モデルに腕毛!!すごいよFUDGE!!

モデルに、腕毛が!!!!!

思わず、二度見。見間違いじゃないかと思って、目を擦ってもう一度見る。
間違いない、腕毛だ!!!!!
次のページも、次のページも、なんなら腕だけがアップになった切り抜き写真でも、彼女の腕には、均一に柔らかそうな腕毛が生えていた。

私は…。
心底感動した。
しみじみと、心に広がる何かがあった。

 どの雑誌を見ても、赤文字系の雑誌では特に、モデルの肌は顔も体もピッカピカだ。どれだけ目を凝らしたって拡大したって、毛穴もシミもシワも、もはやキメの三角形すらない。そんなフィルターかかりまくりな美肌の上では、腕毛なんて、そもそも議論の俎上にも上がれない。
 そんな中で、FUDGEのこれはすごいことじゃないか?毛が生えてるんだぜ??モデルの腕に!!!!

 そりゃFUDGEのモデルさんはみんな外人さんで。黄色人種の私たちからすれば、何しててもおしゃれに見える、魔法のような存在ではあるけれども。それを差し引いてもやっぱり、日本の女性誌で、女性モデルに腕毛が生えているって、とんでもなくすごいこと、素晴らしいことだと思わずにはいられない。
 日本で電車に乗れば、いやでも目に飛び込んでくる脱毛の広告。実際、現代日本の若い女性で、腕や脚の毛をありのままにしている人は少ないだろう。少なくとも私の周りでは、腕毛が生えた女性は本当に見ない。女性の間ではもはや義務になりつつある脱毛だが、冷静に考えたら、金銭的に決して豊かではない一般女性たちが、一生懸命ローンを組んで何十万もする契約をするなんて、異常じゃないか。
 自分も死にたい盛りの23歳で、なんとかお金を工面して医療脱毛の契約をした身であるが、その時感じたのは、長年の願いを叶えた喜びでも達成感でもなく、「これで美しさ(少なくとも美しくあろうとしている努力)=女性としての価値が担保される」という安堵感だったように思う。
 そして、抱いた感情は安堵感だけではない。根底には、社会への怨嗟と、絶望と、煮えるように黒い怒りもあった。

なんで女だけ、体に毛がないことがスタンダードになってるわけ?
誰一人欠けることなく、男も女も関係なく、毛は生まれた時から生えてるんですけど!!!!!!
体から毛をなくすことだけに使われる、私の、30万…!!!!!!!!!
女も毛が生えてるのが普通の社会だったらなぁ。それか、女はムダ毛がないのが普通って言うんだったら、もうこれ保険適用にしてよ、せめて。
女性だけが除毛を強いられるヘルジャパン。あぁ、男はいいなあ。ナーンにも考えないで、ありのままで生きていられて。ブサイクが許されて。いいなあ。いいなあ。いいなあ。いいなあ。

……こんなネガティブな大金の使い方、他にある?

 そして、これだけブーブー文句を言っている私だが、こんな私ですら、アラサーになった今も、腕毛も足毛もせっせと剃らずにはいられない。れくらい、女性たるものムダ毛が生えていてはならないという強迫観念は、強い。
 腕毛も脚毛も生えっぱなしなんて、人から一体どう思われるだろう…!
 その恐怖と不安を味わうぐらいなら、多少肌荒れしても、とりあえず剃っておく方が精神衛生上良いと感じるのだ。悲しいことに、もう「仕方ないね」と半ば諦めて、受け入れてしまっているのだ、“女はムダ毛がない方がいい”という世の中の価値観を。

 今月の FUDGEは、そんな憎しみと諦めが混濁した私の心の暗がりに、一筋の希望の光を差し込んでくれた。もしかしたら、私の娘が年頃になる頃には、女性の体毛も当たり前になっているかもしれない、という光。
 以前、職場でのハイヒールの強要撤廃を求めて盛んに叫ばれたKuToo運動も、美しさや社会に求められる女性らしさより、健康や快適を優先する権利を主張するものだった。今や、女性たちの足元はパンプス一辺倒ではない。柔らかいローファー、機能性重視のぺたんこシューズが雑誌にも頻繁に登場している。
 それと同じように、体毛だって、男も女も関係なく、あってもなくてもどっちでもいいという価値観の世の中がきっとそのうち来る!そんな気がする。

 きっと私は、今日も風呂場で腕毛を剃ってしまう。女性も体毛が生えていていい社会を切望しながら、自分はというとそれを体現できないというのはちょっぴり情けない。でも、せめてこの記事をnoteに投稿することで、現状打破のための石は投げることはできたと思う。小さな石かもしれないけど… うん、私は、今の私にできる精一杯のことをした!

 美人百花や、Oggiや、バイラなどの純日本赤文字系ファッション雑誌にも、いつか腕毛や脚毛の生えたモデルが登場する日が来るのかもしれない。私はその日を、心待ちにせずにはいられない。

この記事が参加している募集

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?