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SNSは誰のためのもの?

「え、なんでそれで悩んでいるかわからない」

ちょうど一年前、「Twitterがドンキなんだよね」と言ったらこう返された。
もうちょっと悩んでいる気持ちに寄り添ったコメントをしてほしい……とその時は思ったけれど、今思い返すと私は悩む必要のないことで悩んでいたと感じる。相手の反応は至極真っ当だ。

当時の私はTwitterでツイート内容がバラバラになってしまうことをとても真剣に悩んでいた。欅坂のライブの感想を言っている時もあれば、コミュニティのイベントの実況をしている時もあるし、ライティングを担当した記事を紹介していることもあった。

フォロワーから見ると、よくわからん人である。だから、何者かをわかりやすくするための統一感がほしかった。ツイートするための指針を欲していた。

私が相談していた相手は、フォロワーが3万人いる人だった。自由に呟いているようで、少しドキッとするような背筋の伸びるツイートをするところが彼女の投稿の特色だった。彼女の言葉のファンも多いのか、いいね数は三桁以上のものばかりだった。だから私も彼女のように統一感がありつつも自然な運用を目指したいと思い、相談することにした。そんなわけで、私は冒頭の「Twitterがドンキなんだよね」発言に至った。

しかし、返答は「なんで悩んでいるのかわからない」だった。少し突き放されたようにも感じてショックだった。しかし、彼女に全く悪気がないことはわかっていた。「専門性を持ちたいとかではないんだよね?」「注目されたいわけでもないんだよね?」「自由に呟きたいとかでもないんだよね?」と質問を繰り返し、彼女なりに私の悩みを理解しようとしてくれていたからだ。

その日「統一感を持たせるためにはどうすればいいか」はわからなかったが、彼女の問いかけによって「何のために統一感が欲しいのか」に対する答えを持っていないことに気づかされた。「なんとなく統一した方がよさそう」という感覚だけ持っていて、目的がなかった。

おそらく、周りの情報にかなり影響されていた。「Twitterでは統一感のあることを呟こう」「フォロワーを増やすために他にはない情報を提供しよう」といった話を聞きすぎて、いつの間にか私も「フォローする価値のあるアカウントにしなければ」と思わされていたのだと思う。

もし企業アカウントであれば、関連情報を広く伝えることがひとつの目的になる。そのため、「何のアカウントなのかがわかりやすい」統一感や「お役立ち情報を発信する」有益性はファンやフォロワーを増やしていくために必要なことだと思う。

しかし、これは私の個人アカウントの話。他人の期待に応えるために開設したのではなく、自分が交流したり情報収集したりするために作ったアカウントだ。

だったら、自分の好きなように使えばいい。好きなものを紹介したければ紹介するし、告知したければツイートすることがなければツイートしなくていいし、トレンドの情報に興味がなければ触れなければいい。

だから、悩む必要なんてどこにもなかった。

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Twitterでは、最初は「自分がツイートしたい内容」だった投稿が、反応をもらえる喜びを覚えつい「反応がもらえる内容」に寄っていってしまいがちだ。「反応がもらえる内容」も変わらず自分がツイートしたい内容ならよいのだが、いつの間にか「求められているから」がツイートする理由になってしまうこともある。

「求められているから」が理由に代わってしまうと、自発的な動機が消えた状態での行動になる。自分がやりたい気持ちがないのに行動すると、心を無視して身体を動かしていることになるので、いつかバランスが崩れ苦しくなる時が来るだろう。

私もいつの間にか「Twitterでシェアするため」の行動や選択が増えていた。主に商品を買うときやイベントに参加するときに顕著に表れていた。

限定の商品を買ったり、期間限定のイベントに行ったりするとき、本来であれば「欲しいから」「行きたいから」が理由になるはずだ。しかし、最近の行動の動機を振り返ってみると「Twitterで盛り上がっているから」「Twitterで反応がもらえるから」ばかりになっていた。

Twitterでシェアして反応をもらえたり会話が生まれたりすることはもちろん嬉しい。だけど、Twitterでシェアするために商品を写真を撮っている時間やイベントに参加するためのお金や時間を使っていることにふと虚しさを感じるようになった。「本当に心の底からもとめていたんだっけ?」と自問自答するようにもなった。これでは、行動の主導権をTwitterに握られているのと同じだ。

人生の主体はSNSにはない。仕事をする、ご飯を食べる、寝る、遊ぶ、全てがSNSの外で起きていることだ。自分のやりたいことの一部がSNSであるはずだ。

やりたいようにやろう。本当に選びたいものを選ぼう。
なぜなら、SNSは自分のためのものだから。

こう決心してからは、フォロワーが減ったりタイムラインが雑多になることに対して焦りや不安を感じることがなくなった。これからも、SNSでは無理して他人に応えるのではなく、自分のやりたいようにやろうと思う。

他人の反応を狙って「いいね」をもらいにいくよりも、自分のやりたいようにやっていて「いいね」をもらった方がありがたみも増すこともわかってきた。

「自分のために」を第一にすると、本当にいいことだらけだ。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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