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おいぬさまに会いに〜御嶽山・武蔵御嶽神社〜

先日、東京都の武蔵御嶽神社を訪れました。
JR青梅線の御嶽駅からバスとケーブルカーに乗り、そこからさらに徒歩で本殿へ。傾斜がきつい箇所もありましたが、切貼民話のための写真を撮りながら楽しく歩くことができました。

御嶽山を楽しむ〜本殿までの道のり〜

道中、「御岳の神代ケヤキ」がありました。

こちらが「御岳の神代ケヤキ」の案内。

長年生きた樹や石って動きや表情があるなぁと、切貼民話のフィールドワークをするようになってから感じます。これからもこの地でずっとずっと私たちを見守り続けてくださるのだろうなぁ。

「御岳の神代ケヤキ」。躍動感を感じる。

また、私の実家の近所にも春になるとひょっこり咲き、「マムシグサ」と呼んで親しんでいた植物たちもたくさん生えていました。不気味だけど可愛らしいなんとも言えないフォルムに幼い頃から魅せられていました。この子たちも1つひとつ表情があります。

「やぁ!会いにきてくれたんだね!」
「どう?凛としたフォルムが素敵でしょ?」

自然物だけでなく、不思議な人工物も発見。
こちらは階段に潜んでいる「天邪鬼」らしいです。踏むと邪気を払うことができるのだとか。後で調べたら他にもいたそうです。全部見つけたかった〜…!

階段に何かいる…!一度はスルーしてしまいましたが、「ん?いや待てよ?何かいたよな?」と思い引き返したら、こちらの方がいらっしゃいました。

こちらは何を模した何なのか分かりませんでした。ご存知の方、ぜひ教えていただけたら嬉しいです。独特な形に惹かれました。

龍と睡蓮の華のようですが…左側のものは、どことなく『もののけ姫』のデイダラボッチ感がある気もします。

他にも魅力的なものがたくさんありました!

なんだか妖精のような姿の植物。
これは巨大な獣の脚のよう。
なんだか動物の頭蓋骨みたい。
石垣をよく見ると顔みたいな模様が浮かび上がりました。
極め付けはこれ。石畳ですが、絶対これ鳥ですよね!

いざ武蔵御嶽神社本殿へ

ケーブルカーの駅からゆっくり歩き、本殿へ到着。切貼民話のフィールドワークをしていたので40分くらいはかかったかな?武蔵御嶽神社本殿の標高は929mとのこと。雲ひとつない快晴だったこともあり、眺めがとても良かったです。

標高が高いため、涼しくて心地良かったです。


こちらは本殿前の狛犬たち。精悍な顔立ちでカッコ良い!迫力があります。

狛犬って個体ごとに表情があるから好きです。
筋肉隆々な感じ。逞しいです。

そして本殿。参拝される方々が多かったため上部分の写真です。

様々な幻獣たちがあしらわれています。

武蔵御嶽神社には天照大神をはじめとした様々な神様が祀られていました。
幻獣の類が大好きな私は、社を護る生き物たちに興味を抱きました。

天照大神の社を護る狛犬。可愛らしさと凛々しさを兼ね備えています。
立髪があり、ライオンのようなイメージも感じます。

こちらは「狛猪」。初めて見ました。なんだか可愛らしい。

躍動感がありますね。尻尾も可愛いです。
牙や鋭い目も特徴的。

もちろん「おいぬさま」もいらっしゃいました。大口真神の社にはオオカミを模った狛犬が。迫力ある表情がカッコ良いです。

日本武尊を案内したことから、オオカミが神様として祀られるようになりました。
こちらが大口真神の社。
大口真神社の狛犬。もちろんオオカミの姿です。
こちらは対となる「阿型」のもの。

こちらもオオカミでしょうか。一体ごとに表情が違っていて素敵。

このおいぬさま、生き生きしていて好きだなぁ。

12年に一度!大口真神式年祭へ

本殿周辺を散策し、いよいよ今回の目的である「大口真神式年祭」へ。12年に一度行われる儀式とのことで、前回山梨岡神社の「夔の神」の7年に一度を逃した未練もあり「これは何がなんでもお参りしたい!」と思って申し込みました。

