見出し画像

展示会(ビジネス系商談会)とは?

展示会とは何か。ここではどんな展示会について話しているのか。
まず、本稿ではこの点についてお話ししておこうと思います。
展示会というと個人で開催する「個展」のようなものを想像される方も多いと思いますが、ここでお話しする展示会とは、東京ビッグサイトや幕張メッセ、パシフィコ横浜、インテックス大阪など大型のイベントホールで開催される「BtoB商談会」のことを指しています。現在日本には数多くのイベントホールがありますが、ここで言う「商談会としての展示会」のほとんどが、東京・名古屋・大阪・福岡の4拠点で開催されています。

では、どんな展示会がそこでは開催されているのでしょうか。
業種・業界は様々で、雑貨系や食品系、化粧品系や機械系など、現在では、あらゆる業種の展示会が上記4拠点を中心として開催されています。開催の期間は、一般的に準備(設営)に2日間、会期が3日間という形式のものが多く見受けられます。その他、準備1日、2日間の開催といったものや、準備に3日間、4日間の開催というのもありますが概ね数日で終了となるものが多い、と考えていただければよいかと思います。ちなみに、海外では準備に1週間以上、会期も一週間以上といった展示会も多いので、それらに比べると日本はあっという間に終わってしまう、という印象です。

では、具体的にどんな出展者が参加して、どんな来場者が来ているのでしょうか。ここでいくつか例を見てみましょう。

1.バイヤーが多く来場者する「雑貨系展示会」

街中のSC、GMS、百貨店などで売られている様々な雑貨・商品を扱っている展示会には、ギフトショーやインテリアライフスタイル展、雑貨EXPOなどがあります。どの展示会も年に複数回行われます。これらの違いは「どこが主催しているか」。どの展示会も、来場するのは、百貨店等商業施設のバイヤーの方々。出展者は、そられの商業施設で商品を扱ってほしい、と考えるメーカーさん達で、各展示会の来場者数や出展者数、時期などの条件を比較して出展する展示会を決定します。その中で「ギフトショー」は、毎年2月と9月に開催されます。展示会の期間は3日間。来場者数はコロナ前で20万人を超えます。

2.その他の展示会は

ギフトショーなど雑貨系の展示会の他にも、化粧品系、食品系、機械系など、様々な業種の展示会があります。化粧品系の場合、会場に来る来場者はサロンの方々。食品系の場合、どの展示会にもよりますが、例えばスーパーマーケットトレードショーでは、スーパーマーケットのバイヤーさんが来場者、そのスーパーさんに対して営業をしたい企業、商品を置いてほしいメーカーの方々が主に出展しています。機械系の展示会の場合、テーマによって出展者する企業は様々でですが、展示会のテーマにしたがって、出展者の持つ技術を必要とする来場者が多く来場することになります。

これらのように、展示会は来場者のターゲットを絞り、そのターゲットに対して営業をしたい様々な企業が出展をする、という図式が基本形になります。

3.効率的な販促手法となる「展示会出展」

自社の商品・サービスをターゲットとなる顧客に対して販促する方法には様々な手法があります。相手が一般消費者(BtoC)の場合には、マスメディアによる宣伝や各種広告、SNSの活用などが主に挙げられるでしょう。一方で企業が対象の場合、ターゲットが限定的となり、上記手法だと効率がよくない場合もあります。そんな時、望むターゲット層が集中して来場してくれる「展示会出展」という販促手法は効率的で、この手法を企業としての主たる営業戦略に据えている企業は数多くあります。それらの企業は、「毎年この展示会には出るようにしている」という企業もあれば「とにかく様々な展示会に年に複数回出す」という企業もいらっしゃいます。どの企業も、基本的な営業先を展示会で見つけ、その展示会で出会った営業先に「後追」して受注を決めていく、という流れになります。効率的という点で、展示会に出展することが営業戦略的に重要な手法なんですね。また、展示会出展には他のメリットもあります。「望むターゲット層がまとめて来場してくれる」「とても効率的」ということの他に、「通常ならこちらから営業に行くところが、先方から来てくれるから対応が違っていてありがたい」と言ったリアルな意見もあるのです。これは、日常の業務の中で、相手先に営業に行くとどうしても、「営業に来た業者」となってしまい、立ち位置が下になってしまう。しかし展示会だと、お客様(顧客)の側からブースに来てくれるので立ち位置が「対等」になり、しかも話を聞いてもらえる、というもの。このことは想像以上に良いようで、「だから展示会に出る」という企業様も多いのです。

4.展示会に出展する費用は?

