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テイクアウトにおける調理や食材選定の注意点

私はフードトラックでの飲食店開業準備をしていますが、フードトラックでの料理の提供はテイクアウトが中心になると思っているため、テイクアウトにおける調理や食材選定で気をつけなければいけないことを、まとめておきます。

基本は「冷める前提」

テイクアウトは基本的にお持ち帰り時間が発生するので、熱々で食べてもらう前提ではいけない。また、お客さんが必ずしも持ち帰った後で電子レンジなどで温められるとは限らないので、基本的には、冷めた状態(常温くらい)でも大きく品質が変わらない調理を施すこと、また食材の選択が大事だと思う。

温度変化による味覚の変化を加味する

冷める前提で考えると、冷めたときに味が適切なバランスになるように味付けをするのがいい。

基本的に、温かいものは、60℃~70℃、冷たいものは、5℃~12℃が適温といわれていて、それ以上や以下であると、熱すぎる冷たすぎると感じたり、ぬるいと感じたりします。感覚としてはわかりますよね。冷たいものは氷などで冷やすとして、あついものはまあ少しぬるくなって40~50℃くらいになると考えるとちょうどいいのではないでしょうか。

そして一番考慮しなければならないのは、味覚は温度変化によって感じ方が変わるという点です。熱々の状態で「抜群にうまい!」と思っても、少し冷めたら味のバランスがぐちゃぐちゃに…そうなってしまうことは避けたいですよね。

塩味苦味は、温度が上がると感じづらくなり、低くなるほど強く感じます。コーヒーが温かい時はそれほど苦味を感じないのに、冷めると苦く感じることありませんか?それは温度変化による味覚の変化です。

甘味旨味は、体温に近い温度で一番強く感じ、体温から離れるにしたがって弱く感じます。

酸味は、温度による影響を受けづらく、温度変化による味覚の変化は少ないです。

これらの温度による影響を考えると、アツアツの料理が冷めたときには、「酸味は変わらず、塩味、甘味、旨味、苦味は強く感じる」といった感じ方の変化が生じます。

なので、熱々のときは若干味が薄いかな?と思うくらいで味を調整するのが適切なんじゃないかと考えます。もちろん、冷めた状態で味見をするのも大事です。

油の融点を加味した調理と食材の選択

自分の家で揚げたコロッケが時間が経つとべちゃべちゃするのに、お肉屋さんで買ったコロッケは時間が経ってもサクサクしている、といったことを経験されたことがあるという方もいると思います。

これは、揚げ油の融点の違いによって起こる現象です。油によって融点が異なり、時間経過による食感の違いもあるので、食材の選定が重要になります。

先ほどの例でも上げましたが、お肉屋さんでは揚げ油としてラードが使われていることが多いです。ラードは融点が27~40℃と言われていて、常温では個体となるため、冷えたときにコロッケの衣がべちゃべちゃしません。しかもラードは人間の体温で溶けるので、美味しく食べられます。

そう考えるとテイクアウトにおける揚げ油のチョイスはラードが適しているかもしれません。(もちろん上げる食材との相性もあるので一概にラードが最適とは言えません。)

逆に牛脂は、融点が高く40~50℃と言われており、冷めてしまうと、口に含んでも油は溶けません。つまり牛脂をかじる感覚に近くなります。美味しくなさそう…テイクアウトにおいては、牛肉や牛脂で揚げることは避けるのが適切かもしれません。

冷めても美味しいを目指す

まとめです。

温度変化による味覚の変化と、油の融点の観点から、テイクアウトの料理の注意点について書いてみました。

季節や天候、その他温度変化による風味の変化など、まだまだ考えるべきことはあるかもしれません。

料理は美味しいが大前提です。冷めてしまうと美味しくないのでは、テイクアウトで料理を提供する前提を満たせないことになります。一流の飲食店はテイクアウトしても家で適切に調理すれば美味しくなるように工夫されています。

こだわり抜いて美味しい料理を提供できるようになりたい。

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