儀式は当然ながら撮影ができませんでしたが、12年に一度しか拝むことができない「おいぬさま」からエネルギーをいただくことができました。オオカミの鳴き声を表しているのだと思われる「おおー」という神職の方の声に合わせて儀式の最初に社の扉が開かれ、最後には閉じられる場面(参拝者は頭を下げる)が印象的でした。その場面を直接見ないからこそ、「直接は見ることはできないけれど、大口真神を見ることができる」という矛盾を孕んだ世界に入ることができる…そんな不思議な体験ができました。

人間にとって、ともすれば名実共に牙を剥き被害を与える存在であるオオカミ。けれど一方で田畑を荒らす動物たちを追い払うこともある。そんな側面に着目して神様として大切にした先人たちの感性が興味深いなぁと思いました。

祓った罪や穢れたちはまた戻ってくるけれど、そうしたものたちも神様にしてお祀りすることで満足すれば引き返してくれるだろう…というマインドとも共通するように思いますが、四季というサイクルの中で恵みと災害両方を齎す自然と上手に付き合い続けながら紡いできた日本的な感性を、大口真神信仰からもうかがえるように思いました。両義的なものを多角的な視点から捉え、唯一の「答え」「結論」を求めるのではなく、その「あわい」に浸りながら揺らぎ続け循環し続けていく…。「合理的」「科学的」「客観的」が良しとされる現代社会において、こうした日本古来の感性の大切さに改めて気付かされます。

大口真神式年祭後、こちらのお札をいただきました。大切にしたいと思います。

式年祭に参加するといただけるお札。

おいぬさまのお土産

御嶽神社では、御神木の御守りと、今回の式年祭限定となる大口真神の御守りを購入。どこか愛らしさを感じる「おいぬさま」の姿が素敵。

また、道中にあるお土産屋さんで、こちらのトートバッグを買いました。
私はヤギやヒツジが大好きなのですが、その最大の〝推し〟ポイントは黒目(瞳孔)が横向きであること。そんなヤギさんっぽい目をしている「おいぬさま」のイラストにすっかり惹かれてしまい、式年祭限定のトートバッグと迷いに迷った結果、こちらを購入しました。

御嶽山を楽しむ〜登山道からケーブルカー駅までの道のり〜

帰りはケーブルカーではなく登山道を歩くことに。「下りなら行けるでしょ!」と思ったけれど、急坂で脚に負担がかかり、結構しんどかったです。けれど、道中にはたくさんの生命を持った自然物たちがたくさん!観光客やハイカーの方々にたくさん追い抜かされながら、特に史跡でも名物でもなく一般的には被写体にならないようなものたちを撮りまくりました。

なんかイタズラっ子っぽい表情が可愛い石。
仲良しの切り株。
手みたいな木。
この石は海外の肖像画みたい。
複数の木が合体して何かに見えそうな「キメラ」ならぬ「木メラ」。
大きな口を開ける巨人の顔みたいな木。
獣の頭と蛇の胴体を持つ幻獣。
ちょっと怖い鬼の顔みたいな木。
この形も面白い!
龍?獣?の頭蓋骨みたいな木。
「ぼくもいるよ〜!」

歩いていると「やまのかみ」の案内がありました。こうして自然の中に神様を見る感性って良いなぁと思います。道中見つけたものたちも、やはり神様なのでしょう。

登山道にはところどころこうした案内が立っていました。
大口真神式年祭中に救急車の音が響き渡り、神職の方が「高い山にあるため怪我や事故はよくあるんです」という旨のお話をされていました。ここでも自然のアンビバレント性と、だからこその信仰、安全祈願という側面が見えてきます。
樹齢何年になるのでしょう。長い間この地を護り続けているオーラを感じました。
こちらがやまのかみの石碑だと思われます。

また、特に何か祀られているわけではないと思いますが、老木に積み石が置かれている場所がありました。こちらも詳しい方がいらっしゃったら教えていただきたいのですが、何か特別な場である雰囲気がしました。

この積み石はハイカーの方々が置いたものだろうか?

まとめ
大口真神の由来であるニホンオオカミは、現在は絶滅してしまったと言われています。けれど、自然の両義的な側面の「あわい」に神を見る感性は大切に守り続けていきたいなぁと感じました。そのために私ができるアプローチは「切貼民話」なのだろうと思っています。

今回は御嶽山や武蔵御嶽神社のレポートをたくさん書かせていただいたため、次回のブログで御嶽山の切貼民話を紹介したいと思います。


最後までご覧いただきありがとうございました。

かつてはこの森にたくさんのニホンオオカミがいたのだろうなぁ。

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