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士ではない。師でもない。婦である。

認知症の高齢者Aさん。長年看護婦として働いてきた自負がある。
「息子の電話番号知ってるか?」
「知ってますよ」
「息子に来て欲しい」
突然、そんな事を言う。

「どうしたんですか?」
「献体するんや!」
「えっ?」
「医療に役立つやろ?当たり前やんか!」
そんな立派な事を言いながら、他の利用者が鍵を掛けずにトイレに入り便座に座っていると、後から入って来て「早く退け!」とばかりに顔の横でズボンを下ろしケツを出している。

風呂拒否、靴下を脱がされるのも嫌。

訪問看護の看護師が、そのAさんの足の巻き爪を切ろうとして声を上げる。
「うわー、止めて!していらんて!」
訪問看護師が思わず呟く。
「やっぱり切らしてくれへんか」

私が、側に行ってお願いする。
「Aさん、看護『婦』やったんやろ?協力してあげてーな。この人ら後輩やん。爪切らしてあげて」
「しゃーないな」
Aさんはそう言うと、納得して自ら靴下を脱ぎ出した。

訪問看護師が呟く。
「この手があったか」

観察力が必要なんよね。
でもAさん、夜勤をやりすぎて認知症になったんかな?怖い!

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