は個別に画面を持つ特性があるから、テレビ等のモニターを必要としない。親しい人と遊ぶ場合に一人一台かそれ以上売れることもあるので、その点では有利だ。また、据え置き機より価格帯が低めに抑えられる点でも普及には有利である。

とはいえ、近年の物価高により今までの感覚が通用しない事態も起きている。
PS5は5000円の値上げを決行し、Switchも7年目に入るのに未だに値下げをしたことはない。
バッテリー持続時間が延びた後期モデルを実質的な値下げと見ることもできるが、ちょっと苦しいかなーと思います。
2022年11月の決算説明会でも、日本においては長期間の円安の影響で今のままでは採算が合わなくなるという社長のコメントがあるので、事態は思ったより深刻なようだ。

また、Switchは2017年3月に発売されたハードなので、7年目に突入している。これまでのゲーム機のライフサイクルは7年おき程度にライバル新世代機や同メーカーの別路線ハード(据え置き機に対する携帯機またはその逆)の登場によりソフトの売り上げが低下し次世代機に移行するという状態が40年近く続いたのだが、現在はソニーのPS5、マイクロソフトのXboxの売り上げ不振(今どきスマホでもそれなりのゲームが出来るのにモニターを用意しましてってのもねえ)などによりSwitchの独走状態は未だに続いている。

とはいえ、先にも述べた通り、現行のSwitchは物価高を始めとする諸々の要因により採算が取れなくなっている。このことを考慮すると現在のSwitchのコンセプトを維持したまま高性能のハードを出そうとすると相当の値上がりとなってしまうので、ここは一旦据え置きのハードに回帰して技術革新とSwitchシリーズの売り上げの鈍化を待ってからSwitchの進化型のハードを出す方が良いのではないかと僕は考えている。
もちろん、ええとこでXBOXseriesSくらいのスペックに落ち着いたとしてもだ。

ただ、現状ではSwitchのソフトは売り上げは7年目のハードにしては絶好調なのと、他社ハードが高性能化マニア路線にあぐらをかいている状況では売り上げに与える影響は小さいだろう。焦った結論を出す段階では無いと言える。
ソフトの売れ行きは好調かもしれないが、ハードは十分行き渡ったと言えるので、どこかのタイミングで買い替え・買い足し需要が主の限定的な売上しか見込めない時期が訪れるように思う。
役目を終えたハードが中古に流れることはメーカーの利益にならないので、何らかの方法で任天堂が下取りを行い、リファービッシュ品(整備済再生品)として新品より少し安く売るという流れが確立できれば、値上げも致し方ないものとして消費者に理解されるのではないかと思われる。

ただ、目が肥えたゲーマー(クリエイターも?)の性としてはそろそろ次のハードや展望が気になってしまうものである。


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