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【感想】真愛の百合は赤く染まる

ブランド : バグシステム 発売日 : 2019-11-29
原画 : るび様  シナリオ : 和泉万夜

◾️ストーリー

新しい町に引っ越してきた「真奈美まなみ」。
彼女はレズビアンであり、同じクラスの「愛実まなみ」に想いを寄せてしまう。
最初はそれを隠していたが、すぐに見抜かれてしまい、衝撃的な言葉を聞かされる。
「私もね……女の子が好きなの」
互いの想いを通じ合わせることができるようになった2人。
しかしその関係は、徐々にいびつなものへと変化していく。
「まなみ」の愛に「まなみ」はどこまで応じることができるのか。

やがて、真奈美と愛実以外の人間達も巻き込んで、
物語は大きく歪んでいく……。

バグシステム 真愛の百合は赤く染まる 公式HPより 

⚠️ここからネタバレあり⚠️





◾️ネタバレ感想

真に恐怖するのは人間の心そのもの
それはグロより恐ろしい

★はじめに

きました!バグシステムのヤバいやつ。
通称『まなかし』です。
『にくにく』同様に正式タイトルより通称で覚えがちですよね。こんなに可愛らしいビジュアルなのに、どうやら中身は真っ赤な百合グロ。その片鱗は公式HPのギャラリーを見て薄々感じつつも、やはり好奇心には抗えません。

本作に期待したのは、百合の無垢な白が赤く染まる絶望です。

やるなら徹底的に。
ぬるい展開など求めていません。
では実際にどうだったのか。

結論から言えば、メンタルブレイクからの歓喜。

今回の感想は、人間の異常すぎる狂愛に当てられてメンタルブレイクからの歓喜に至る理由を感情のまま語らせていただきます。
どうぞお付き合いください。

ほんの少しだけネタバレにならない範囲で『にくにく』についても触れていますので、未プレイの方はご注意を。
感想を置いときますので、よければご覧ください。



★まず大前提の話を

本作を楽しむにあたり、リアリティという視点を持ち込んではいけません。正直言って物語の展開はツッコミどころだらけ。
前作『にくにく』は上位種族の存在や、死して生き返るファンタジーな要素を取り込んでいた為にストーリーの整合性が取れていますが、今回はそれがありません。物語を進行させる上でどうしてこうなった?と、粗を探せばいくらでも出てきます。
ただ、それを理解した上で楽しむというのが正しい嗜み方。

陵辱系作品はある意味このルールの範疇かと思いますので、あくまで創作物という広い心を持って挑む作品であるかと思います。
ここさえ許容できれば、非現実が見せる娯楽を享受し、R18ならではの狂った表現に脳を震わせることが出来るはず。

つまり「細かいことは気にするな」でよろしくお願いします。


★美しい百合と狂愛の足音

物語の序盤は同性愛者として迫害された過去を持つ真奈美が、愛実という愛すべき理解者を得たことによる学園百合物語。自分の主観かも知れませんが、百合ってどこか神聖な雰囲気がある気がします。
そして2人の相思相愛は蜜月かの如く、求め合う無垢な白。

あぁ、たまには百合も良いな‥‥。

この先もきっと極上の美しい百合が見れると思っていましたよ。それと同時にこの美しい白が赤く染まる期待も。

愛が育まれる過程の描写はほどほどで、愛実の愛の形に異常性があるのは言葉の節々で垣間見えます。歪な愛の形は優子(実際は弟なので優)も。というか、そもそもの元凶は愛実と優子の姉弟。

拗らせ過ぎてて頭おかしいw

愛が歪む原体験は作中では深掘りは無く分かりませんでしたが、徐々に狂愛性が露呈してくると物語は一気に不穏な方向へ。唯一まともだったのは真奈美だけでしょう。ただ彼女も選ぶ選択肢により愛の形に飲み込まれていく。
では簡潔に登場人物について。

