言ってはいけないMリーグチーム紹介4(U-NEXT Pirates・赤坂ドリブンズ)

全4回連載の4回目です。

※年明けの試合も始まりましたが、ptは年末までの結果です

U-NEXT Pirates -55.9pt

小林剛 +58.2pt
個人的な話なのだけど、自分は「他の人からどう思われるか」気にしないタイプ。かつ、他者への共感性が弱く協調性もない。自覚しているとともに、適性検査でも毎回そのような傾向が出る。最近、アスペルガーまでいかなくても近い傾向があるのではないかと疑っている。なんでこんなことを書いているかというと小林にも同じ匂いを感じるのである。小林のように「ロボット」までは周囲に言われないので自分の方がまだ人間味あると思うけれど、年齢も同じということもあって勝手に親しみを感じている選手である。

麻将連合-μ-というマイナー団体にいながら、知名度があり団体を超えた各種テレビ対局や天鳳名人戦の常連。その独特なキャラが受けているのか、発信力があるのか、隠れた政治力があるのか謎である。

デジタル派の代表格と言われているように、合理性を追求し鳴きを積極的に使うタイプ。ゆえにネット麻雀勢からの評価も高い。実戦では常にポーカーフェイスで安定した麻雀を打っている印象。常に平常心で不運な放銃等があっても気にしないメンタルの強さがある。本質的にはリーダーシップを取るタイプではないと思うけれど、パイレーツのメンバーの中では彼しか「船長」の適任がいないし、なんだかんだで人柄の良さや安定感がある。

Mリーグにおいては連盟プロが多い=メンゼン重視の打ち手が多くゆったりした展開になることが多い中で、少し苦戦している印象。ここからの巻き返しを期待したい。ポジション的には盤石なので、今後もプロ麻雀界において長く活躍し続けるでしょう。


朝倉康心 -65.3pt
天鳳(四人打ち)においてほぼ不可能と思われていた天鳳位に誰よりも早く上り詰めて僕たちを置いてきぼりにした伝説の打ち手。天鳳民の夢を背負っている男。麻雀に対するストイックさも好感が持てる。
その反面、インタビューでコミュ障っぽさを見せたり、ツイッターでヘラってみたり、批判されると急にキレてみたり、奥さんに主導権を握られている様子を公表したり、麻雀以外の立ち回りは幼さが目立つ。結果的に一般ファンにも身内の天鳳勢にも呆れられたり叩かれたりすることも多く、見ていて非常にもどかしい。
リアルでもASAPINらしさはそのまま。読みを駆使してギリギリまで踏み込むこともあれば、終盤に天鳳仕込みのケイテン取りにいくこともある。Mリーグのシステム(セミファイナル、ファイナルと進むにつれてポイントが半減される)に適合させていると思われるが、今シーズンは押し引き選択が消極的に見えてしまうこともある。逆に勝負に行った局面でめくりあいに負けて沈む不運なケースも多い印象。「もっと圧倒的に勝って欲しいのに・・・」というもどかしさはあるが、最終的には結果を出してくれるはず。朝倉が活躍すれば、山田独歩など次の天鳳勢にもチャンスが出てくる。Mリーグのみならず、自団体のタイトルを獲得していければ自信や風格も出てくるだろう。

石橋伸洋 +14.4pt
石橋が東風荘からプロの世界に入っていったのは有名な話。「轟音」という恥ずかしいIDで東風荘を打っていた自分からすると親近感あり。自分もネット麻雀でクソ鳴きを覚えたタイプなのだけど、ネット麻雀はクソ鳴きが快感になるところがある。とはいえ、歳を取るとだんだんクソ鳴きが恥ずかしくなってくるもの。その中で、アラフォーになってMリーグという場でクソ鳴きをしている石橋は凄い。鳴いて手の内がバラバラ、捨て牌1段目からのケイテン狙い、一発消し、ハイテイずらし、無理染め、裸タンキなどなど・・・。同じ鳴きタイプとしては園田がいるが、彼とは違って石橋の鳴きはユーモラスな印象を受ける。他の追随を許さない卓上のエンターテイナー。ここ数年タイトルから遠ざかり最高位戦リーグ戦でも不調の中でMリーグに選ばれているのは、個性的なクソ鳴きのキャラが活きているのかもしれない。Mリーグでは昨シーズンの結果がいまいちだったこともあり、出るたびに何か魅せてくれるネタキャラ扱いになっている感もある。ここから獅子奮迅の働きでパイレーツをセミファイナル、ファイナルに持っていくことができれば、ネタと強さの両輪が評価されポジションが確かなものになるだろう。逆に結果を残せなければ戦犯扱いされて崖っぷちのポジションに追いやられる可能性あり。

