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シニアがイキイキと暮らせる社会へ! 私たちに出来ることのアイデアとは

こんにちは、ぺんきち@Blabo!です。

共創コミュニティサイト「Blabo!」に投稿されたユーザーボイスから、インサイトや商品開発のヒントを探っていく『Blabo!コラム』。今回は、シニアがイキイキと暮らせる社会の実現に近づくアイデアを、ユーザー(※1)の皆さんと考えてみました。

◆イキイキと自分らしく生きていられるためのアイデアって?

今回、ユーザーの皆さんに問いかけたお題です。

「人生100年時代」という言葉もすっかり定着した感がありますが、長くなっていく人生、身体と心の健やかさをどう保ち続けるか、考える機会が増えたという方も多いのではないでしょうか。

Blabo!ユーザーには「シニア」に該当する方も、もちろんいらっしゃいますが、それよりも20~50代のユーザーの方が多いため、今回のアイデアは『生産年齢世代が考えた、シニアのためのアイデア』という感覚で捉えるのが妥当だと思います。これに関連して、この世代からみたシニア社会のインサイトにも迫ってみたいと思いますが、まずはいつも通り、ユーザーボイスからいくつかの具体的なアイデアを見ていきましょう。

◆経験を活かして若い世代に何かを教える?

初めにご紹介するのは、シニアの経験値を活かして若い世代に何かを教えたりスキルを共有するというものです。コメントからは長い年月の中で積み上げてきた経験やスキルに対するリスペクトが感じられます。

シニアには今まで培った経験があります。仕事でも趣味でも、その経験を教えるカルチャースクールがあれば、社会人から若い人まで受けるのではないかな。例えばプラモデル、例えば囲碁将棋、例えばビジネススクール、なんでも得意な分野を教えられたらすごいですよね
時代は違っても培ってきた豊富な経験や実績は若い世代にとっていつも大きな財産です。学校で放課後の学童保育スタッフとして参加してもらったり、子育てのヒントや生活の知恵を披露しあうイベント。美味しい家庭料理の講習会。お手玉やけん玉・あやとりで遊ぶのも面白いです

◆地域の子供たちなどと世代を越えた交流をする?

地域によっては既に行われているケースもあると思いますが、地域の子供たちなどと交流するというアイデアも複数見られました。シニアの方がイキイキと暮らすために、という観点はもちろんですが、その一方で「子育て支援における人手不足の解消」という生産年齢世代のニーズも少なからず踏まえていると言えそうです。

幼稚園、保育園、シニアが一つになった施設で交流出来たら一番良いのではと思います。園の先生だけでは手に負えない事もシニアの経験と余裕のある心で大らかに子供を育てるのがいいと思います。延長保育の時間にコマ回し、けん玉、竹トンボ、あやとり、メンコ、竹馬で遊ぶ。我が家の子供達が小さい時にこんな場所があったら良かったな
子供はいるけど孫はいないとか、孫の面倒を見たくても子供らは遠方にいるというシニアは意外と多い。そんなシニアがグループを作って地域で自分が子育てしてた経験を生かす子育て支援ができるといいのに。昭和の頃を思い出してもっと地域でゆるく面倒を見られないものでしょうか?

◆やっぱり仕事が生き甲斐に?

「自分の存在価値が発揮されるのは”仕事”というシーンである」というのは、時代や世代を越えて存在する考え方なのかもしれません。得意分野を活かしたり、シニアでも無理なくできる範囲で仕事をすることが重要だというユーザーボイスがいくつも見られました。

いくつになっても自分の力で収入を得られることは明日への活力となります。得意分野を活かして自宅にいながらでも収入を得られるシニア向けの楽しい内職や派遣の仕事があれば良いと思います
今人材不足の場所のひとつに医療界があります。食事の準備やリネンの交換など、高齢者にも可能な仕事は沢山あります。働きながら高齢者同士で思い出話に花を咲かせてお互い楽しむ。老々介護が増えていく中での経験にもなります。また、勤務中体調不良になっても、医療機関なら早期発見出来ます
一度リタイアして大学などで講座を受講して新たなスキルを学び直し、それを活用して新しい活躍の場を見つけるサイクルが気楽にできるといいと思います。シニア向けの奨学金だったり、再雇用する企業が負担するなど、リタイア〜学び直しまでにコストがかかりすぎない工夫があれば

3つめのユーザーボイスは、新たにスキルを学ぶために勉強できる仕組みがあったらというものですが、仕事で生き甲斐を得るアイデアの一つとして同時にご紹介しました。「人生100年時代」ではそれくらいの時間を掛けて学びなおすことも現実的かもしれませんよね。

◆どれもこれも素晴らしいアイデアなのに、どうして進まない?

