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アルパカの逆走

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#滋賀県

冬の空猿も滑らむ青さなり

白菜でラグビー真似る日曜日 風に舞う枯葉と翔ける鶺鴒や 落ち葉踏む子らを見守る巨木かな …

吉田猿滑
10か月前

大津駅てくてく歩く寒鴉

幼児らとなき声競う水鳥や 越えてゆけひこうき雲をそこの鴨 我の影伸びて合流鴨の群れ 二十…

吉田猿滑
10か月前

湯豆腐とプリンを食べる二人かな

朝散歩季語を探して真鴨かな 入らない白菜鎮座冷蔵庫 雪達磨きみが望むは光?影? ぞなもし…

吉田猿滑
10か月前
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フリーター歳時記覗く夜長かな

夏終るほろよい五缶飲む友や 珈琲の粉がふくらむ秋日和 子が言った親孝行は生きること 死は…

吉田猿滑
1年前

雷と鼠のフットボール

硝子戸の外に白い彼岸花を見かけなくなったころ、行き詰まった神様の肌のように色褪せた畳の上…

吉田猿滑
1年前
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フリーター 駅のホームに 秋草履

秋の空の高を歌う鷺の眼に夜の月、 湖に映る光の粒を集め、軽い息を一つ吐く、 枯れ葉の雪が降…

吉田猿滑
1年前
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百日紅 季節跨いで 秋の風

めっちゃちっちゃい小石につまずいて恥ずかしくなって人のいないほうに目をやると背の高い百日紅の木が鮮烈な花を咲かせていた。 そのときぼくは木のてっぺんにチンパンジーを見つけた。長びく炎天にも深く潤う二つの眼はまるで自分のことを軽やかな鳥と勘違いしているかのようで実に微笑ましいものだった。 ぼくは百日紅にチンパンジーか、ちょっと惜しいなとひとり笑った。 ぼくは百日紅の木に近づいて、久しぶりにちょっと大きな声を出して訊いてみた。 「きみって、その木スベるん?スベらんの?どっちなん

夏の水滴、春の建設

学校は夏休みにはいった。 ぶ厚めの卵焼きを作りたくなるほどの青い陽射しで自己の象徴である…

吉田猿滑
1年前
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雷の液体、青の振動

嘘をつくことのできない六月下旬の湖沿いには夏を模した大輪金糸梅の残像が咲いている。青年は…

吉田猿滑
1年前
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