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ショートショート 豚箱

俺は殺人の罪をおかし、豚箱に入れられた。その豚箱は、文字の通り、豚ので出来た牢屋だった。俺はその中に放り込まれ、ナイフとフォーク、ガスコンロに、ガスを渡され、「食事はこの豚で食え」と、ムショの奴に言われた。
(あっ、これ、本物の豚なのか)
そこで俺は気づいた。この豚を全部食っちまえば、脱獄できるかもしれない、と。幸い、大食いには自信があった。なので、作戦を実行した。俺は毎日この豚を食った。元々太っていたので、ダイエットなんて気にしない気にしない♪とにかくここから抜け出したかった。それに、ここにいたらずっと腹が空くだろうと思い、一心不乱に食い続けた。ちょっと不満なのは、この豚は全く脂身がなかったことだ。豚を食い尽くした俺は、絶句した。まだ豚があるじゃないか。食っても食っても減らない。いや、そんなことありえないだろう。じゃあなぜだ...?
俺は豚を食うこともやめて、考え続けた。
なぜ食っても食っても豚が減らない!?おかしいではないか!?
「はっ!まさか...」
俺は一つの仮定にたどり着いた。
この豚箱は、マトリョーシカのように、中に豚箱がたくさん入っているのではないのか?俺が入っている豚箱は、その一部でしかないのか!!!
「それしか考えられない」
俺はこの豚箱を食い尽くすのにかかる時間を考えてみた。
簡単だ。

読者の皆さんもお考えください!


そう。それは、俺が釈放される時までだ。
これを食い尽くすには、多分、20年くらいかかるだろう。
俺はあと20年で釈放される。
それまでに食べられるかどうか...
急に胃袋が小さくなったような気がした。

俺は、毎日、豚を眺めて過ごしている...

これは、今から20年前の話。
この男は今も、釈放されていない。
刑務所に豚がいるのを見かけたらそれはこの男が入っているものなので、できれば助けてやってほしい...

END

#ミステリー

#豚箱

#久しぶりのショートショート

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