瑞原明奈 -63.2pt
追加ドラフトで加入。タイトルホルダーではないが、「最高位戦ライン」+「天鳳での実績」+「スリアロでの人気」など条件が揃っている中での指名と思われる。美人、高学歴(早稲田)、ロジカルで流暢な喋り、子供2人の育児中で家庭も幸せそう、という恵まれハイスペック感。男性トッププロは高学歴の人も多いが、女流プロは派手さ優先のタイプが多い。その中で瑞原の知的で育ちが良さそうな雰囲気は明らかに異質で、人気を集めているのも納得。牌理に強く打牌スピードも速い。天鳳は八段九段エレベーター組ということだけど、これはかなりのレベル。自分は「七段八段エレベーターのたまに確変が来て九段」というレベルなので、七段に降段しない力があるのはリスペクト。女流プロの中でも実力上位と見る。女性1人必須ルールになってのドラフト指名で、実力と人気の合計値を考えた時にパイレーツが一番良い補強をしたのではないか。
麻雀はオーソドックス。シンプルにテンパイに向かいながら愚形リーチもいとわないタイプ。受けに回った時はしっかりと受ける巧さがある。今は若干沈んでいるが、おそらく回を重ねることで安定してくるのではないか。

チーム評価B
デジタル勢、あるいはアンチ連盟勢からすると、応援するチームはパイレーツかドリブンズとなる。更に天鳳勢となれば天鳳位ASAPIN=朝倉を擁するパイレーツ一択となる。連盟中心の他チームの中でパイレーツが勝ち切ることを期待していた天鳳ファンも多かったはず。瑞原の加入でファン層は更に大きく広がった。しかし、昨シーズンも今シーズンもそこまでの勢いがない。今シーズンは昨年の覇者ドリブンズが大きく沈んでいる中でパイレーツも精彩を欠き、連盟チーム優勢な勢力図にさせてしまっている。いろいろ理由があるのだろうが、前半戦で朝倉が温存気味だったことも残念だった。石橋はクソ鳴きという芸があるが、他のメンバーは王道の麻雀の為、負けると絵にならないところがある。ほぼ理想的なメンバーなので、結果がついてくることを期待したい。


赤坂ドリブンズ -363.7pt

園田賢 -195.7pt
最高位のタイトルはないものの、キャリアは長くAリーガーの実力者。灘高出身という時点で地頭MAXの神童と見るし、そこからSFCに入るも安定を捨てて麻雀の道に入り、ここに来て会社員も辞めるという猛者。そういうバクチを打てなかった者としては、自分にもあったかもしれないもう一つの人生を生きている彼に一種の羨望を感じる。スポンサーの絡みもありドラフト1位のエース格。参加型というか鳴きまくりの麻雀で、うまくハマった時のアクロバティックなアガりも楽しいし、リーチを打たれて手詰まりしながらギリギリ凌ぐ姿も見ていて楽しい。Mリーグは腰の重い打ち手が比較的多いので、キャラが立っているとも言える。今シーズンは成績も振るわず、「誤って伏せたことの記憶が無い」事件もあり、とにかく苦しんでいる。既に悲壮感がある中で、会社員を辞めたら更に悲壮感が出てきそうなのが心配。ただ、今まで以上にプロとしての発信が増えてくると思われるので、それは楽しみである。