さて、ここまでのユーザーボイスを見て、ふと思うことがあります。それは「どれもこれも素晴らしいアイデアであり、すぐにでも実現できそうなのに、なぜ取り組みが世の中で進んでいかないのか?」というものです。

地域などによっては取り組みが進んでいる例もあるでしょう。ただ、日本の社会を全体的に見れば、答えはNOだろうと思います。なぜ取り組みが進まないのでしょうか‥? とあるアイデアを投稿してくれたユーザーボイスの前段部分の抜粋をご紹介しますと、

テクノロジーにはついていけない、物覚えが悪くなるけどプライドは高い、動きも遅いし、病気にもなる。そんな年代を切り捨てて若い労働力を求める社会です

厳しいようですが、経済的なシステムや合理性などを考えると、この言葉に集約されてしまうところは否めないように思います。

そもそも現代社会において、生産年齢などの若い世代からシニアへの期待値は「手伝ってもらう・足りない部分を補ってもらう」という観点が強いのではないでしょうか。だから、それなりにリスクを感じたり、時間軸やスピード感が合わなかったり、というネガティブな点が強調されやすいと感じます。従って、身近にいるシニアはともかくとして、誰にでも頼めるわけでもない‥それならばコストも安い、若い世代や外国人労働者に頼ってしまう‥。つまり端的に言ってしまえば、どうしてもシニアにお願いしたい切実なニーズや理由がないということなのだろうと思います。

このことを、先ほどまでのユーザーボイスも踏まえて考えると、次のようなインサイトが存在しそうです。理念や価値はわかるが、自分ゴト化はなかなかしづらい‥そんな意識が根底にあるのではないかと感じます。

図1

◆このインサイトを乗り越えるアイデアは?

シニアがイキイキと暮らせる社会の実現に近づくためのアイデアを考えるうえでは、こういったインサイトがあることを受け止めたうえで、乗り越えるアイデアを考える必要がありそうです。

今回、アイデアを議論するにあたって『若い世代との時間軸やスピード感の違いを、どう解消するか』に着目しました。その結果、大きな方向性として次の2つが見えてきました。1つめは方法(how)を、2つめは場面(where)を主軸にしたものとも言えます。

図2

①インターネットなどのテクノロジー活用で乗り越える

ある意味で”現代的な”解決方法とも言えそうです。ユーザーからもオンラインを活用したアイデアはたくさん挙げられました。一部ご紹介しますと‥

Twitterなどの短い文章でもいいので「こんな時はどうしたらいいのか」など問い合わせに大先輩であるシニアが一言答えるのがあるといいと思います。無償で父も退職した会社のアドバイスや力になることをたまにパソコンでやっているし、年金暮らしの知人もパートで会社に通っていて楽しそうです
仕事、趣味、家事などで、相当な技術をお持ちのシニアの方は多くいらっしゃると思います。しかし、YouTubeなどのSNSで発信できる方は少ないと思います。そんなシニアの方に、格安で代行するサービスがあればイキイキと暮らせるのではないかと思います

直接対面しないからこそ、時間軸やスピード感の違いが気にならないメリットが生まれるというのは、ある種の逆転の発想ですよね。

ただ、これにはやはり課題もありそうです。一つはいわゆるITリテラシーの問題で、慣れた人のサポートが必要となるであろうこと。もう一つはオンライン上のコミュニケーションを前提とすることで「社会との繋がり」感が希薄になってしまう可能性です。「社会との繋がり」は生き甲斐を感じる上で重要な役割を占めているという説もありますし、これをカバーする何らかのアイデアも同時に必要かもしれませんね。

②シニアが主役であり、時間軸やスピードを気にする必要のない活躍の場を作り出す

もうひとつは、仕事の内容に関するアイデアです。冒頭の方でご紹介した「シニアでも無理ない範囲でできる仕事」に加えて、シニア自身が主役であるという観点が強いものです。シニアが主役ということは「シニア自身がペースを作れる」といったメリットにつながりそうです。

もうあまり見かけませんが、駄菓子屋の復活を希望します。私が幼い頃には近所や通学路に駄菓子屋、文房具屋があり店主がシニア世代の方々でした。儲け度外視になりそうだけど無理のない範囲で子供達とシニアの交流の拠点になると思う
シニア世代で青春を作り出すのはどうでしょう? 例えば文化祭をシニア世代でしましょう! と企画をして参加者を集め、時間をかけて計画し、最終的に文化祭を実行して、地域の多くの世代の方や地域の外からも来てもらう。文化祭の後は、メンバーで打ち上げなんかして達成感を味わえたらとても良さそうな気がします!

2つめのアイデアは、いかにもシニア自身が主役という感じがして良いですね。同じような発想で、例えばシニアが主体となって公園などの施設をプロデュースするといったアイデアもありそうです。企画から造成まで各人ができることをして皆が活躍するイメージですが、いろいろなスキルや得意分野を持ったシニアが集まったら、いろいろなことができそうですよね。

◆大事なのは、世代を超えて皆で考えること

最後に、ユーザーボイスから得られた重要な指摘をご紹介します。

老いを実感していない世代が考えてもダメ。シニア自身に考えてもらい実現できたら

これは本当にそうですよね‥。今回のお題では、まだシニアになっていない世代からのアイデアを中心に議論しましたが、シニアの気持ちやニーズを聞いていないという大きな不足点があるのは事実です。とはいえ、シニアだけで考えたとしても、他の世代のニーズとのズレが生まれたりと難しい点もあるでしょうから、やはり世代を超えて皆で考えることが、シニアはもちろん誰もがイキイキと暮らせる社会への道なのかなと感じずにはいられません。

「Blabo!」では常に様々なテーマのお題を公開しており、ユーザーボイスの募集だけでなく、ユーザーとの対話を通じたアイデア創発支援などのプロジェクトを行っています。ユーザーとして声を届けたい方も、プロジェクトに関心をお持ちいただいた方も、どうぞお気軽にアクセスしてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※本コラムで紹介したユーザーボイスは、できるだけそのままご紹介していますが、一部で抜粋や文言修正などを行っています。また、これらの著作権はすべて株式会社Blaboに帰属します
※今回のお題に対するユーザーボイスは下記のサイトにて見ることができます
https://bla.bo/boards/1384
※1)ユーザー:Blabo!に登録している生活者の皆様

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