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手術から三ヶ月。治療の間の不思議・びっくりアレコレ①

12月頭の右胸全摘手術から、早いものでもう三ヶ月。
手術した胸の辺りも、肩を反ったり、不意に身体を伸ばしたりすると少し突っ張ったりすることはあるものの、普通の姿勢ではすっかり馴染んで、普段はもう全摘していたことすら忘れてしまうほどである。

私は背中の首の少し下にアザがある。アザのことは普段はすっかり忘れていて、ふと鏡で目に入った時などに、「ああ、アザあったんだっけ」と思い出すくらいなのだが、この間、上半身が鏡に映った時に、「ああ、そうだった、胸切ったんだっけ」と、同じような感覚になった。
毎日まだマッサージもリハビリもしているのに、我ながらどれだけ忘れっぽいのかと思うけれど、あまり意識しないでいられるのであれば、きっとそれに越したことはない。

◇ ◇ ◇

化学療法はまだあと一つ残っているが、がっつりした化学療法と手術という大きな治療もひと段落。
このnoteは備忘録でもあるので、これまでの治療の中で、びっくりしたこと・不思議だったことなど書いておこうと思う。(どれも全て下らないことばかりだけれど、初めてのことばかりの治療の中でのひとつの経験でもあったのは事実)

びっくりしたこと

  • 肺機能検査がびっくりな検査だったこと

手術の前、化学療法がひと通り終わった後、心肺機能に問題が出ていないか、心エコーと肺機能の検査を実施した。乳がんになって検査もいろいろしたけれど、その中でも一番驚いたのが、この「肺機能検査」だ。
心エコーは横になってエコーを撮ってもらうだけのもので想像の範疇だったけれど、肺機能検査は想像もしないものだった。てっきり肺活量でも測るのかなと思っていたのだけれど、全く違うものだった。
吐く力や吸う力を調べるものらしいのだが、これまで受けたことのない検査で、受診者側に受診スキル(というかコツ)を要求するような検査(しかもかなりしんどい)なのだった。

検査の待合いでは、すでに中に検査中の人がいるようで、看護師さんなのか検査の方が大きな声で指示を出しているのが、外まで聞こえてきていた。
「ハイ、息を吐いてー吐いてー、吐いて吐いてーーーー! まだまだまだまだ! 吐いて吐いてーー。・・・もう!なんで息吸っちゃうんですか! やり直しです」
「ハイ、息を吸ってーーー、吸って吸って、吸ってーーーー! まだ行ける、まだ行ける、まだ行けます。 ・・・なんでやめちゃうんですか!」
受診者は男性のようだが、何度も失敗して、このやり取りを繰り返している。
聞いているだけでも、「吐いてー吐いてー」「吸ってー吸ってー」「まだ行けるまだ行ける」の時間が、「いやそんな長い時間無理でしょ・・・」と思うくらいに長いのだ。

そんな状況で、検査を受ける前からビビりまくってしまったのだが、途中でやめるとイチからやり直し(あれだけ長時間、息を吐いたり吸ったりし続けた苦労が水の泡)になるのだということが身に染みていたせいか、自分の検査では、やり直しは1回で済ませることができた。

検査は、太めのマウスピースを咥えて、鼻にクリップをされて行う。
マウスピースを咥えていること自体がすでに苦しい。マウスピースの横から息が漏れても失敗になるので、両手で口の周りもしっかりと押さえていないとできない。
勢いよく息を吐くといった検査もしたけれど、やはりしんどかったのは、吸ってー吸ってー、吐いてー吐いてーの検査だった。
そんなにいつまでも出来ないって!もう無理無理・・・と思い、最後はただ「うううう」とか言っているだけになってしまっていたのだが、それでよかったらしい。

いずれにしても、受診者側にこんなにコツとガンバリが求められる検査があることに非常に驚いたのだった。(高齢者にはこの検査はきっと難しいと思う)
<・・・皆さんも、この検査を受けられたのでしょうか???>

  • 毛の抜けた頭は冬寒い(急に寒くなった夜はナイトキャップいるよね)

化学療法で、やはり脱毛した。
最終的には尼さんのごとく、抜け残りもない状態にまで脱毛した。
トリートメントもシャンプーも必要なくなり、夏場も帰ってきてシャワーを浴びるのがとても楽になって(頭も顔と一緒に洗っちゃえるし、なんなら絞ったタオルで拭いちゃったっていい)、いつもショートカットの自分でさえ、うわあ男性って(超短髪の場合)こんなに楽ちんなのか!と、思ったほどだった。

でも、秋になったら、寒くて驚いた。
髪の薄い人はこんな寒さに耐えているのか、それはそれで辛いかも・・・と思ったら、知人男性いわく、すごく寒いところなら別だけど、長年かけてだんだんそうなって慣れてしまっているからそこまで寒さは感じない、とのこと。一気に髪がなくなったから、余計に感じるのだと。
常に肌が出ている顔も寒く冷たくはあるけれど、確かにそこまでは感じないからそうなんだろうなあと納得した。

秋も更けて、急に寒くなった日。
夜、頭が寒い・・・。
その日は帽子をかぶって眠った。
子供の頃、絵本で、外国のおじいさんやサンタクロースが帽子をかぶって寝ているのをみて、寝るときに帽子なんて?と思ったことがあったけれど、毛のないところは寒いのだと今なら分かる。

  • 「インディゴ尿」

(尿の話ですみません)
右胸全摘の手術の後、全身麻酔だったので、カテーテルもつけられていた。
溜まった尿を看護師さんが処置してくださるのだが、術後最初の時は、鮮やかな青い色をしていて驚いた。
「青い」と言ったら、「インディゴ尿」といって、手術の時に胸に使った薬剤でこうなるのだと聞いた。

手術の時にリンパ節をたどるのに使うのか詳しいことはよく知らないが、化学療法では赤い色の点滴のせいで赤い尿になったり、手術の時は青い尿になったりと、私の身体も忙しいもんだと思ったりした。
そういえば、術後の診断で見せてもらった、切除した私の胸の写真も、確かに何かに染められたような青い色をしていた。本物ではないような寒々とした切ないような色が印象的だった。

◇ ◇ ◇

手術や治療の間にびっくりしたことごと。
読み返してみても、どれも下らないことばかり。
今は少し懐かしくもある。
(とても長くなってしまったので、これまた下らない不思議についてはまた次に)

最後までお読み頂いた方には、下らない話にお付き合い頂き、ありがとうございました。

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