「似非迷宮」日常会話*おおっと*

*おおっと*

この都市でのごく当たり前の挨拶あいさつ。

世界樹砦に和風城壁、地下墳墓に月面浮沈要塞など他都市からの移住民によって成り立っている異民族の坩堝るつぼ。

地域生活に多少齟齬はあれど、この似て非なる城塞都市では普通に使用する単語だ。
意味などない。ただの常套句だ。

他都市では、
Okey?「鍵もった？」であり、
おはよう！は「お早はやぅお着つきです」なのだ。生活に寄り添いお互いの損得や利益勘定により変化するのだ。

この城塞都市でも同様である。
宝箱、棺、日常生活で使用する炎熱魔術発動前。互いが街ですれ違う瞬間や迷宮内部の意思疎通など幅広い挨拶なのだ

例えば、院内上部への移動には医療術式操舵士エレベーターガールで移動するのが一般的だ。

もし、挨拶を怠って医療魔術発動ﾛｸﾄﾌｪｲﾄ前の昇降機エレベーターに飛び乗ってしまったらどうする？

こうなってしまうだろう。

日常挨拶　*おおっと*

「石の中」だけは現在の医療術従事者LOSTで困難な状態となっている。

相手を慮おもんばかって、行う挨拶。それが、

これがこの世界、様々な世界が行き交う人間交差点ヒューマンスクランブル、「似て非なる城塞都市」の慣例挨拶なのだ。

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「事案書房」刊行
『迷宮で苦労する人、しない人』
より抜粋。