共に、不安を飛び越えよう。フリーランサーの生息域「PENGUIN GARAGE」が始まります
「このままで、いいのかな?」
ときどき不安に足が引っ張られて、前に進めなくなることがあります。
それでも「目の前の仕事を進めなきゃ」とがむしゃらに働き、再び不安に襲われる。
ひとりで頑張っていると、そんなループに陥ることはありませんか。
フリーランサーという働き方は、自分で選んだこと。でも何度もそのループに陥っては、ひとりでやれることの限界を感じる……。
それなら、似たような課題を抱えている人が集まって、「背中を預けられる」関係になれたら?
そんな発想から、フリーランサーが自分たちの生息域を共創できるコミュニティが始まりました。
その名も「PENGUIN GARAGE(ペンギンガレージ)」。ひとつ屋根の下で、ペンギンたちが集まっているようです。
このペンギンたちのように集える場所が欲しい!と思ったら、フリーランサーたちの生息域・ペンギンガレージをちょっとのぞいてみませんか?
■ ペンギンガレージとは?
フリーランサーの古澤恵太と松下清隆が意気投合したことをきっかけに、2021年1月にスタートしたオンラインコミュニティ。構想から1年、立ち上げから半年の試験運用を経て、承認制でメンバーの募集を開始。2021年8月に初めてのイベントを開催する(この記事の最後でお知らせします!)。
ペンギンガレージのきっかけは、フリーランサーの不安
ペンギンガレージが始まったきっかけは、30代のフリーランサー2人の悩みや不安にあったといいます。まずは2人の声を聞いてみましょう。
1人目は、ペンギンガレージの代表を務めている古澤恵太さんです。
企画やプロジェクトマネジメントを得意とする彼は、フリーランスのサービスデザイナーとして働くなかで、働き方に違和感を覚えていました。
古澤「これまでフリーランサーとして5年間、僕なりに楽しく働いてきたつもりです。ただ、自分が心からやりたいこととお金を稼げる仕事が、完全に一致しているわけではありませんでした」
働き方を、選べているようで選べていない。その気づきを前に、古澤さんが感じた疑問とは?
古澤「楽しくて満足感も得られて、なおかつフィーもよい仕事って、本当はもっとあると思うんですよ。でもひとりだと、その全てが揃った仕事を見つけて続けていく限界も感じていました。
そうやって悩んでいたら、あれ?おかしいぞと思ったんです。『フリーランサーとして仕事を自由に選べるはずなのに、不自由なのは変じゃないか』と」
ひとりでできることの限界。この壁って、多くのフリーランサーがぶつかっている悩みかもしれません。
2人目は、古澤さんと同じくペンギンガレージの立ち上げメンバー・松下清隆さん。
エンジニアとして4年間フリーランサーを続けながら、将来の漠然とした不安を感じていました。
松下「フリーランサーになってから仕事は順調ですが、10年後20年後も、同じ体力や気力で仕事をできるかわからない。何かアクシデントがあったら、それで終了するゲームを続けている感覚がありました」
身体を壊しても代わってくれる人がいない、会社が補償してくれることもない……これはフリーランサーとして、切実に不安を感じるポイントのひとつです。
松下「体力や気力と違って、時間をかければかけるほどたまっていくものは何だろうと考えたときに、僕は『人とのつながり』だと思いました」
そう思った松下さんが出会ったのが、古澤さんでした。ふたりはすぐに、互いの不安や価値観に共通点を見出します。
フリーランサーとして活動している人なら、同じような不安を抱えているはずでは? それぞれの専門性を掛け合わせたら、ひとりで活動するより、もっとおもしろいことができるのでは?
漠然とした不安を前進するエネルギーに変えてくれるのは、「人とのつながり」なのかもしれない──。
それなら仲間を増やして、悩みや不安を解決できる場をつくろう。
こうしてふたりは準備のために動き出し、「ペンギンガレージ」がスタートしたのです。
共通の目標を掲げずに、「多様であること」を大切にする
ペンギンガレージの立ち上げ当初から決めていた優先事項は、「無理せず、楽しく続けること」。
そのため、ペンギンガレージをあえて「仕事」にせず、関わる人が無理をしないペースで仕組みづくりを進めてきました。
松下「僕たちがフリーランサーとして解決したいのは、中長期的な課題ばかりです。
だからまずはペンギンガレージが持続可能な状態になること、そのためには発起人である僕たちがペンギンガレージを嫌にならないことが大切だと考えています」
たとえば会費制での運営は、ペンギンガレージとしてもフリーランサーとしても、持続可能な状態をつくるための工夫です。
古澤「ペンギンガレージを、発起人の直接的なビジネスにしないことにしました。会費は、仕組みを整えたりメンバーがやりたいことを実験したりするために使っています」
活動のなかで結果的に仕事につながるケースはあっても、ペンギンガレージとして仕事を斡旋することを、目的に掲げていないのだとか。
それなら、ペンギンガレージはいったいどんな集まりなのでしょう?