【本庄真奈美】

おどおどした庇護欲掻き立てる系ヒロイン。
純粋に可愛いと思えたのは真奈美だけだったかも。
虐げられる姿が魅力だった‥‥のか?
比較的まともだったはずなのに、狂愛に飲まれ狂っていく様は見応えがありました。
弱者のように見えて、実は強い意思と心を持っていたように思います。

【神崎愛実】

黒髪のお姉さん系美人。
エロいですね、うん。とても良い。
真奈美と出会うことで狂愛に突き進んでいく異常性。それでも愛の中身は本物だったので侮れない。
素直な感想としてはやっぱ怖すぎる‥‥。
ただ内心は愛に臆病だったようにも感じます。
その為か、真奈美が全てを受け入れた後に見せた狂愛は衝撃的でした。


【優子】

近親愛に狂う男の娘属性の弟くん。
姉が意外と感情的に対し、狡猾さを持ち合わせていた印象。
属性から百合ものを成立させるための竿役のようにも感じますが、彼がいたお陰で愛実の真奈実に対する愛が本物であったと証明されたので、かなり重要なポジションだったと思います。

【吉沢】

えーと、まずは謝罪ですよね。
すいません!とんでもない変態野郎だと思ってました!!実は生徒想いのいい先生だったんですね。完全にミスリードでした。
てか、扱いが可哀想過ぎる‥‥。



★常軌を逸したグロについて

結論から言えば、強烈すぎて脳にクルる恐怖のグロ、期待を超えたグロでした。
確実に『にくにく』より数段しんどかったです。

あかん!これ、あかんやつ!!

グロ塗れの猟奇的な描写のなかでも、ナイフでお腹を刺すなんて序の口。刺すだけではなく、裂いて中身を取り出すまででワンセット。
果てには取り出した子宮を踏み潰す。
他にも針責めや焼印、死体の解体に四肢の切断。
スチルだけに注目すれば『にくにく』と比べてもグロ表現に大きな差はありませんが、間違いなく『まなかし』の方がキツかった。
ではそれはなぜか。

狂愛という人間の感情ですよ。
真に恐ろしいのは人間の心そのもの。

要は心理描写が生々しい為に、ただのグロではなく、狂いに狂った恐怖の猟奇的表現に昇華されていたからでした。
これは『にくにく』には無かった要素です。

悪夢のような断末魔が響き渡る事で陵辱者は性的な興奮を覚え、もっともっととエスカレートしていく過程が次に起こる絶望を予測させるんです。
そして、それは予測を超えてくるんですよ。
優子ルートで真奈美を監禁した挙句に、左目に竿を挿入するシーンとか、誰が想像出来ますか?

?!?!?!?!
え、え、え?何が起きた???

流石に状況が理解出来なくて、5秒くらい脳がフリーズしましたよ。ここに至った理由は優子の愛実への狂愛と、真奈美に対しての憎悪。
心理描写がスチル以上の恐怖をプレイヤーに与えるわけです。そして頭かち割って絶命した真奈美の頭の中に挿入とか‥‥。

おいおいおい‥‥!?もうやめてー!!(心の絶叫)

流石に気持ち悪くてクリックを早めてしまいました。ここに取り上げたのもほんの一例。
頭が狂いそうになるほどの恐怖に宿る源は、確実に狂いに狂った愛という感情がもたらした人間の心そのものでした。やっぱ人間コワイ‥‥。


◾️狂い狂った愛にどこまで向き合えるか

これこそ作品に満ちていたテーマでもあるかと。
大きくルートは2つに分かれ、真奈美と愛実の強制的に育む狂愛と、愛実と優子の支配する狂愛。
5つあるエンディングは全て愛の形の成れの果て。


★真奈美と愛実のエンディング

【ハッピーエンド】

攻略ページを見ない状態で辿り着いた最初のエンディング。優子の死体解体を手伝うとか、愛実の異常性に飲まれてますよね。真奈美が犯罪に手を染める葛藤と、愛実の狂愛を受け入れるか否かが見どころでした。
同時にツッコミどころ満載でしたが、そこはスルーするとして。

