Valse Brillante Op.34-1(ダランベール桒形案)

Valse Brillante Op.34-1(ダランベール桒形案)

F.Chopin
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調律:ダランベールが著書内で「取り上げている」テンペラメント・オルディネールの桒形案(論文の記述に即して書くとややこしい……)、ストレッチなし
出典:「不等分か等分か――フランス18世紀音律の色彩、その曖昧さの魅力」桒形亜樹子 東京藝術大学音楽学部紀要 (35), 59-73, 2009、東京藝術大学音楽学部
https://ci.nii.ac.jp/naid/120005610545

先述のラモーの音律と関連のある音律でも鳴らしてみました。
出典内の記述にて、この音律自体はダランベール本人の考案ではなく、当時フランスで一般に使われていたものだと桒形氏が述べていますが、まさしくテンペラメント・オルディネールの一つということになります。それを桒形氏がシンプルな形にして、本人も特に贔屓にしているとのことです。


CからEまではミーントーン5度に合わせてC-Eを純正に取り(キルンベルガー第3法と同一)、EからGisまでの5度は700.2セント、CからAsまでの5度は左回りに703.2セントに取り、GisとAsを同一にして五度圏を閉じて完成するこの音律、実際に鳴らしてもラモーより遥かに実用的だと評します。

用いている調律データは微調整を施しているため0.1セント単位の誤差がありますが、3度音程の外れも小さく、ウェルテンペラメント的な側面も持つため、この曲にも十分使えます。ただし、純正5度が全くないため響きがぼやけてしまい、これを是とするか非とするかは聞き手によって分かれそうです。
変ニ長調、変イ長調だと響きが濁ると書かれていますが、少なくともこの曲ではドンピシャで使われているにも関わらず、全然気になりません。

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