ショート・ショート・ロング
22歳の女がショートケーキを選んだ。ちなみにこの22歳の女は昨日もショートケーキを食べている。そして明日はロングなケーキを食べたいと思ったそうだ。ロングなケーキ、とは。
「ロングなケーキを1つください」
店員は頭を抱えた。どれがいちばんロングだろうか。
この店のショートケーキは三角ではない。おかげで、ロングなケーキが存在する。おかげで、店員は頭を抱える。
これだ、もうこれでいい。いちばんロングだろうケーキをトレイに取る。22歳の女はにっこりと笑う。22歳の女はロングだろうケーキに320円支払う。
明日はショートケーキを食べましょう。
一昨日食べたのも、昨日食べたのも、今日食べるのも、明日食べるのも、ショートケーキである。しかし22歳の女は、ショート、ショート、ロングの順で、食べる。
22歳の女の職業は、ショート・ショート・ロング小説家である。短くて不思議な話を集めれば、ロングになってしまうから、困った話である。
22歳の女が通うあの店は、ショートケーキしか、売っていない。
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