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新生・切貼民話、始動‼️〜蹴裂神社のコラー獣&切貼民話〜

これまで民話ゆかりの地を巡って素材を集め、それらをコラージュして作品を作ってきました。が、その表現方法を振り返り、ふと

「数々のコラー獣(=コラージュして生まれた幻獣)を生み出してXやInstagramで発信し、展示もさせていただいたけれど、肝心な『民話』の要素はどこへ行った?私自身の民話観をどう表現するの?」

と考えるようになりました。

そこで、山梨県市川三郷町にある「蹴裂神社」周辺を訪れた時の制作から、「コラー獣」と「切貼民話」をセットにして1つの作品として表現・発信することを閃きました。

私の民話観

私が民話に惹かれる理由、それは

その土地土地や、その状況などの要素が入れ替わり混ざり合い、変化しながら残り続けるから

です。
例えば河童について考えていきましょう。
河童は地域ごとに似通りつつも異なる姿をしており、河童に纏わる民話も同じように似通りつつも土地土地で変わってきます。引き摺り込む池の名前が違ったり、腕を斬られた場所や人が違ったり、妙薬を伝えた人が違ったり…。

それは「パクり」ということではなく、変化しながら生き残るという民話の特徴なのだろうと思います。そこに出てくる河童や天狗、もっと広い枠組みだと、妖怪や幻獣、怪奇現象などと呼ばれるような朧げなものを通して、人や物、環境、状況、出来事が新たな意味を持ち始め、紡がれていく。「いる・あり得る」と証明することは難しいけれど、一方で「いない・あり得ない」と否定することも難しい。だからこそ、誰も「絶対こうだ!」と言えず、したがって誰もが対等に語ることができ、変化させることに携われる…民話って民主的だなぁというのが私の見解です。

どのように〝民主的な民話観〟を表現するのか?

では、このような〝民主的な民話観〟を作品として表現すれば良いのでしょうか?
あれこれ考えた結果、「『コラー獣』と同様、民話もコラージュさせてしまえば良いのではないか?それが視覚的に分かるように表せば良いのではないか?」という結論に至りました。

既存の民話と私の創作民話を、あたかも実際に「切り貼り」しているように表現すれば面白いんじゃないかー。こうして、晴れて「切貼民話」という名前の伏線回収ができたわけです(←実は、ここまで考える前に見切り発車で「切貼民話」と謳ってしまっていたのは内緒🤫笑)

いざ、蹴裂神社〜歌舞伎文化公園へ


ここで、新生・切貼民話の作品たちを紹介する前に、今回の作品制作の舞台となった山梨県市川三郷町の蹴裂神社周辺の様子をまとめてみます。

初代市川團十郎発祥の地・市川三郷町にある蹴裂神社は、JR身延線の「甲斐上野」駅から徒歩10分ちょっとで行くことができます。車の免許がない私でも気軽に訪れることができました。

こちらが甲斐上野駅。甲府から身延線に乗り、30分ちょっとで着きます。
蹴裂神社周辺の景色。この日は曇り空でしたが、見晴らしが良くて綺麗でした✨
甲斐上野駅から徒歩10分ほどで蹴裂神社に着きます。ラストスパートの急坂が少しきつかった💦

この蹴裂神社は、甲府盆地誕生に纏わる民話が残る地の1つです。簡単にまとめると、

木花開耶姫の侍女が舞を踊っていたところ、乱暴な大男がやってきて邪魔をした。怒った木花開耶姫が「何か良いことをしろ!」と命じ、大男はかつて湖だったこの土地の周りの山を蹴って裂いて水を富士川へと流した。こうして、水が抜けた跡地に甲府盆地ができた。

というもの。
山梨大好き人間として、ぜひとも訪れたい激アツスポットですよね🗻‼️

さらに、周辺には上野城跡や文化資料館、子どもたちが楽しく遊べそうな歌舞伎文化公園がありました。

こちらが上野城跡。とても立派です‼️
こちらが歌舞伎文化公園。面白そうな遊具がたくさんあり、きっと地域の子どもたちの遊び場になっているのだろうなぁと感じました。
芝生には三升紋が!

このような場で集まったコラージュ素材たちはこちら!

