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世界から言葉や移動の壁がなくなったら‥意外すぎる仮定にユーザーは何を語る?

こんにちは、ぺんきち@Blabo!です。

共創コミュニティサイト「Blabo!」に投稿されたユーザーボイスから、インサイトや商品開発のヒントを探っていく『Blabo!コラム』。今回は「あることが未来に実現したら」という仮定の状況を問うことで、人々のライフスタイルや価値観についての隠れた意識に迫るというアプローチをご紹介したいと思います。

今回、ユーザー(※1)には次のようなお題を問いかけました。

『世界から言葉や移動の壁がなくなる』だなんてSFの世界でもめったに見ないような仮定を、敢えてユーザーに提示してみました。もしこんなことが実現した未来って一体どんな世界なのでしょうか? あちこち好きな所を飛び回って楽しい毎日を送れそうなどと思う一方で、ご近所も地球の裏側も関係なくなって、私たちの暮らしや文化などあらゆることにどんな影響が起こるのか、ちょっと想像がつかないところもありますね。

このような突飛ともいえる仮定に基づいて集めたユーザーボイスの分析は、多分に想像の域を出ない話をすることにはなります。そのことについて、商品開発のアイデアなどに直結しないから意味がない、というご意見もあるかもしれません。それでも意外な質問の投げかけによって表出する様々な意見から、その裏側に隠れた意識に迫ることができるという点で十分な意義があると私たち(Blabo!)は考えました。

◆もし世界から言葉や移動の壁がなくなったら?

まずは、お題に対してストレートに、すなわち「どこでどんな風に過ごしたい」かを答えてくれたユーザーボイスから見ていきたいと思います。
多くは次にあげる4つのグループに分類できそうです。

①海外で暮らすという「夢」を実現

飲みごろのワインや果物・野菜に海産物。旬を追って北半球・南半球を行ったり来たり
大自然に身を置きながら、やりたい仕事をする。そして月に一度、飛行機で日本に戻って出社する。それが理想像です
平日は仕事があるので、日本で今まで通り過ごして、休日は海外の南の島のビーチで寝ながら本を読んだり、散歩したりのんびり過ごしたいですね

これらは純粋に「夢の実現」と呼ぶことができそうです。とはいえ、言葉や移動の壁がなくなっても仕事は今まで通り、という方もいるのがなんとも現実的で面白いですね。

②現実的なチョイスとして海外生活を選ぶ

前述の①とは対極にある考え方とも言えそうです。いま抱えている切実な問題から離れるためだったり、よりよい生活をするために、現実的な選択肢として海外での生活を選ぶというものです。

花粉症が無い国で働き、生活したい。四季が楽しめる国は旅行で行けたらいい。ずっと暖かい国、寒い国の方が生活の対策(服とか衣替え必要ない、暖房器具等)がしやすそう
福祉や教育がしっかりしてる欧州へ行きたいですね。フランスやフィンランドあたりがいいかな。少なくとも競争ばかり強制されてるわりに貧しく苦しい生活を強いられる日本よりはいいと思うし

③いろいろな人と交流したい

先の①②が「どこで過ごすか」に主眼を置いたユーザーボイスだったのに対し、③は「何をして過ごすか」に主眼を置いたうえで、「人と交流したい」という想いを語ったものと言えそうです。

言葉の壁がなくなったら色々な言語の色々な国の人と他愛の無い話をして笑い合いたい。移動の壁も無くなったらその国のお酒の飲めるお店で。お金では買えないかけがえのない財産が増えそう
現代社会の中で未だに存在する少数民族の方々と話したい。生活の知恵や彼らの文化・歴史に触れて豊かな感性を感じてみたい
子供達は世界の人々と触れ合う事で精神的にも、身体的にも刺激を受けると思う。自分の常識は世界の非常識かも?なんて体験したら人間として成長するだろうなあ

人と交流する目的としては楽しく過ごすことのほかに、「知識欲を満たす」「自国にいては知りえない他国の文化や常識を知る」といったあたりが挙げられそうです。インターネットの情報や旅行では見切れないこと、現地に入り込まないと体感できないことを知りたいという欲求や意欲が感じられます。

④一周まわって今のライフスタイルに

そして、なんだかんだ言って結局今のライフスタイルに落ち着くのではないか、というユーザーボイスもいくつかみられました。

いちばん自分にあった国、場所ですごします。日本しか知らないから、結局日本てオチはあり得る

◆そんな変化が世界中で同時に実現したら、何が起こる?

