憧れの女性像と今の私

 年は初老。髪は年相応に白髪混じりなものの、量が多く豊かで、綺麗にケアしてロングヘアをキープしている。それを低めのシニヨンにしたりハーフアップにしたり、いつも清潔感のあるアレンジを楽しんでいる。化粧は日焼け止めに白粉を少しと、唇に紅をそっと引くくらい。派手さはないが、肌は隅々まで手入れが行き届き、シミのないふわっとした質感。さりげなく、ふわりと香水の上品で甘い香りがする。小柄だが背筋がピンと伸びていて、立ち姿も座り姿も凛としている。
 物腰が柔らかくて話し方も仕草もゆっくりと上品。だけど、ユーモアたっぷりで表情豊か、可愛らしい範囲の変顔も得意。相手のペースや場の空気に飲まれたり、必要以上に卑下したりはせず、毅然とした態度を貫く芯の強さがあるものの、威圧感はなく嫋やかさを保っている。
 洋服は上質で、生活スタイルに合ったものを厳選している。柔らかく着心地がいいが、家で手入れできるニットや、足型に合った質の良い5cmヒールのパンプスなど。いつも、自分に一番合った似たようなシルエットを貫いている。しかし、和装もできて、週の半分くらいは和装。成金感は全くないが、生活には余裕がある。
 趣味は料理と読書と旅行。運動も欠かさず、自宅でのヨガやストレッチなど、お金をかけずに日々の中で体を動かすようにしている。掃除を欠かさず、家はいつも整理整頓されている。
 SNSは現代の嗜みと捉え、アカウント自体は作っているが、日頃はほとんど見ない日記を兼ねていわゆるハレの日のみ投稿し、投稿ついでに友人の投稿を見るくらい。日々の日記は別に手書きで何年も書き続けている。
 実はスポーツカーに乗っていて、休日は友人や家族とドライブを楽しんだりもする。さまざまな年代・国籍の友人がいる。

 憧れの女性像について考えてみると、今からすでに実践できそうな項目(太文字部分)が多々あることに気がついた。今できることをやってなくて、いざ初老になった時にできるようになっているわけがない。
 しかし、今はしっかりポイントメイクが欠かせない…眉マスカラを使い出すと、どうも使わずにはいられないようになってしまった。眉マスカラをするとしないとでは、眉のふんわり感、垢抜け感が全然違うのだ。特に今は、ヘアカラーが明るいベージュだし。ビューラーでまつ毛をしっかり上げないとなんだか気が済まないし。中途半端に落ちてきたまつ毛に、ダマになったマスカラが乗ってるよりは、何にもしてない目元のほうが綺麗なんだろうけど…。いや、どうだろう。中途半端でもちょっとくらいダマでも、くっきりまつ毛の方が安心感がある気がするぞ、私は。
 相手のペースに飲まれないって言うのも非常に難しい。私はすぐヘラヘラへりくだってその場を凌ごうとする癖があるし。洋服だって、昔に比べればだいぶ系統が定まってきたものの、相変わらず量は把握しきれないくらい多い。整理整頓は大の苦手(綺麗好きの夫に呆れられるくらい…!)だし、SNSも気付けば何10分、いや、何時間もダラダラ見てしまうこともザラにある。

 憧れはこれほどまでに遠い。今の私には耳が痛い内容ばかりだが…耳が痛い部分は、自分でも本当は解消したいなと思っている項目のはず。とりあえず、目の前のテーブルの片付けから始めるとするか…。

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