恋愛留学 (#2000字のドラマ応募作品)
私の名前は早瀬七海、26歳。北海道の小さな小学校で教え始めて3年。一浪までして教員になったのですが、OLになる自分は想像できないし、教師ならできるかも、、、とその程度の動機でなってしまったせいか3年目にして疑問がでてきた。こんな気持ちで教壇にたっていていいものか。さらに大学時代にできなかった海外留学へ野望がまたふつふつと湧きあがってきていた。「結婚したら留学なんてさらに遠のく。っていうかほとんど無理!」 その一方でそんなことを心配している自分をあざけ笑うもう一人の自分がいた。「結婚?できるわけないじゃん。無理無理。あんたには絶対無理!」 そう、わたしはうまれてから今まで、男の人と付き合ったことがない。ブスで気が利かない女と言われ続け、中学、高校でははいじめられっ子。合コン的集まりはことごとく避けてきた。親から期待されたこともなく、自尊心のかけらもなかった。なぜ彼氏ができないのか。この疑問に対しては私なりに、これまでの人間観察と経験を通して、答えがでていた。それが「彼女になれる為の三つの条件」。その1、ある程度かわいいこと。その2、守りたい存在であること。その3、気が利く女であること。この3つの条件を満たしている周りの女性たちは全員彼氏持ち、または既婚者。一方、この三つのカテゴリーにおいて私は下の下。もう棒にも端にもひっかからないのであります。ですから、留学なんていつでもできる思いつつも、そこはやはり私も一応独身女性。もしかしたら奇跡が起こって私にも結婚のチャンスが訪れるかもしれない!従って、留学するなら今しておかなければと思ったのでした。
そして私は、親の大反対を押し切って苦労して就いた教職をやめ、アメリカへ渡ったのでありました。留学先はオレゴン州ポートランド市のコミュニテイーカレッジ。滞在先は大学の掲示板で探し、不動産屋で働く28歳のナンシーというアメリカ人のお家の一室を借りることになったのですが、このナンシーとの出会いがわたしのアメリカでの大アドベンチャーを巻き起こすきっかけとなったのです。
年齢も近く、しかもお互い独身とあって、私とナンシーは休日には買い物に一緒に行ったり、リビングで映画をみながら泣き笑い、時には一緒にコンサートに行くなど、言葉の壁は勿論ありましたが、どんどん友情を深めていきました。女子力ゼロという点が私との最大の共通点。とにかく自由人で彼女のすることには予想がつかないものも多いのですが、そのクセの強さに人間味を感じ、彼女といること自体がクセになっていくのでした。風変わりな性格のなかに温かさもあり、懐が深い、そんな姉御肌の性格の持ち主。さらに、彼女を通して、ロバートという30歳のパーソナルトレーナーとも出会いました。実は彼はナンシーの元カレなんですが、ゲイであることをカミングアウトして数年前に彼女と別れることに。しかし二人はその後も親友同士というかなりユニークな関係。ロバートの歯に衣着せずにものをいう性格は私にはとても新鮮で、いつの間にかいろんなことを相談する友達になっていました。アラサー独身の私たちの会話では恋愛の話がよく持ち上がりました。ナンシーの女友達がネットで知り合った男性と婚約することになり、ネットでの恋活に関して話が盛り上がった時、私は「やっぱりそういうのって怖いじゃない。」と完全否定をしました。しかしその数日後、居間ではナンシーとロバートがコンピューターの前で大騒ぎ。なにをしているのかと聞く前に、「七海!すごいわよ!みてみて!あなたのプロフィールをみてこんなにたくさんの独身男が返信してる!」なんと私が知らないうちに二人は私のプロフィールをインタネットのマッチングサイトに載せていたのでした。あきれて何も言えなかったけどとりあえずもう載せてしまっていたので「とにかく私はそんな人たちとは会わないから」と一言。
しかしクレイジーな友達、ナンシーとロバートによって物事は勝手に進み出します。結局彼らが選定した独身男性たちとテキストでやりとりをして、予選通過の何人かと実際にデートらしきことをすることになったのですが、彼氏いない歴26年のわたしがいきなり文化も言葉も違うアメリカ人男性とつきあうというのですから、それはもう恋愛荒修行としかいえない流れになっていきます。穴があったら入りたい、豆腐の角に頭をぶつけて死にたいと言ったような経験を重ね、そのつどナンシーとロバートにアドバイス(教え?)をもらいながら遅ればせながら少しづつ男女関係のなんたらを学んでいきます。そして私は私のままでいいと、教えてくれた二人の友達に支えられながら成長していく私こと、早瀬七海。最終的に運命の人と出会い、奇跡的な結婚にこぎつくまでのストーリーです。
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