信頼の、架け橋。
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信頼の、架け橋。

医療情報は健康に直結します。

だれもが、健康でいたいと願っています。

そのニーズに答えるように、ネット上の医療情報や書籍はすさまじい勢いで増えています。

たとえばAmazonで、『アトピー』と入力して検索するとたくさんの書籍が検索できます。しかし、専門医の私の目からみると首を傾げざるを得ないような書籍が多く混じっています。

医療や健康に関して出版されている多くの書籍が、出典無く不正確な情報を元に書かれている状況であり、それらの書籍は本当の健康をもたらさないという意味で「健康本」と称されています


そして、意外にも口コミ評価が高かったりします。私は、少し暗い気持ちになります。


しかし、直接『ニセ医学』として責めることはなるべく(たまにしてしまっていることもあるかもですが)控えることにしています。


残念ながら、医療には『絶対』を求めることができません。


医学は『より』効果の高い、『より』安全性の高い治療を求めてゆく、すなわち確率をあげていくことしか出来ません。
そして、ゴールはありません。

もしかすると眉唾に見えるこれらの『健康本』の治療の中には、これから認められる治療が発掘されるかもしれません。
そして、病に囚われた患者さんは、得てして分かりやすい、それら『健康本』を手に取ることがあるでしょう。

ただ、そのような『健康本』には、大きな問題があります

多くは、当てずっぽうな推論で理論を組み立てていることが多く、出典が明示されていないことです。


医学はサイエンスです。

サイエンスは、再現性のある事柄を探し、より確率の良い未来に向かう。その繰り返しです。

私は、2年半以上、医学論文を簡単に翻訳してご紹介するブログを運営しています。そしてずっと、「出典の明らかな研究結果」を共有しましょうと表明してきました。

私はもちろん、「正しさ」をよりどころにしています。しかしあえて、「正しい」研究結果を共有、とは言っていません。


もしかすると、『健康本』を書いている方も、自説を「正しい」と信じているのではないでしょうか。


自分自身が「間違っている」と思って
その立ち位置に居続けることは、
多くの人にはできないことなのです。


世界で一番権威のある医学雑誌から発表された報告でさえ、覆されることがあります。私は、ある説が覆されることが悪いことだとは思いません

そこに、科学的な議論があり、反論できるだけの理論が構築され、その結果、『より正しい』と思われた説がこれまでの説といれかわる。


それが、サイエンスとしての
健全な姿だと思います。


ウェイクフィールド事件をご存知でしょうか。

英国の医師であったアンドリュー・ウェイクフィールドは、権威のある医学雑誌であるLancetに、三種混合ワクチンで自閉症になるという論文を1998年に報告しました。
その後、この論文は捏造であることがわかり、ウェイクフィールドは医師免許を剥奪されるという事態に発展しました。

ウェイクフィールド論文はいまだに一部では影響力を持っていて、予防接種を忌避される原因になっていますが、それでも撤回まで至ったのは、『出典が明らかだから』追求できたからでしょう。

医学論文として検証できる状況なく、ウェイクフィールドが自説をとなえているだけでは、医師免許の剥奪まではいかなかったかもしれません。


ウェイクフィールドと同じような自説を、「健康本」として世に出していることが問題だと思っています。

このような理由で私は、出典が明らかになっていない医療記事を基本信用しません

特に、『〜と言われています』とか、『~だと思われます』という表現に出典が示されていない場合、その考えを自分に取り込むことに慎重です。

私は良く、医学雑誌に医学に関するレビューを書きます。そのとき、できる限り出典を示すように努めています。

自分の考えを書きつらねるのは、実は簡単です。出典をまとめていくのは、はるかに大きな労力や時間が必要です

でも、それがサイエンスの徒としてのあり方と思うので、できるだけ頑張ることにしています。


医学は個人ブロガーとしては参入を控えた方がよい分野。

残念ながら、現状、検索エンジンに正しい医学情報を見分ける能力はありません
2017年12月にGoogleは、医学や健康に関する情報の検索アルゴリズムをアップデートしました。
信頼できない大手サイトのみならず多くの信頼できる個人サイトが圏外にとばされてしまいました。

結果として、良質な個人ブログにはたどり着きにくくなりました。

Googleの「健康アップデート」は、良質なサイトも、悪質なサイトも減らしたのです。

しかし、自発的に良質な記事を書き続け活発なディスカッションがされている医療ブログも生き残っています。いわゆるアフェリエイトを目的とした医学ブログは減り、良質なブログが残されたのかもしれません。


是非、ご自身の眼で、それぞれの個人ブログやサイトを覗いてみてください。

そこに「出典」は明記されているでしょうか?

出典をもとに理論的に組み立てられているでしょうか?


信頼できる医療情報が、そこにはあります。


そして、その信頼できる医療情報を共有しませんか。

これらのブロガーさん、そして読者さんが、信頼できる医療の輪を少しずつ広げています。


その輪は、
根拠のない医療情報を減らしてゆくチカラになると
私は信じています


当たり前ですが私は、すべてを見通すことなんてできません。むしろ、毎日毎日、知らないことばかりだと自覚しています。薬剤師も医師も限界のある「人」なのです。

でも、自分に関わる方々に、できればより良い未来に繋がって欲しい。

自分で可能な範囲の情報を発信して、共有し、信頼できる人とその輪を広げて行きたいと考えています。


そこにはきっと、信頼という名の架け橋がかかる。




『たてよ!薬剤師(&医師)』イベントに参加された先生方

青島周一先生
山本雄一郎先生
けいしゅけ先生
Fizz 先生
るるーしゅ先生
みやQ先生
リンコ先生
たけちゃん先生
にいやん先生
やくちち先生

他総勢30名


※私は小児科医ですが、「たてよ薬剤師プロジェクト」の趣旨に賛同して、この記事を書いています。

ブログ「小児アレルギー科医の備忘録
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ほむほむ@アレルギー専門医

noteでは、ブログでは書いていない「まとめ記事」が中心でしたが、最近は出典に基づかない気晴らしの文も書き散らかしています(^^; この記事よかった! ちょっとサポートしてやろう! という反応があると小躍りします😊

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日本アレルギー学会専門医・指導医。日本小児科学会専門医。 様々な医療サイトで執筆中。出典が明らかな医学情報の共有で皆さんの幸せにつながりますように。 ※特定の団体の意見を代表していません。 ※ヘッダー&アイコンは青鹿ユウさん。