百日紅 季節跨いで 秋の風
めっちゃちっちゃい小石につまずいて恥ずかしくなって人のいないほうに目をやると背の高い百日紅の木が鮮烈な花を咲かせていた。
そのときぼくは木のてっぺんにチンパンジーを見つけた。長びく炎天にも深く潤う二つの眼はまるで自分のことを軽やかな鳥と勘違いしているかのようで実に微笑ましいものだった。
ぼくは百日紅にチンパンジーか、ちょっと惜しいなとひとり笑った。
ぼくは百日紅の木に近づいて、久しぶりにちょっと大きな声を出して訊いてみた。
「きみって、その木スベるん?スベらんの?どっちなん