村上淳 98.8pt
近藤と並ぶ最高位戦のエース。リーチ超人と呼ばれるように、メンゼンを中心に高打点を狙う重厚な麻雀という印象。箱下からアガりまくり、メンホンチートイ一発ツモの8,000オールで勝ち切った一戦が印象的だった。攻撃にフォーカスされるが守備も丁寧なところがあり、成績も安定している。同じ最高位戦の園田より実績は圧倒的に上にも関わらず、ドリブンズ内では園田、鈴木に次ぐ3番手ポジション扱い。本チームにおける外様の鈴木よりも試合数が少ないという冷遇ぶり。一番安定感もあり計算できる選手なのだが、謎である。挨拶の声も大きく、礼儀正しい人、人柄も素晴らしい。ただ、熱くなりやすいタイプなのか、ベタオリなのに強打したり、息が荒くなったり、「マナー的にどうなの?」という所作があるのが残念。

鈴木たろう -156.8pt
Mリーグにおけるプロ麻雀協会代表枠ポジション(何せ2人しかいない)。抜群の実績を持っていて、ドラフトの指名順が3位だったのが不思議なくらい。独自の手組や鳴きをし、ブラフも厭わないタイプ。昨シーズンのファイナルではまさに神のような圧倒的成績を残した。一般的なセオリーにとらわれず、得な選択にこだわるというスタイル。しかし、その反面でムラがあるようにも見える。チートイのアガりをスルーした後に四暗刻ツモられるとか、他家がテンパイ気配で自分が愚形残りリャンシャンテンにも関わらずカンをしてみたりとか・・・ 「本当にそれが得なの?」という選択も多く、結果的に今シーズンのチーム低迷の一つの要因にもなっている。
固定メンツの心理戦・条件戦には長けているけれど、一次リーグの仕組の中ではそこまで良さが出ないタイプなのかもしれない。ファイナルに行けばまた鬼神のような活躍をしそうだけれど、今シーズンはそこにたどり着けるのかが問題。

丸山奏子 -110pt
育成枠というドリブンズのよくわからない方針の被害者。基本的な牌理の弱さに加え、打牌の遅さや泣いてリーチするところなど、勝っても負けても見苦しい部分が多すぎる。高宮や岡田レベルの人気があれば技量不足も許容されるのだろうが、丸山はそこまでの知名度はないので、いずれにしてもMリーグの舞台に場違い感がぬぐえない。
自分の麻雀が固まっていない状況で複数のコーチ役がついているのも不運。自由に打てていないように見える。本人の気持ちや力量が未熟な部分もあるのだろうけど、そもそもチーム内のプレッシャーが強すぎるのかなと邪推してしまう。普段のキャラクターは明るいのに、Mリーグの時だけ悲壮感漂いすぎである。チームの現状は丸山のせいではないので、もっと肩の力を抜いて明るく楽しく麻雀を打って欲しい。


チーム評価B
実力者が揃っているにも関わらず、ダントツの最下位。通常であれば同情したくもなるところだが、不思議とそういう気持ちにならない。まずは丸山の指名について「育成枠」という謎の説明からケチがついたと思う。監督の本業が博報堂で最高位戦にも所属。丸山もそのラインからの指名という中で、出番が決まっているといってなかなか出さなかったりとか、ノートを毎回みっちり書かせるとか、泣き出しちゃったりとか、博報堂(グループ)の企業イメージとあいまって、体育会系のパワハラ体質なのかと思ってしまうわけです。内情はわからないので邪推でしかないのだけど、印象としては「上司が新入社員を理不尽にいじめている」ようにしか見えなかった。
並行して、明らかにグロッキー状態の園田が翌日初戦にまさかの登板というのもあった。これは本人の志願かもしれないけれど、結果は最悪のラス。仮に志願があったとしてもゆっくり休ませるべきで、これも監督の采配やチーム体質に疑問符がついた出来事だった。「各選手は魅力的なのだけど、監督が・・・」という印象。
奇跡の巻き返しに向けては、村上がムードメーカーとしてもポイントゲッターとしてもキーマンになりそう。園田が不調の時は素直に村上の登板を増やして欲しいところ。また、丸山は最低限の登板という形になるだろうが、今シーズンはやむを得ないのではないか。

以上。

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