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「3日間で集客の結果を出す」展示会は店舗を圧縮したような存在。

コロナによる不況、そしてEC市場の活性化等の影響により百貨店、GMS、SC等の商業施設では空きテナントが目立つようになってきました。これは、営業時間の短縮と来場者の減少により、各テナントの売上が減少してきたからであることは説明するまでもないことでしょう。現在、店舗や飲食店などの「商空間」はその転換点にあり、次のリアル店舗のあるべき姿を模索して、そして、結果の出ない店舗において、どのように売上を上げていくのか、悩んでいる方も多いのではないかと思います。また、「撤退」だけが全てなのか、何か現在の状況に対し打開策があるのではないか、模索している方も少なくないと思います。

前回の記事のように、その対策法の1つとして、「展示会の集客手法」が商空間にも応用できるのではないかと私は考えています。
実は、展示会でも同様の状況は起こっており、出展者のキャンセルと来場者の減少は展示会業界関係者にも深刻な影を落としています。今の状況下では、特に大手企業と地方企業の出展中止が相次いでおり、展示会を開催する主催者も、会場をどのように構成するか、この状況下でも出展をしてくれた出展者のためにどう来場者を集めるか、頭を悩ませています。

出展社が減り、来場者も減る。通常時(コロナ前)に比べたら、明らかに減ってしまった来場者。今の商業施設と同じような状況です。通常考えると、集客に失敗してしまうその状況で、「コロナ前より集客に成功した事例」もあります。

上記の記事のように、このブースは「ブース内での滞留時間」を延ばすことにより、コロナ前と比べて遜色のない結果を出すことができました。このように、客が少ない状況でも、空間の作り方次第で、ある程度の集客結果を出すことは可能となるのです。これはブースをデザインする身として「3日間で結果を出さなければいけない」という危機感により、「どのように自社ブースへ人を集めるか」厳格に取り組んだ結果です。

「店舗は展示会を圧縮したようなもの」
展示会ブースを考える時、常に私はこのように感じています。恐らく、店舗を設計するときには「3日間で集客の結果を出す」とは考えないでしょう。その場所を借りている数年間のことをまずは念頭に置き、できるだけ早く一般客に認知され、安定してお客様に立ち寄ってほしい。売上が落ちて撤退、ということのないように様々に努力する。そのように考えるのが一般的ではないでしょうか。

一方、展示会は違います。会期は3日間で終了。「終わり」が決まっています。その3日間で結果が出せるように、主催者は「見込み客」となり得る来場者をできるだけ多く集めようとします。わずかな限られた期間に「見込み客」が大量に会場にやってくる、そこで結果を出すように全力を尽くす。このように考えます。
つまり、捉えようによっては、数年かける集客を数日に凝縮している、このように解釈ができるのではないかと。いささか乱暴な解釈ですが、イメージは汲み取ってもらえるかと思います。

わずか3日間で結果を出す。そのためにブース計画時はかなり厳密に設計を行います。ブースの前を歩く全ての来場者を見過ごさないように。どのようにすればブースに気づいてくれて、どうすれば通路の「中央」を歩く来場者が、「1m」の距離を詰めて、ブースに近づいてきてくれるのか。
このことを知っていただいた時、3日間で集客を実現する展示会ブースの考え方は店舗や飲食店にも応用可能だろう、と想像していただけたのではないかと思います。


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