一方的に愛を与えるのではなく、真奈美と愛実がお互いを理解し二人で歩む未来を目指したエンディングと言えるでしょう。

きっかけが首を絞め返すってのは笑いましたがw
異常性が伴う空間に飲まれてしまったようにも感じますが、個人的には愛が成せる究極の酩酊だったように感じます。

全てを投げ捨て国外逃亡することで得た安寧の時間。クリアした後に振り返ると一番平穏なルートという感想です。
でも平穏と言いつつ、中身はエゴに塗れた愛なので全く共感は出来ないですし、素直に気持ち悪い。猟奇性があまり無いルートでしたが、心理的な異常性を持つ恐怖のエンディングだったと思います。


【達磨•介助END】

正直言ってぶったまげました。
狂愛の真髄を見た気分です。
愛実の猟奇性に染まった愛の形は全く理解出来ませんが、狂いきった愛にも関わらず、邪念の無い純愛にも思えてしまうのが恐ろしいルートでした。
恐怖による支配は愛実の狂愛ゆえ。真奈美も愛に酩酊しているので、何が正しくて何が異常なのか理解出来てようにも感じます。
これは心理学上でいうストックホルム症候に類似していますが、二人の間には確かな愛があったと解釈しましたので、やはり純愛であったと結論づけることにしました。

それにしても、愛実の異常性癖が想像以上にえげつなく、それに伴う心理描写は猟奇的シーンの恐ろしさを爆上げします。
四肢の切断に至る二人の心理描写はあまりに狂っていて、身構えていたとしても目を背けたくなる光景に唖然となってしまいました。しかも切断した真奈美の四肢を料理して食べるという異常事態。
カニバリズムまで加わったらもうお手上げです。
頭おかしすぎる。

手足を奪ってまでも愛を伝えたい愛実と、手足を失ってまで愛に応えたい真奈美。
その後の二人は間違いなく幸せそうでした。
明らかにズレているにも関わらず、気づいているのか気付いていないのか愛を享受する二人。

「狂い狂った愛にどこまで向き合えるか」を思い知る最恐で最狂のエンディング。

このエンディングを見届けることで、『にくにく』を超えたと確信に至ります。

本作に期待したのは無垢な白が赤く染まる絶望。
帰結は「絶望」ではなく「幸せ」だったという想像以上の展開に歓喜したのは言うまでもありません。



【真奈美の裏切り・拷問エンド】

愛実の猜疑心が狂愛に堕ちていく過程がよく理解出来たルートでした。
グロ描写としてはエグい。とにかくエグい。猟奇性と暴力性を伴うダブルパンチ。
教育という大義名分のもとにプレイも豊富。陵辱系作品の王道展開とも言えるかもしれませんね。
たまに緩急つけた愛の営みもあるかと思いきや、やっぱりプレイの最後は異常性に振られる。これは期待通りにプレイヤーに絶望を与えてきます。
よく分かってる。

心理描写が秀逸なために恐怖感は大きく読み応えはありますが、先が読めてしまうこともあり、帰結は案外ありきたりだったかなとも思いました。
ただ、四肢の切断エンドと比べたらってことなので十分に狂気的だったと思います。



★優子ルートのエンディング

真奈美が優子に襲われる選択肢で家の中に逃げ込むからルートは分岐。これは百合ものの狂愛だけでなく、完全なる陵辱展開。一方的な狂愛による異常性を見せたルートでした。


【猟奇的教育と薬漬けエンド】

ぶったまげたパート2。内容としては姉に固執した弟の狂い切った偏愛でしたが、猟奇性だけで作品を見るならば、このルートが一番頭ぶっ飛んでたと思います。それはとあるシーンによって‥‥って、この記事はクリアした方に向けたネタバレ感想なので既にお気づきかと思います。

目に竿、脳に竿。おいおい、頭おかしいやろ!!

