ゴジラvsキングギドラをすこれ2

怪獣のデザインと良し悪しの話。

・ゴジラ
外見は前作のvsビオランテからあまり変わってないのですが、明るいシーンが増えたことによりイメージを捉え易くなっています。あと胸板が厚くなったのかな?ゴジラのビルドアップ史が始まる。また、アップ用ゴジラ(着ぐるみとは別の、アニマトロニクス仕込みで表情が細かい上半身だけのゴジラ)のシーンは非常に完成度が高く、さまざまなシーンで効果的に使用されていると思います。
反面、ビオランテと違いキングギドラが飛行能力のある怪獣なのに、着ぐるみの首が上を向けないので不自然に仰け反っているシーンが多いという見方がありますが、個人的には人間と同じ構造の生物ではないと解釈すればさほど問題のようには思えません。むしろ次作のvsモスラから着ぐるみの頭部メカが増えて上を向けるようになったのは良いが、首周りが太くなり全体のバランスが逆に悪くなったという見方もできます。太くなった首とのバランスを取るためにシリーズが一旦の終了を迎えるvsデストロイアまで、どんどん筋骨隆々のデザインに変わっていくのでこの辺はかなり好みが分かれるように思います。モゲゴジ(vsスペースゴジラ)およびデスゴジ(モゲゴジに電飾加工したもの)は全体のバランスが良いのですが、アメコミヒーローのようでvsキングギドラまでの恐竜的なフォルムからは様変わりしているので、どちらが良いかと言う話をしだすとマニアの間で戦いが始まります。オタクvsマニアとかいう誰得対決が始まります。vsシリーズのゴジラについてはそのくらい繊細な問題があるのだ。知らない方が(どうでも)良い世界である。

・ゴジラザウルス
ティラノサウルスよりゴジラの特徴に近いとされる恐竜の生き残り。ゴジラと似ているようでもあり遠いようでもあるという絶妙なバランスでデザインされており完成度が高いと思います。
ただガメラみたいな鳴き声はもちっとなんとかならんかったのかとは思います。
尻尾が米兵を叩きつけるシーンがあるのですが、合成ではないようなので相当にデカい尻尾を作っていると思います。
艦砲射撃による痛ましい流血シーンや、その後の傷の造形も見事であり、不死身とも思えるゴジラとは別の存在であるということを意識させられます。

・ドラット
グレムリン的な何か可愛いやつ。可愛いのか?
キングギドラのルーツがこんなわけねえだろってのは誰もが思う所。お前らだって赤ちゃんの頃は可愛かったんだよ(圧)。アップ用の表情はよく出来ていると思いますが、全身が映るシーンはお粗末な気がします。やはり人気がないようで立体化されることはあまり無いです。マスコット的なキャラとしても出来栄えは今ひとつ。かなり誰得な感じに落ち着きました。

・キングギドラ
他の作品と区別するため個人的には生ギドラと呼んでいます。たぶんわかる人いないから君たちはやめなさい。
昭和のキングギドラが東洋の龍から着想を得ていたのとは逆に、当時流行り出したテレビゲームの影響を受けて西洋のドラゴンを意識した顔つきに変更されました。
ゴジラとは逆に眉が厚く影になっているため目がよく見えません。悪そうに見えるからこれで良いんです。
昭和ギドラにあった「たてがみ」は合成シーンで困るのでオミットされたようです。2022年時点で以降全ての作品でたてがみは造形されていません。
首から下の体部分は昭和ギドラに比較してマッスルな造形であり、筋肉こそ正義だった時代の片鱗が見て取れます。このムキムキ路線は後のメカゴジラ、スペースゴジラにも受け継がれています。
中に入ってるのは漫画家の人と言うことなんですが、どうしてそういう人選が起こるのか不思議です。
長い首でゴジラを締め付けるも体内放射という投げ抜け技で反撃されました。
真ん中の首だけ飛んでいくシーンは流血しない方針で制作され、ギドラのダメージは金粉で表現されています。これはこれで気持ち悪く無いし絵的にも派手なので良かったと思います。川北特技監督といえば金粉。
映画の始まりは23世紀の海底に沈む、ゴジラとの死闘で傷を負ったキングギドラのシーンから始まるので映画に出てくる順番で言えばゴジラより先です。むしろゴジラの登場はタイトルロゴのバックを除けばかなり遅く、映画の折り返し地点かちょっと過ぎた辺りなのでシリーズ全体としては珍しい作りになっています。前半は話しは丁寧だけど後半の足早感は否めません。
キングギドラの着ぐるみはよく出来ている一方で、飛行シーン用の小さめの造形物の出来は体がペシャンコになっていてあまり造形はよくありません。
着ぐるみによる飛行シーンの迫力がすごいので落差があります。ここは残念に思います。
ゴジラ相手に絞め技や踏み付け、羽根を畳めば一応放射熱線はブロックできる。(飛んでる時に翼膜に風穴を開けられてしまったのはどういう理屈なんだろう?)逆に長い尻尾を掴まれゴジラのトレーニンググッズにされたりしました。ビオランテと違って中に人が入ってるから見応えのあるバトルが楽しめます。100点。だが、(後述)


・メカキングギドラ
んー
着ぐるみがね、生ギドラの改造なんよね
だから純粋にアーマーやメカ羽根の重量でプラスされて、何キロでしたっけ?300kgくらい?ってことでビオランテと同じく操演怪獣(中に人が入らない怪獣のこと。主にピアノ線で吊る形になるので、馬鹿デカいマリオネットと思えば良い。かがみのーなかの)の扱いです。ピアノ線も耐えられず落ちてきたことがあったようです。は?300kgやろ?死ぬで。
特撮は危険度の高い現場仕事なのである。
お腹からマジックハンドみたいなのが飛び出すトンデモギミック(23世紀ですからね)は好きなのだけど、そこ以外は相当地味。生ギドラが北海道の平原で戦っていたのに対して、メカギドラは新宿の摩天楼の中で戦うので過去と未来を行き来するような対比が効いてて素晴らしいのだけど、そのアイデアが無かったら今以上にボロカスに言われてたことは間違い無いです。
ビオランテから2年空いてるけど(後の作品は年1ペースで継続)そんなに練る時間があった感じでは無い気がします。
何気に人類側の善玉として描かれるキングギドラ(曲がりなりにも)はこれが初めてだったので、親近感が湧くような工夫がされています。中央の首は機械で出来ており、丸い眼をしていれば柔和な印象を受けるという判断の元造形されたそうです。そう言われればそんな気がする。吊り目より垂れ目の方が可愛い言われるもんな。俺は穴があったらどうでもええで。電気消したらわからへんやろ。(また脱線してる…)
とまあ下ネタへのワープ航路が出来ている残念なおじさんのお話はこの辺でおしまいです。

つづく。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?