おいぬさまに会いに〜御嶽山・武蔵御嶽神社〜
先日、東京都の武蔵御嶽神社を訪れました。
JR青梅線の御嶽駅からバスとケーブルカーに乗り、そこからさらに徒歩で本殿へ。傾斜がきつい箇所もありましたが、切貼民話のための写真を撮りながら楽しく歩くことができました。
御嶽山を楽しむ〜本殿までの道のり〜
道中、「御岳の神代ケヤキ」がありました。
長年生きた樹や石って動きや表情があるなぁと、切貼民話のフィールドワークをするようになってから感じます。これからもこの地でずっとずっと私たちを見守り続けてくださるのだろうなぁ。
また、私の実家の近所にも春になるとひょっこり咲き、「マムシグサ」と呼んで親しんでいた植物たちもたくさん生えていました。不気味だけど可愛らしいなんとも言えないフォルムに幼い頃から魅せられていました。この子たちも1つひとつ表情があります。
自然物だけでなく、不思議な人工物も発見。
こちらは階段に潜んでいる「天邪鬼」らしいです。踏むと邪気を払うことができるのだとか。後で調べたら他にもいたそうです。全部見つけたかった〜…!
こちらは何を模した何なのか分かりませんでした。ご存知の方、ぜひ教えていただけたら嬉しいです。独特な形に惹かれました。
他にも魅力的なものがたくさんありました!
いざ武蔵御嶽神社本殿へ
ケーブルカーの駅からゆっくり歩き、本殿へ到着。切貼民話のフィールドワークをしていたので40分くらいはかかったかな?武蔵御嶽神社本殿の標高は929mとのこと。雲ひとつない快晴だったこともあり、眺めがとても良かったです。
こちらは本殿前の狛犬たち。精悍な顔立ちでカッコ良い!迫力があります。
そして本殿。参拝される方々が多かったため上部分の写真です。
武蔵御嶽神社には天照大神をはじめとした様々な神様が祀られていました。
幻獣の類が大好きな私は、社を護る生き物たちに興味を抱きました。
こちらは「狛猪」。初めて見ました。なんだか可愛らしい。
もちろん「おいぬさま」もいらっしゃいました。大口真神の社にはオオカミを模った狛犬が。迫力ある表情がカッコ良いです。
こちらもオオカミでしょうか。一体ごとに表情が違っていて素敵。
12年に一度!大口真神式年祭へ
本殿周辺を散策し、いよいよ今回の目的である「大口真神式年祭」へ。12年に一度行われる儀式とのことで、前回山梨岡神社の「夔の神」の7年に一度を逃した未練もあり「これは何がなんでもお参りしたい!」と思って申し込みました。
儀式は当然ながら撮影ができませんでしたが、12年に一度しか拝むことができない「おいぬさま」からエネルギーをいただくことができました。オオカミの鳴き声を表しているのだと思われる「おおー」という神職の方の声に合わせて儀式の最初に社の扉が開かれ、最後には閉じられる場面(参拝者は頭を下げる)が印象的でした。その場面を直接見ないからこそ、「直接は見ることはできないけれど、大口真神を見ることができる」という矛盾を孕んだ世界に入ることができる…そんな不思議な体験ができました。
人間にとって、ともすれば名実共に牙を剥き被害を与える存在であるオオカミ。けれど一方で田畑を荒らす動物たちを追い払うこともある。そんな側面に着目して神様として大切にした先人たちの感性が興味深いなぁと思いました。
祓った罪や穢れたちはまた戻ってくるけれど、そうしたものたちも神様にしてお祀りすることで満足すれば引き返してくれるだろう…というマインドとも共通するように思いますが、四季というサイクルの中で恵みと災害両方を齎す自然と上手に付き合い続けながら紡いできた日本的な感性を、大口真神信仰からもうかがえるように思いました。両義的なものを多角的な視点から捉え、唯一の「答え」「結論」を求めるのではなく、その「あわい」に浸りながら揺らぎ続け循環し続けていく…。「合理的」「科学的」「客観的」が良しとされる現代社会において、こうした日本古来の感性の大切さに改めて気付かされます。
大口真神式年祭後、こちらのお札をいただきました。大切にしたいと思います。
おいぬさまのお土産
御嶽神社では、御神木の御守りと、今回の式年祭限定となる大口真神の御守りを購入。どこか愛らしさを感じる「おいぬさま」の姿が素敵。
また、道中にあるお土産屋さんで、こちらのトートバッグを買いました。
私はヤギやヒツジが大好きなのですが、その最大の〝推し〟ポイントは黒目(瞳孔)が横向きであること。そんなヤギさんっぽい目をしている「おいぬさま」のイラストにすっかり惹かれてしまい、式年祭限定のトートバッグと迷いに迷った結果、こちらを購入しました。
御嶽山を楽しむ〜登山道からケーブルカー駅までの道のり〜
帰りはケーブルカーではなく登山道を歩くことに。「下りなら行けるでしょ!」と思ったけれど、急坂で脚に負担がかかり、結構しんどかったです。けれど、道中にはたくさんの生命を持った自然物たちがたくさん!観光客やハイカーの方々にたくさん追い抜かされながら、特に史跡でも名物でもなく一般的には被写体にならないようなものたちを撮りまくりました。
歩いていると「やまのかみ」の案内がありました。こうして自然の中に神様を見る感性って良いなぁと思います。道中見つけたものたちも、やはり神様なのでしょう。
また、特に何か祀られているわけではないと思いますが、老木に積み石が置かれている場所がありました。こちらも詳しい方がいらっしゃったら教えていただきたいのですが、何か特別な場である雰囲気がしました。
まとめ
大口真神の由来であるニホンオオカミは、現在は絶滅してしまったと言われています。けれど、自然の両義的な側面の「あわい」に神を見る感性は大切に守り続けていきたいなぁと感じました。そのために私ができるアプローチは「切貼民話」なのだろうと思っています。
今回は御嶽山や武蔵御嶽神社のレポートをたくさん書かせていただいたため、次回のブログで御嶽山の切貼民話を紹介したいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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