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Winnyの映画と本

映画『Winny』(ウィニー)を観たらとても面白く、そのままの流れで原作本である『Winny 天才プログラマー金子勇との7年半』を読みました。
原作の著者は、弁護士の壇俊光さんで、Winny事件を弁護された方。映画では、三浦貴大さんが演じられています。

Winny開発者の金子勇さんは、東出昌大さんが演じられていますが、素朴な天才っぷりが実にそっくり。
映画の最後、実際の映像が流れるのですが、とても似ています。

映画は有罪を言い渡されたところで終わりますが、裁判はその後も続き、最終的に無罪を勝ち取ります。
映画でも、最後は無罪勝ち取ったよ、というのはエンディングロールの中で語られるのですが、原作本では無罪を勝ち取り、金子勇さんが亡くなられたところで終わりました。

映画と原作は基本同じストーリー。
感想をひと言でいうと、金子勇さんの7年半もの時間が裁判で消耗されたことが残念、です。


観たり読んだりした範囲では、検察も裁判官もあまりよい印象はなく、何故こんな善人を犯罪者に仕立てあげようとしているのか?と理解に苦しみました。
弁護側からの視点であるため、そのように見えてしまうのか、事実を客観的に見ても同じように感じるのか、そこは不明ではありますが、金子さんの人柄、Winnyの開発理由、他事例(Coinhive事件)を知ったりすると、弁護士の壇さんは特別誇張して書かれたとは思えないのです。

Winny事件が起きたのは2003年です。
その頃の自分は、PCは持ってはいるもののネットにはほぼ繋いでおらず、学業とゲームで使う程度、PCの知識もまだまだ浅いものでした。
Winny事件も、あまり理解なく、なんとなく違法ソフトを作った人が捕まった、みたいなよからぬイメージを持っているだけでした。
映画を観て、本を読んだことで、事件への理解度は正され、その印象は変わりました。
20年も前のことですが、改めて知る機会を得れて良かったですし、何より金子勇さんという人を知れたことが良かったです。
Winnyって名前は何となく聞いたことあるけど、怪しいイメージを持っている、胡散臭い感じがする、そんな人こそ観てほしい映画でした。

以前読んだルトガー・ブレグマンの『Humankind』で、人間は基本的に善人である、と述べられていました。
この事件、逮捕にまで至った理由は定かではありませんが、悪用を想定してかもしれません。
もっと善用に活用することを考え、技術者をフォローできる体制があれば、ずっと良い方向に進んだのでは…と思われます。

せめて悪用しないように注意喚起に留めるとか、合意のもとでソフトウェアの動向を監視するとか、いろいろとやり方はあった気もするので、残念だし惜しいと思う事件でした。

そんな事件を闇に置かず、改めて映画化されたことは素晴らしいですし、何か新しい技術への良いきっかけになればいいなと期待したいですね。


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