なんだか顔みたいに見える木。
こちらも顔のように見える石。
木の実と石とが良い感じに重なっていました。
なんだか今にも動き出しそうな木。
形が特徴的な葉っぱ。
資料館近くに生えていた面白い形の植物。

コラージュ素材としては使えない(それ単体で完成されていると感じたため)けれど、面白いなぁと思ったのがこちら!

なんだかくねっとした形の石灯籠。「あ、どうも…ワタクシ、長年この神社におる者です〜」と丁寧に挨拶してくれそうで、なんかもうこれだけで大好きなのですが、後ろを見ると…
「あァ⁉️何ジロジロ見とんねん💢」とガンを飛ばされました笑
絶対生きてますよね、この石灯籠。勝手に「裏表石灯籠」と名付けました笑

さらに、この後で紹介する作品にも深く繋がるものを歌舞伎文化公園にて発見。

これは、公園に遊びに来た子どもたちが作ったのかな?何かの巣に見立てたのでしょうか?「これに纏わる作品を作りたい!」と直感的に思いました✨

新生・切貼民話の紹介〜「コラー獣」と「切貼民話」の合わせ技!〜

これらの素材を切り貼りして、今回も新たな「コラー獣」たちが数匹誕生しました!その中から4匹を紹介します。また、先に書いたような経緯から閃いた、既存の民話と創作民話とのコラージュ物語である「切貼民話」も併せて載せます。ぜひご覧いただけたら嬉しいです☺️

○蹴裂神社の大男

既存の民話に基づく作品を1つは作りたいなぁと思っていたところ、顔のような形の木と目が合ってしまい、誕生しました。
こちらが「切貼民話」のスタイル。古紙とノートをコラージュしたような背景に加え、文字のフォントも変えてコラージュ感を出しました。蹴裂神社と歌舞伎文化公園とを結び付け、よりハッピーエンドにした感じの切貼民話です。

○柔猿(やわらざる)

個人的にとっても気に入っている子です。コラー獣制作では先に素材を輪郭に沿って切ってから、あれこれ並び替えてピンときたら糊で貼るようにしているため、このようなフォルムになったのも決して狙ったわけではありません。だからこそ、「これだぁ!」という並べ方が見つかった時の感動は大きいです✨
山を蹴り裂いて甲府盆地を作ったのは柔猿だというアナザーストーリー的な切貼民話であるため、「大男」の部分を「柔猿」にしました。さらに、桃や葡萄などが作られている山梨県ならではのエピソードを付け加えました。

○まさかな

たまたま重なっておちてい落ちていた木の実と石、葉っぱが良い感じに魚の頭とヒレに見えたところから生まれたコラー獣です。ちょっと抜けている表情が可愛らしい!
ユーモラスな見た目のコラー獣であるため、切貼民話もギャグテイスト満載で書きました。既存の民話を「…まぁ、それはそれとして」でぶった斬るのがコラージュ的かと言われるも微妙ですが、ちゃんと既存の民話を受けて「でも、湖の水が抜けたら、そこに棲んでいた生き物たちは居場所を失うのでは?」と返しているため、側面まぁこれもこれで良いのではないでしょうか笑

○かぶたん

可愛いコラー獣が誕生!この「かぶたん」は、歌舞伎文化公園で見つけた巣のようなものから着想を得て「いつか、これを作った子どもたちに届いたら良いなぁ。だから、なるべく可愛らしい、子どもたちからも愛されるようなコラー獣を表現したいなぁ」と思っていたところ、偶然出来上がりました。名前もキャッチーかつ何か歌舞伎に因んだ名前にしたいなぁという意図があり、ひらがなかつ可愛らしい響きの「かぶたん」にしました。
巣らしきものを作ったのが子どもたちなのかは分かりませんが、この公園に来る子どもたちが「かぶたん、来るかなぁ?」「かぶたんのために今日もお家作ろう!」とわくわくする姿を思い浮かべながら切貼民話を作りました。

まとめ

以上、蹴裂神社周辺をフィールドワークして生まれたコラー獣と、既存の民話・創作民話が融合した新たな物語である切貼民話の紹介でした。個人的に、より自分が意図したい形にアップグレードできて嬉しいです。これまでに誕生したコラー獣たちも、新しいフォーマットの切貼民話を作り、それと併せて1つの作品としてリニューアルしたいなぁと思っています😊

これからも張り切って、いや、切り貼っていきます‼️

最後までご覧いただきありがとうございました☺️

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