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「どこに行くんですか?」

ペガサス大学学長のペガサスハイドです。

最近、ある駅で電車を待っていると、中学2年生ぐらいの少年が突然話しかけてきました。

ベンチに座っている僕に「どこに行くんですか?」と、ちょっと小太りの少年がいきなり話しかけてきたのです。

その風貌と、ろれつが回っていない話し方から、何かの障害を持っている子供のようでした。

しかし僕は「今からA駅に行くよ」と普通に答えました。すると少年はまた僕に質問をしてきました。

少年「この電車で行くんですか?」
ハイド「そうだよ。これに乗って行くよ」
少年「どこに行くんですか?」
ハイド「A駅まで行くよ」
少年「この電車で行くんですか?」 
ハイド「そうだよ。この電車で行くよ」
少年「どこに行くんですか?」

「どこに行くんですか?」

少年の質問はループして、何度も何度も同じことを聞いてきました。それでも僕は「そうだよ、A駅に行くよ」と、同じ答えを返し続けました。

しばらくすると少年は気が済んだのか、僕に質問をしなくなりました。ちょうど電車も到着したので、「じゃあ行くね」と言って少年に別れを告げました。

僕が電車に乗り込むと、少年も同じ電車に乗ってきました。

すると少年は今度は違う青年に話しかけました。「どこに行くんですか?今からどこに行くんですか?」青年は少年を無視してスマホをいじっていました。

少年はあきらめて、今度は別のおじさんに「どこに行くんですか?今からどこに行くんですか?」と激しく聞きました。おじさんは「シッ!シッ!」と犬を追い払うような手つきをして、無言で少年をにらみつけて威圧しました。

誰にも相手にされなかった少年は、その後、割と大きめの声で独り言をブツブツ話し始めました。電車の中は「なんだ、あの子…」という空気に包まれました。

少年と目を合わさないようにする電車内…

可哀想だけど、この少年は周りからこんな風に避けられているんだと思います。きっと何かの障害があり、自分の行動が制御できないか、もしくは人から自分がどう見られているか客観視できないのでしょう。

僕も少年に話しかけられた時はちょっとビックリしましたが、単に会話をしたいだけなのかなぁと思って質問に答えました。旅先とかで知らない人が話しかけてくることってあるじゃないですか。僕はそんなノリと同じだと思って少年の会話に付き合いましたが、多くの人はギョッとして無視するか、離れて行くと思うのです。

僕は自分の見た目がコンプレックスです。これは障害ではないのかもしれないけれど、「なんだコイツ?」という顔をよくされますし、証明書と僕の顔をマジマジと見比べられたりします。避けられていると感じる時もあります。

誰もが違和感を感じる僕の顔…

僕はそんな自分を自覚しているので、仕方ないと思って気にしない様にしていますが、それでもちょっと悲しかったり、傷ついたりするものです。

「どこに行くんですか?」と聞いてきた少年も、人に話しかけては無視されて、もしかしたら同じように傷ついているのかもしれない。傷つくという感情がなかったとしても、どうして自分がいつも相手にされないのか疑問に思っているかもしれない。

僕は今、仕事で自分がどの道を行ったらいいのか迷っています。

少年は、もしかしたら僕の人生の道をたずねてきたのかもしれません。僕は今からどこに行くのか。どこに向かおうとしているのか。僕がこれから作り上げようとしている仕事は、果たして本当に社会貢献になるのか。自分の能力を存分に発揮し、自己実現できるのか。

そんな僕に、これからの人生の行き先を問いかけられた気がしました。

「どこに行くんですか?」

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