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パリは燃えているか 11

帰れないとなると体調不良もあいまって、このままフランスで死ぬかもしれないと思えてきます。フランスで客死なんて、佐伯祐三とかそういう昔の日本人の洋画家みたいと思いたかったけど、気分はもはやじゃがたらお春。
フランスはいいところだけど、待っている猫がいるしとにかく帰りたい。そう思いながら予定外の宿泊。一夜明けて、とにもかくにもPCR検査を受けて陰性ならば帰れる、という趣旨のもと、空港の中でPCR検査を受けられる場所を探しました。同行者の持つマクドナルドとは反対側の端、という位置情報はアップデート前のものだったらしく、行って探してみましたがそれらしい場所はありませんでした。職員らしい人に聞き、シェラトンホテルと言われて困惑。超有名高級ホテルでPCR検査を?と疑問に思いつつそちらへ向かいましたが、高級ホテルのエントランスに入っていってドアマンに「ここでPCR検査を受けられますか?」と聞く度胸はありません。そして、シェラトンホテルの手前で鼻に綿棒を近づけている図の描かれた案内板を見つけた時にはほっとしました。エスカレーターを降りたところ、シェラトンホテルのちょうど真下にその医療機関はありました。
72時間以内でなければ無効なので同行者も一緒に渡仏三度目のPCR検査を受け、12時ごろ結果が出ているからその頃また来なさいと言われてホテルに帰りました。その後しばらくしてスマホに検査結果が届きました。結果は陰性。当然です。これ以上足止めをくわずに帰れることに躍り上がって喜んだけど、同時に最初に偽陽性で観光の予定を滅茶苦茶にして予定の便で帰れなくした医療機関には「責任取れ」と怒りの感情も湧いてきました。
とはいえ帰れるわけで、結果がわかっている状態で足取り軽く空港の検査医療機関へ行き、帰りにシェラトンホテル併設のカフェで今度こそ帰れることを祝って少しリッチなランチをいただきました。フレンチバーガーを注文したのに付け合わせにパンが来たので、これはもしかしたら、ハンバーガーステーキという名前でパンにはさんでない、日本でいういわゆるハンバーグが出てくるのかな、と思っていたらひき肉をバンズに挟んだものが出てきました。ご飯料理に続きパン料理にもパンがついてくることが判明。値段も作り方もこちらの精神状態も違うから当然ですが、控えめに言っても前日のチーズバーガーの一億倍おいしかったです。デザートに注文したグラスヴァニラはヴァニラアイスクリームだけが運ばれてくると思っていたら、ココッシュみたいな見た目で土台のしっとりした物が来ました。こちらもおいしかったです。

グラス・ヴァニラ

翌朝の9:40の飛行機で、私たちはとうとうフランスを後にしました。

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