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パンプス「を」選ぶのではなくパンプス「も」選べるようになった

「今日はスカートじゃなくてパンツなんだ!珍しいね~」
「いつもヒールのある靴履いてるね。スニーカーって履くの?」
「Tシャツとかパーカーって着る? 部屋着くらい?」

一年前まで、よく言われていたセリフ。私は学生時代から、きれいめの服ばかり着ていた。単純に、カジュアルな服装が似合わないと思っていた。だから、社会人になってからも、ワンピースやスカートにパンプス、といった服装ばかりだった。

会社にスニーカーを履いていくのは年に一回あるかないかくらいだったし、パンツも月に二回くらいしか履かなかった。だからたまにジーンズを履いていくととても驚かれた。

それが今や、スニーカーの割合が8割くらいになった。当たり前だけど、スニーカーってめっちゃ楽ですよね。足元の変化に伴い、ボトムスもパンツが多くなった。思わぬ変化だった。一年前の自分が見たらびっくりするに違いない。

スニーカーをよく履くようになったきっかけは、自粛期間に毎日朝の散歩に出るようになったことだ。ジャージやパーカーを着て外に出ていたので、足元は当然スニーカーにならざるを得なかった。

ほとんどの人が在宅で仕事をしていた頃だから、7時~8時くらいの時間はほとんど人がおらず、たまに人がいるとしても同じように散歩やランニングをしている人くらいだった。快適な散歩タイム。

しかし、緊急事態宣言が解除されてからは、これから出勤と思われるスーツ姿の人ばかりを見かけるようになった。私自身はしばらくリモートワークが続いていたのでそれまでと変わらず散歩できたのだが、出勤している人に交じってジャージ姿で歩くのは恥ずかしくなった。

そのため、服装を少し変えた。足元のスニーカーは変えず、ボトムスをジャージからワイドパンツに変え、わざわざリュックも背負ってで歩くようになった。「私も出勤です。服装が自由な会社なんです」と設定を自分に言い聞かせながら、颯爽と街中を歩いた。

そこから普通に電車に乗ったりするようになってからも、なんとなくスニーカーばかり履くようになった。さらに元々持っていたスカートはスニーカーには合わないものばかりだったので、自然とスニーカーに合うパンツばかりを履くようになった。

そうなってはじめて、以前の私は誰にも強制されていないのに「きれいめな恰好でいるべき」という謎ルールを自分に課していたことに気づいた。以前なら”ちょっと楽な恰好をしたいな”と思ったときも、無理してパンプスに足を通していたはずだからだ。

たまに人からなんでスニーカーとか履かないの? と聞かれ、「子どもっぽくなりそうだからですかね……」と答えたりもしたが、おそらくきれいめの恰好から外れるのは自分らしくないと思い込み、避けていたのだと思う。

だから、きれいめの恰好ではおかしい状況でしかカジュアルな服を選ばなかった。テーマパークや旅行などたくさん歩きそうなときはスニーカー、BBQなど服が汚れそうなときはTシャツ、といった具合に。

しかし良く考えるとスニーカーやTシャツは服装の一部だ。それを身につけること自体に"自分らしくない"とかあるわけがなかった。スニーカーも自分らしく身に着けられるように他の服装も変えようとしなかっただけだった。そもそも、自分らしくない恰好をしてようがしてまいが周りの人はほとんど気にしていないだろう。

今はもうパンツにスニーカーばかりだが「似合うね!」「ありぺいっぽいね」と言われることも増えてきた。”似合わない”も”自分らしくない”も幻想だった。

今でもパンプスを履くのは嫌いじゃない。かっこつけたいときや気合いを入れたいときにはとても頼れる存在だ。だけど、楽したくなるときに無理して履く必要はどこにもない。

無理せず、自分が心地よいものを着るのが何より大事だ。
今回スニーカーをよく履くようになったことで、パンプス「を」選んでいたのが、パンプス「も」選べるようになった。

自分の気持ちに合わせて選べるものが増えたのが、とてもうれしい。

今度はパーカーに挑戦かな。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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