それでは、このような展示会に出展するために費用は実際にどのくらい掛かっているのでしょうか。業界では通常、小間の最小サイズである3m×3m(1小間)での出展料金はどの展示会でも概ね40万円程度となっています。これは、いわゆる場所代。2小間(6m×3m)を借りると当然倍の80万円前後、ということになります。この出展料金に加えてブース装飾費、販促資料費、人件費、交通宿泊費等が掛かって来ることになります。ブース装飾費は、1小間の場合、構造にもよりますが外注すると30万円から80万、それ以上となります。そして、地方から参加の場合、交通宿泊費も軽視できず4-5泊することを考えると、場合によっては一人10万円を超える場合もあります。

このように、展示会に出展するためには例え1小間の出展であっても最低100万円は掛かることとなります。ましてや、2小間、4小間、6小間となると掛かって来る費用は数百万円から1000万円を超える場合も多くなり、3日間開催される展示会が如何にコストの掛かるものかがお分かりいただけるかと思います。

5.展示会出展に失敗する事例

このように多額のコストが掛かる展示会で、どのようにすれば確実な出展の成果が出るのでしょうか。シンプルに考えると「出展して多くの来場者が自社ブースに訪れてくれて名刺交換が大量にできる」ということになるでしょう。そのことを考えた時に、ブースのつくり方が大きな影響を与えるので、ブースのつくりはとても大事、このことには多くの方が共感をしてくださるのでないかと思います。

当社は、日頃出展者の方向けに展示会集客セミナーを行っているのですが、セミナーにお越しいただいたお客様の中に、このような方がいらっしゃいました。もっとも多いのが「設営会社にデザインのよいブースを作ってもらったが、結果的に来場者がほとんど寄って来てくれなかった」という方。これは、ブースがきれいに作られているだけで「人を集めることを考えていない綺麗なだけのブース」だった可能性があります。「デザインが好きなデザイナー」がデザインしたブースにありがちなことで、「集めること」よりも「デザインがよい」ことを優先してしまっている場合にこのようなことになります。
また、このような声もあります。ブース設営会社さんが、「このように集客しましょう」とロジカルに説明してくれてブースを作ってくれたが、お客さんが近づいて来てくれない。といった内容です。これは、その集客のロジックが間違っていた、ということもあるかもしれませんが、それ以上に可能性があるのは、ブースは集客ができるように考えられてはいても、出展者の方自身の会期中の「立ち方・待ち方」つまりは「接客方法」がよくなかったがために集まらなかったということが原因としてあり得ます。

また、ブースがロジカルに作られており、結果として来場者が多く集まり、多くの名刺を獲得できた、という場合でも、結果として出展が失敗した、という例もあります。例えば、展示会に出展をして多くの来場者と名刺交換をしたが、「後追い」がうまく行かず、結果的に効果がなかった、という出展者の方。この方の場合の理由として考えられることは、展示会に出展すること自体が目的になってしまっており、展示会終了後の「後追い」の人員計画等の方法を事前にきっちりと詰め切れていなかった、という原因が考えられます。また、こんな方もいらっしゃいます。ブースに多くお客さんが集まったが、思っていた客層と違っていて、「本当に来てほしい来場者ではなかった」という場合。この場合は展示会前の目標の設定等が曖昧だった場合で、ブースに掲げたキャッチコピーの内容がずれていた可能性があります。これはブースの検討を始める前に、どんな来場者と出会いたいのか、どんなターゲットに訴求すればよい結果が出るのか、どんな受注ができれば自社の経営層が納得するような会社の売上に結びつく結果が手に入るのか、事前の目標の設定が甘かったということになります。この「目標の設定方法」については、後の章で細かくお話をすることとします。

これらから見てお分かりのように、展示会出展に成功するためには、効果的なブースを作ることがまず基本的にあり、そのブースを活かすために事前の目標設定等があり、展示会を得た後の結果を確実なものとするために、展示会後の後追いの工夫が必要、ということがお分かりいただけたかと思います。つまり、出展に成功するためには、ブースのつくりだけでなく、会期前・会期中・会期後、全てにおいて綿密な計画の検討が必要、ということですね。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?