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個別銘柄分析⑦ 住信SBIネット銀行

皆さん、こんにちは。
銘柄分析を共有して少しでも皆さんの投資戦略の一助になればと思います。
個別銘柄分析の第7弾は証券コード 7163 「住信SBIネット銀行」です。
(上場間もなく資料が少ないため、数値等に誤りがある場合もございますので参考程度に読んでください)

サマリー

・経常収益、純利益ともに増加傾向、配当利回りは未定(16%は誤り)
住宅ローンの増加とともに、BaaSの成長に期待
楽天銀行と比較すると伸びしろがあり、株価目標は年内1,500円

事業内容

インターネット専業銀行。ブランド「NEOBANK」サービスとしてインターネットをチャネルとした預金・積立・決済等の銀行業務、カードローン業務、投資・運用業務等の金融サービスを提供。
デジタルバンク、BaaS/Banking as a Serviceの2事業を展開。SBI証券と提携、顧客の資産運用や資産管理を支援。提携企業顧客向けの銀行サービス(「JAL Global WALLET」「T NEOBANK」「ヤマダNEOBANK」「SBI証券NEOBANK」「第一生命NEOBANK」「高島屋NEOBANK」等)の普及を推進。三井住友信託銀行とSBIホールディングスの持分法適用会社。

業績推移

経常収益・経常利益ともに右肩あがりの成長を続けています。直近の第三四半期決算では第三四半期累計経常利益が218億円と前期と比べて48億円増、純利益が145億円と前期と比べて15億円増となっております。通期利益予想に対する進捗率は75.6%で前期の第三四半期伸長率は73%だったため、順調にいけば、通期予想を上回る着地が予想されます。
4月1日時点でPER9.5倍と、三菱UFJの10.2倍、SMBCの9.3倍と同程度となっており、ネット銀行ではありますが割高感はありません。
また、配当利回り16.35%となっておりますが、2023年1月に利益剰余金を原資とする配当(1株当たり198円)に対する配当利回りが記載されているだけで、毎年の配当は行っておらず、来期の配当予想も公表されていないため、配当予想は未定です。今期の1株利益予想が128円のため、仮に配当性向を30%と仮定すると来期は約40円(配当利回り3.3%程度)くらいと予想します。

業績推移(IRサイトより)

財務状況

自己資本比率は7.64%となっており、メガバンクや優良地銀と比較すると少し見劣りし、4月に上場する楽天銀行の10.62%と比較してもやや劣る水準です。自己資本は1,465億円あるため、国債・外債の運用リスク等が表面化してもすぐに危険になる、といったことはないと思いますが、今後の自己資本の動向は確認が必要です。
決算資料をベースに同じくらいの4月上場の楽天銀行、地銀の雄の京都銀行、時価総額が同じくらいの群馬銀行4行で比較してみました。
住信SBI銀行は地銀と比較してそれほど割高感はなく毎年10%程度成長している点(後述)、銀行業務をインターネット上でサービスとして提供・他企業と連携・提供するBaaS(Bank as a Service)の今後の伸びしろを考慮すると割安という判断もできると思います。

決算資料を元に作成

今後の展開

住信SBIネット銀行の決算資料より事業セグメント利益を確認すると①デジタルバンク事業、②BaaS事業の2つのセグメントに分かれており、この2つのセグメントの動向がカギになります。

決算資料より

①デジタルバンク事業
銀行業務(預金・融資・為替)の中でも特に個人向けの住宅ローンが収益の柱になっていると思います。融資(貸出金)のうち、9割超が個人向けの住宅ローンとなっており、国内貸出金残高の5兆5,500億円のうち、5兆4,600億円(99%)が住宅ローンとなっております。
第三四半期時点で前年度末比で7,000億円超の貸し出し残高を増やしており、今後の若い世代を中心にネット銀行による借入が増えていくことが想定されます。
また、足元で固定金利は上昇の動きを見せているため、金利が上昇すれば利ザヤ増加が見込めること、また、ネット中心のため経費率が低く、金利競争においても他銀行よりも低い金利が提供できること、上場による知名度の向上による利用の促進が見込まれる、等が推測されるため、デジタルバンク事業は今後も拡大が見込まれます。
②BaaS事業
他業種への銀行サービスの提供事業となり、2023年4月2日時点でJAL、第一生命、ヤマダ電機といった大手企業へサービスを提供しています。
第一生命を例にとりあげると、利用者は振込手数料・ATM手数料が無料(回数制限有)、各種ポイントが獲得できる、といったメリットがあるとともに、第一生命も自社の保険サービスと銀行サービスを組み合わせることが可能となり、入院等で支払った保険金がネット銀行口座に振り込まれ、その保険金で個人年金に加入いただく、といった形でこれまで銀行を介してしまうことで見えなくなってしまったお金を管理できるようになり、保険×銀行のサービスが提供できるようになります
今後もBaaS事業は提携先が増えていくことが予想されるため、課金体系までわかりませんが、現時点で黒字事業のため、今後も収益への貢献が見込めます。

③楽天銀行との比較
4月に上場する楽天銀行と比較してみました。経常収益・純利益の増加率では住信SBIネット銀行の方が良さそうです。

IR資料から比較

目標株価

株価は1,217円(2023.4.2時点)、PERは9.5倍と他の銀行株と比較すると決して安い水準ではないと思っております。ネット銀行の将来性、直近の増収・増益率を勘案すると更なる成長が見込めると思いますが、SVB破綻を発端にした金融株の乱高下、今後の金利動向、日銀の金融政策の転換等、外部環境に依存する部分も多いと思います。株価はうまく波に乗れれば年内に1,500円は目指せると思います。

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