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着付け有資格者はかなり気を使う

土曜と日曜日で、娘の学校の文化祭がありました。

両方は大変だったので、日曜日だけ主人と娘のクラス発表や、部活での出し物、いろんなクラブやその他のクラスの出し物を見て回り、「若い子の力はすごい」と驚くばかり。

主人は、研究職なので科学部の子が時間を決めて行う「公開実験」を見に行って、「すごいね!今時の子は!」と興奮していました。

私は、ステージでの吹奏楽部の演奏や、静かに華道部・書道部の作品を見て、静かに過ごしていようと思っていました。

しかし、娘が待つ部を通り過ぎようとした時に、ある部活(お茶関係)で、女の子が、お着物の下前がずり落ちそうになって困っていたので、「さて、手直しして差し上げてよいものか?」と迷いました。

なぜ、迷うかというと、私は着付けに関する技能士資格を持っているので、手直しをしてあげてもいいのですが、お茶関係には、必ず師匠の先生がいて、その方が着付けをしているから、手を出すことができないのです。

その先生が着付けをしたなら、先生の「着付けのプライド」を傷つけてしまいます。

よく「着物警察」という言葉を聞きませんか?
いきなり、若い子が頑張ってきた着物の着付けについて、いちゃもんを言い出して、元の着付けを壊してしまうというものを。

私は、それはしたくなかったし、着付け技能士として、着付けられた方のプライドはへたに傷つけたくなかったのです。

まず先に、娘の部活の部屋に行って、娘に相談。すると、部活の友達の子がその部に知り合いがいるからと、交渉に入ってもらいました。

すると「入ってください!」と声をかけてもらえたので、事情を話して、お着替えのところで手直しをさせていただきました。

すると、補正(体のくびれを修正する)が入っていないことと、下前のひっかかりが悪くて、ずり落ちやすい状況になっていました。

もう一人、生徒のお母様から「すみません。祖母の着物を着せているんですけれど、丈は大丈夫ですか?」とお声をかけていただき、拝見しました。

丈は、本当は短めで着付けをされていたのですが、接客で動き回るというのを考慮して着付けているということもあり、「大丈夫ですよ」と根拠も説明して、いいお着物だったので「今日帰ってから、汚れがないかは見てあげてね」とお母さんにお話はしました。

あとで、食券を買って、主人とその部のお点前に行きましたが、美味しい上生菓子とお茶をいただいて、幸せ、幸せ。

念のために、着物のずり落ちがないかも見させていただいて、それも解決していたので、よかったです。

いつのころからか、「着物警察」「浴衣警察」という称号が出てきたかといえば、少々着付けの知識がある方が、着ている人に突然声をかけて「説教式」でいちゃもんをつけるところからだと思います。

それなりの礼儀のある着付け師は、いきなり引き止めて自分のルールをひけらかす事はまずしません。

自分で着た着物、または誰かに着せてもらった着物に対して、というより「着付け」に対して、着付けた人に敬意を払います。

着物離れが進みつつあるのに、浴衣を着る若い子が近年多いのは、着物に携わる人間として、喜ばしいことです。

学校の部活で、作法系は必ず先生が着付けをするので、プロ資格を持っていても、あまり口出しをできないということもあるので、かなり気を使います。

今回は、「助かりました。先生が気づいてくれなかったので、困ってたんです」という一言に、声かけをしてよかったと思います。

もうプロ資格で、着付け師の仕事はしていませんが、どうしても祭りや着物を着てお出かけする方の着物は気になります。

しかし、私は頑張って着物を着て歩いている方に対しては、よほど危険な状態(かなりの着崩れや帯解けなど)でない限り、その方の着方には口出しはせずに、尊重します。

着物を独自の着方で楽しんでいる方もいらっしゃるので、また新しい着物文化が生まれてくれること、そして、息苦しかったり、恥ずかしい思いをして着物嫌いにならないように、困った時は助けてあげたい、ただ、私の願いはそれだけです。

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