このシーンって唐突にくるので、先に述べた通りで状況に理解が追いつかず完全フリーズ。真奈美に対して優子の憎しみと狂い具合が絶頂してます。
脳がバグるってこういう事かと思い知ることになりました。
悲しくも真奈美は舞台から退場しますが、狂気はここからが本番。

薬漬けにされた愛実が快楽に堕ちていく様はこのルートだけが見せてくれたもの。
優子が愛実に語りかける言葉が異常すぎてドン引きしますが、貴重な快楽堕ちシーンはある意味見せ場でもあったように思います。
その反面、百合に期待した方には邪道とも取られるかもしれませんね。ここに作品評価の分け目があったように感じました。優子も男の娘属性から綺麗な顔の雄になってましたし。
因みに自分は2度美味しいと思えたので肯定派です。

このルートが上手いと思ったのは、全てのエンディングを見終えてから。エンディング自体は薬漬けで曖昧に終わったので、何か帰結に物足りなさを感じてました。
ここまで苛烈だったのに最後なんか生ぬるいなって。それが最後に解放されるシーン回想で覆され、抗いようがない絶望を見て拍手しました。

そうそう!これ!これよ!!(末期の感嘆)

薬漬けからのホルマリン漬け。
愛実のお腹を裂いて臓器を取り出し絶命する。
救いようがなくて震えますが、やるなら徹底的にやったほうが作品価値は上がるというもの。
素晴らしい最期でした。


【自殺失敗の虚無エンド】

このルートも救いようがない絶望的な帰結でした。そしてぶったまげたパート3。
見どころはなんと言っても子宮摘出シーンでしょう。優子に犯された真奈美を綺麗にする行動が、まさかこんなところに繋がるなんて‥‥。
この発想の豊かさに恐怖します。そして摘出した子宮を踏みつぶす。絶叫しながら踏み潰す。
怖すぎ。

このルートが意味を成したのは、真奈美を心から愛していた愛実の狂愛が本物であったと証明されたことでしょうか。
真奈美だった肉塊への感情も秀逸。そのまま身を投げて自殺を図るも失敗してしまう絶望。
もう救いようが無さすぎて泣けてきますね。
この先に未来なんてありません。
まさに虚無とはこのこと。

短いのですぐに終わってしまうルートの割に、詰め込まれた内容は濃厚すぎて吐き気を催す狂気のルートでした。



◾️えっちシーンについて

百合における「美しさ」が狂愛によりだんだん壊れていく様こそ、本作におけるえっちシーンの真価であったと感じています。
美しいものが散りゆく瞬間は、描写が美しくあればあるほど価値あるもの。
ただ残念なのは、本作の「美しさ」の散り際は全て狂気に飲み込まれています。
そもそもそんなこと期待するのがお門違いですが、美しさが醜さに堕ちていく絶望的な「美しさ」を見たかったのが本心ですね。
この感覚、伝わりづらくすいません。

さて、内容についても少しだけ。
結構えっちだったなと。『にくにく』と比較すると、ちゃんとえっちシーンしていたなという感想。
前半の百合シーンはなかなかに美しく、艶かしい。
自分はあまり通らなかった系統だったので新鮮な気持ちで昂りましたw

百合シーン、なかなかええやん‥‥。

えっち具合は弱い気がしますが、美少女が絡み合うってやっぱり神聖なものを見ている気持ちになります。その分優子のルートでの薬漬けにされた愛実は直球の快楽堕ちで分かりやすくエロい。
性癖に刺さる方には良かったのでは。


◾️最後にまとめ

率直に言って期待以上の作品でした。
生ぬるい展開など一切なく、徹底的にヒロインを追い込んだ事は称賛に値します。その決定打になったのはやはり心理描写が生々しかったからでしょう。
前作の『にくにく』は超常の力による愉悦だったのであくまでファンタジー。ただ本作は生々しさが加わり、脳が侵されていく感覚がダイレクトなだけに心に受けるダメージもクリティカルだったのが素晴らしかったです。

今月発売する次回作『死に逝く騎士 異世界に響く断末魔』にも期待大でございます。
やはり怖いのは人間の心そのもの。そんなことを感じながらこの感想を締めさせていただきます。

狂気の作品を世に送り出してくださったバグシステムの皆様、作品に関わられた全ての方に感謝を。
また、この感想にお付き合いくださったあなたにも最大限の感謝を。
ありがとうございました。

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