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短編小説『6月の雨』59

パンを購入し、土手に戻って木陰を探した。太陽が頭上近くになり陽射しが更に強まっている。
暫くして適当な木を見つけた。俺はその太陽の真下に作られた日陰に逃げ込んだ。
川を見渡せるその草の上に座る。直射日光を避けるだけでかなり過ごしやすくなる。

風が通り抜けると、汗が引いていき、火照(ほて)った身体にまとわりつく汗を一気に奪っていく。
それだけ歩いていた。恐らく休まずに2時間は歩いただろう。俺は靴を抜ぎ、靴下も脱いで裸足になった。

素足で土草を感じるのはいつ以来の事だろうか。風に草花が揺れ、足をくすぐられる。こんな感覚はいつ振りだろうか。俺は懐かしさに頬を緩めた。

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