ポーランドの中絶法改正

10月末にポーランドの中絶法の改正が可決された。

従来の法では以下の理由による中絶が可能だった。

(1) 母体の生命が危険に侵されている場合

(2) 胎児に先天性疾患による異常が見られる場合

(3) 強姦被害による妊娠の場合

新改正母体では(2)の胎児の先天性異常が違憲であると認め、この理由による堕胎を行わないと憲法裁判所 (日本でいう最高裁) で可決された。

ポーランドの中絶件数の90%が(2)の理由であり、内訳は

20〜25%がダウン症診断

75〜80%が妊娠期間中及び出生後の生存率が低いものである。

この法案が可決されてから毎日デモ活動が活発に行われている。

交通機関の麻痺や職場や大学でのストライキ、政党サポーター同士による暴力への発展、デモ参加者と警察の衝突により社会は更に混乱している。

人権保護と個人の自由の主張が元からあった民主主義運動が絡み、複雑化したのである。

私から見た限りだと充分「個人の自由」に関してはポーランドは自由度が高いのだが、これ以上の個人の自由とは何だろうか想像がつかない。

私の「デモクラシー」と彼らの「デモクラシー」の概念は違うのであると痛感した。

このコロナ禍で

「マスクの義務化に対する反対運動」

「ジムなどの運動施設閉鎖に対する反対運動」

「レストランや公共施設・文化施設閉鎖に対する反対運動」が以前から起きていたのだが、何故だろう。

マスク装着義務化も施設閉鎖も私にとっては必要なことであると感じる。

日本では元からマスク装着・毎日の入浴は日常であったし、欧米のような不特定多数の人とのハグ・キス文化は無い。

だが、この国にはマスク装着や毎日入浴する日常はない。誰とでもハグ・キスをする。

このような文化を踏まえて感染防止としては当たり前のことを政府はした訳だと感じる。

ジムでは不特定多数の人がシャワーを使い、汗をかいた体でトレーニング機器を使い、マスク装着しながらのトレーニングは不可であろう。

公共施設でのイベントの主催者とゲスト間のハグ・キスは普通にあるし、ゲスト間の距離も近い。

最も、法律という「ルール」を守ることが嫌いなポーランド人には厳格なルールを課さないと危機感を感じないということが大きいのではないかと思う。

改めて日本人の「ルールを守る」という意識、「他人に迷惑をかけない」という気遣いは海外には無いようなものだと実感した出来事だ。


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