これらのユーザーボイスを見るだけでも、『世界から言葉や移動の壁がなくなる』という変化が人々の生活・ライフスタイルや価値観に大きな影響を与えるであろうことは想像できます。

では、もう少し踏み込んで考えてみましょう。『世界から言葉や移動の壁がなくなる』ということは、自分だけでなく世界中の人が言葉や移動の自由を手に入れることになるので、当然、私たちの住む地域にも世界中から人がやってくることになりますし、隣人が外国の方ということも日常的な風景になるのかもしれません。

移動の壁がなくなって隣に外人が住むこととなって、でも言葉の壁もないから、普通に暮らせて、、、それって最高だと思います
何処かに行って色々な体験ができるということは、色々なところから色々な方々がやってくるわけですので、そういった方々を迎え入れて日本の文化を知ってもらう事ができれば
外国人労働者が増えそうですね。国際結婚も増えるだろうし。日本人は少子高齢化がさらに進んでるはず。外国人をホームステイさせて、日本の文化(食事とか年中行事)を伝えたいです!!

こうなってくると、もはや国籍や国境という概念は意味を持たないものになってきそうです。では、そうなると次に起こることは何でしょうか? ここには楽観的な見方と悲観的な見方の両方が見られました。

国境を決める意味がなくなるだろうから、食糧や医療など、お互い助け合いし始めていき、やがて気づいたら戦争がなくなる予感がします。闘う意味がなくなるから
言葉が、通じるからこそいざこざや争いが増えると思います。言葉が通じない人とは、言い合いにならないので

違いがなくなることによって取り払われる壁もあれば、違いがあることによって成立する秩序もある、ということなのかもしれません。
また一方で、交流が多くなれば相互理解が深まると同時に、同質化・均質化が進行する可能性も考えられそうです。そうなると、自分の住む国や地域、また自分自身の個性や”らしさ”を守ろうとする意識(すなわちアイデンティティ)がこれまで以上に高まってくるかもしれません。そのことを示唆するユーザーボイスもみられました。

いい意味でも悪い意味でもアイデンティティに影響があると思います。言葉や移動の少しの不自由があることで、旅行や移住した際に非日常的な価値が生まれてくることもあると思います。こういった経験で自国に対する尊敬やアイデンティティは深まると思いました

◆見たこともない未来に対する期待と不安が交錯

ここまで『世界から言葉や移動の壁がなくなる』という仮定に対するユーザーボイスを見てきましたが、これらは次の図のように「居住概念の変化に伴う個人のライフスタイルの変化」と「人の交流の壁がなくなることによる新しい秩序や価値観の模索」という2つの大きなまとまりで説明できそうです。

チャート1

現代でも、移動や言葉の障壁が低い(不自由が少ない)人はいて、海外に居住したりライフスタイルを取り入れたり様々な人と交流したり、ということをしていると思いますが、それは多数派ではないでしょう。今回の『世界から言葉や移動の壁がなくなったら』というお題は、そのような壁を世界中のすべての人から完全に取り払ったら‥という問いかけをしていることと同義だとも言えます。

そう考えながら改めて上の図をみると、見たこともない未来に対する「期待」と、これまでの秩序や価値観が根底から覆されるのかもしれない「若干の不安」が凝縮されている、と読み取ることもできそうですね。

今回は「仮定の状況を問うことで、人々のライフスタイルや価値観についての隠れた意識に迫る」というアプローチをご紹介しました。商品開発の具体的なヒントを探るいつものBlabo!のアプローチとはかなり異なりますが、それでも様々なユーザーボイスの分析から人々の隠れた意識を垣間見ることができたのではないでしょうか。こんなことができるのは、難しい問いかけにも意欲的に回答を寄せてくれるBlabo!ユーザーの皆さんのおかげであると実感します。

Blabo!」では常に様々なテーマのお題を公開しており、ユーザーボイスの募集だけでなく、ユーザーとの対話を通じたアイデア創発支援などのプロジェクトを行っています。ユーザーとして声を届けたい方も、プロジェクトに関心をお持ちいただいた方も、お気軽にアクセスしてみてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※本コラムで紹介したユーザーボイスは、できるだけそのままご紹介していますが、一部で抜粋や文言修正などを行っています。また、これらの著作権はすべて株式会社Blaboに帰属します
※今回のお題に対するユーザーボイスは下記のサイトにて見ることができます https://bla.bo/boards/1378
※1)ユーザー:Blabo!に登録している生活者の皆様

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プランナーとリサーチャーの二刀流。国内有数の調査会社やデータマーケ会社を経て、現在は共創プラットフォーム「Blabo!」のインサイトリサーチャーを務めながらリサーチデザイナー稼業も。エライ人の許可を得てBlabo!ユーザーボイスからのコラム執筆中。https://bla.bo/