コーヒーブレイク

「1on1」は、ただ会話すればいいってもんじゃないぞ?

 パートナーシップを専門分野とする組織コンサルタントのHOSUです。
 今日は、息子のサッカーのつきそいでスポーツ公園にきて、草木が風になびく音を聞きながらの執筆です。

「1on1」って流行ってる?

 昨今、上司が部下と1対1で定期的に話し合う「1on1(ミーティング、面接)」なるものが流行っているそうです。
 わたしが知り得る限り、人事考課の時期に年2回面接していればいいほうで、まったくそういう面接さえやっていない組織もありました。

 この10数年は、うつや不眠等、メンタルに不調をきたす社員が多く見られるようになり、ストレスチェックも義務化されたことで、なお一層、社員をテイクケアして、心身に不調を来すことがないように、未然に予防することが社会的な要請としてもあるからでしょう。

 1on1が広がることで・・・

・そうしたメンタル面の不調を予防する
・仕事上のスキルアップをサポートする
・行き詰まっていることがないかを把握する
・部署として改善できる点を明らかにする

 といったようなことが期待されるようですし、だからこそ多くの企業が1on1をシステムとして導入しているのでしょう。

新しいことを導入する時のカギ!

 だいたい、「こういうのが良いらしい」という手法だけを、直輸入してくると、往々にしてうまくいかないことが起きるものです。

 かつて、「コーチング」もそうだったようです。
 上司から部下への指示・命令や、手取り足取りの指導ではなく、部下の能力や行動を引き出す対話手法として、1990年代初頭に日本に持ち込まれましたが、導入しようとした企業で「教わった通りにやるけれど、使えない」という結果につながり、使えない手法として、一度は履いて捨てられたそうです。

 コーチングをする上司が、指示・命令体質のままやってしまうものだから、部下は「上司が欲しがっている答え」を探してしまったり、「間違っては行けない」と萎縮してありきたりな答えしか答えなかったりしてしまったようです。要するに、コンテクストが変わらないまま、コンテンツ(コーチングという手法)を取り入れてみても、結果につながらないということが、実際に日本の企業は経験しているわけですね。

 なので、1on1を導入するのも、その導入の背景や意図が共有されていることが前提で、具体的な対話の手法(ルール)で実施されることが重要でしょう。

 「そんなことわかっとるわい!」という経営者の方もいらっしゃるかもしれませんね。だから、パートナーシップをテーマとしているわたしが、注目したいところは、そこではありません(笑)

 まず、経営陣や人事部が1on1を導入する説明をした時に、「会議に参加していたメンバーが疑問に思うことや、不安に感じていることを、持ち出せる時間を作ったか?」です。

パートナーシップのある1on1をやろう

 実際に、面談を実施する実行する人に疑問や不安等のひっかかりを持ち出せる体験をしたことがあるかないかは、その人が部下の面談をする時に影響します。

・疑問を持ち出しただけなのに、強くいさめられるような説明をされた。
・自分ができるかどうか不安を持ち出したら、「大丈夫!」と根拠のない励ましをされた。

 これでは、疑問も不安も解消はされません。そのまま、「じゃ、実施してくださいね」と言われても、やらされ感の中でやってしまったら、1on1が機能しない可能性大です。

 1on1が、もし、パートナーシップがしっかりある状態でできたら、きっと機能するんだろうと思いますよ。どんな不満を述べても、グチを言っても、悪態をついても、ツラさや不安を持ち出しても、まずは「何が起きているか?」をしっかりと受け取ってもらえて、そのことと今後のことを直結させる前に、切り離して十全と受け取ってくれたら、どんなにその1on1が待ち遠しい時間になるでしょうね。

 なんか、もっと、パートナーシップのあるコミュニケーションや場や空間を体験する人が増えたら、きっといろんな施策がいいように機能するんだろうなと思います。これからも、そのために、「あ〜パートナーシップって大事やな〜」って思ってもらえるような記事をアップし続けますね。

記事に価値があると認めてもらえることは、何より嬉しいですし、とても力づけられます。いただいたサポートはパートナーシップの価値が大きくなる使い方につなげます。