松下「『ギルド』のような職業コミュニティでも、共通の目標に向かう『チーム』でもありません。あとはオンラインサロンのように、誰かが真ん中にいるわけでもない。
ひとりひとりが目的を持ち寄って、仲間との関わりを楽しみながらやりたいことを実現していく『コミュニティ』なんです。
悩みを分かち合い、ナレッジを共有しながら、それぞれの目的に向かって前に進んでいける場にしたいですね。そのために『多様であること』をすごく大切にしています」
メンバーが多様であるからこそ、自分ひとりでは見落としていた問題に気づける。多様な視点の持ち主が集うからこそ、問題を解決できるさまざまな方法を得られる。
だからこそ、ペンギンガレージは企画の段階からずっと多様性を守ってきたのです。
このように大切にしたいエッセンスを決めていった結果、ペンギンガレージを体現する言葉に行き着きました。
変化の早いこの時代、
好奇心や課題感を同じくする仲間と出会い、
一人ひとりが培ってきたスキルや知識を分かち合いながら、
もっと身軽に、もっと健やかに生きられる方法を見つけられる。
フリーランサーが「健やかな生息域」を共創する場、
それがペンギンガレージです。
こうしてペンギンガレージは幕を開けたのです。
自分と違う考え方と出会うおもしろさ
▲オリジナルスタンプでSlackでもワイワイ
ペンギンガレージの特徴として掲げているのは、以下の3つです。
1. 「やってみたい」を楽しく実験できる仲間と機会
2. 不安を飛び越えるために、価値観でつながるコミュニティ
3. 新たな出会いから生まれる多様な学び
この特徴を体現する場づくりのために、発起人のふたりが毎週話し合いながら、立ち上げから半年間で少しずつ仲間を増やしてきました。
そんなペンギンガレージになぜ参加しているのか、どんなところに魅力を感じているのか、メンバーのみなさんにも話を聞いてみましょう。
まずは、デザイナーの西原英里さんから。
西原「フリーランサーだと、フィードバックをもらえる機会がすごく少ないですよね。
でもペンギンガレージでは、みんなで毎月の月末に振り返りをしたりシステム思考を学んだりするので、他では得られないフィードバックをもらえる貴重な場なんです」
▲毎月、自分のための振り返り会をしている
さらに西原さんは、やりたいと思っていたけれどひとりでは挑戦できなかったことを、ペンギンガレージで実現できたんだとか。
西原「みんなと話しているときに、音声コンテンツをやってみたいと伝えたんです。そしたらトントンと話が進んでいき、あっという間に毎週ラジオを収録できることになりました」
西原さんの「やりたい!」から始まったラジオ。フリーランサーの働き方や健やかに生きるヒントについて語らう場を「ペンギンの団らん」と名付けて、Spotifyで公開しています。
▲週1回配信中。外部ゲストを交えての収録も
ペンギンガレージの強みは、さまざまな経験を重ねてきたメンバーがいること。「こうしてみたら?」とアドバイスをもらえることが、挑戦する励みになっているようです。
西原「自分ひとりでは実験的にやりたくてもできなかったり、続けるのが難しかったりすることでも、誰かがいると続けられるんですよね」
続いて、現在は会社員でありながら、将来的に幅広い働き方を目指しているマーケターの植松佑太さん。ペンギンガレージの「多様性」を実感しているようです。
植松「自分の周りにいるのは会社勤めの人がほとんどなので、ここで話していると『こういう考え方の人がいるんだ!』と気づくことが多くて。
僕にはない考え方やスキルを持っている人ばかりなので、いつもたくさん学びがあります。ラジオ収録のためにペンギンガレージのメンバーと毎週話していて、すごく楽しいですね」
そんな植松さんがペンギンガレージで自分の悩みを相談し、メンバーからのアドバイスを実践した結果をnoteにまとめたところ、大きな反響があったそうです。
▲ 植松さんが公開したnote
考え方が違うメンバーと、仕事に関係なく定期的に話せること。
これはペンギンガレージのおもしろさとして、他のメンバーからも声があがっていました。
メンバーとじっくり関係を積み重ねられるからこそ、一緒に仕事をしている人や家族には話せない悩みも打ち明けられるのかもしれませんね。
▲何度もディスカッションを重ねてロゴも制作
ペンギンガレージでこれから何をやるかは、あなた次第
立ち上げから半年経って、形になりつつあるペンギンガレージ。
これからやりたいことについてはさまざまなアイデアが出ているものの、何を実現するかは「メンバー次第」なのだそう。
古澤「誰かのやりたいことを叶えてあげたい、というモチベーションだと、もしかしたらしんどくなってしまうかもしれません。
西原さんのラジオのようにやってみたいことを持ち寄ったり、誰かのアイデアに対して自分も飛び込んでみたりと、主体的におもしろがれると、ペンギンガレージの場を使いこなせるんじゃないかなと思います」
松下「ちょっとやってみたいことをサクッと実現できる点がペンギンガレージの価値だと思うので、新しく入る方と今のメンバーで一緒になって、いろいろな実験をしたいですね」
ペンギンといえば、ベンチャーマインドを持って果敢に挑戦する人を指した「ファーストペンギン」をイメージするかもしれません。
天敵が潜んでいるかもしれない海に最初に飛び込んでいくペンギンから生まれた言葉ですが、本来、ペンギンは群れで生きています。
最初に海に飛び込む一瞬はひとりぼっち。でもその後ろには、飛び込む姿を見守り、すぐに後に続いていく仲間たちがいるのです。
そんな野生のペンギンのように、フリーランサーにも挑戦を見守ってくれる仲間がいたっていいじゃない?
ペンギンガレージという「あり方」は、かろやかにそう問いかけてくれました。
フリーランサーの働き方についておしゃべりしませんか
ここでペンギンガレージからのお知らせです。
ペンギンガレージは結成から半年間の活動を経て、初めて外部向けのイベントを開催することにしました。
ペンギンガレージのことを知ってもらい、新しいペンギン仲間と出会っていけたらと思っているそうです。
他のフリーランサーの悩みを聞いてみたい。この悩みにはどんな解決方法があるんだろう?
そう思ったら、友だちとおしゃべりをするような気楽さで、気軽にペンギンガレージのイベントをのぞいてみてください。何かひとつ、新しい発見があるかもしれませんよ。
ご興味のある方は、サイトからお気軽にご連絡ください!
取材・執筆:菊池 百合子
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