見出し画像

お正月の集い。東軍西軍の決起

 せっかくnoteというものに登録してるので、エッセイ的に徒然と綴ることにしました。
今回はこの時期ならではの話題、親戚のお正月の集まりです。

 子供の頃、誰しも経験したことがあるのではないでしょうか。
お正月になると、父親と母親双方の実家へ挨拶へ行く季節恒例行事。
おじいちゃんおばあちゃんがいれば、顔を見せに行く数少ない機会でもありますね。
勿論その家、その家の独特の雰囲気というものがあるわけで、うちの場合それが父方の実家、母方の実家で極端に違っていました。

 まず父方の実家。お正月は「山賊の宴会か?」というくらい騒ぎ倒します。
ギャハハハとおじさんたちの笑い声があちらからこちらから大音量で聞こえ、おばあちゃんは息子たち(私からすると叔父や伯父たち) を叱りつけ怒号を発し、誰かがテレビを破壊し、酔って倒れ、猫は追いかけ回され…。
そして、必ずこの家の親戚たちに口を揃えて言われるのは、
「敬語なんて使うな!もっと羽目を外して騒げ!」だったのでした。
当然、私はそんな大人たちの悪ノリについていけず、ゲームオタクの従兄弟に連れられ、子供たち同士ゲームをしてまったり過ごしていたのですが。


 一方、母方の実家。とにかく礼儀正しく、粛々とお正月を迎えます。
三つ指をついて、正月の挨拶。全員敬語。
食事の後は、祖母が「さぁみんな疲れたでしょう」と真っ白い布団を敷いてくれ、昼寝を勧めてくれる。
静かで、ちょっと堅苦しくて、子供だからといってはしゃいだり騒いだり決してできない雰囲気。
キチンと着せられた七五三に似たカッチリした服が息苦しく、「大人と同じようにキチンとしなければ」という形のない圧を感じていました。

 この二家を連日挨拶まわりし、
子供ながらに、「果たしてどちらの正月が正しいのか。そして私はどちらの家の雰囲気に順応すればいいのか…」と悩んだものでした。

父の実家は下町床屋の家で、母の実家は公務員系の家なので、今思えば家業の特色が顕著に現れていたのかもしれません。
自分の中には確かに、わーーっと騒ぐのが大好きなお祭り気質もある一方、基本的には静かでおとなしい性格もあるのです。
私は一体どちらの性格を解放すべきなのだ…?

 迷い悩みながら子供時代は過ぎ、結局答えは出ぬまま大人になってしまった感があります。
"いいかげんで大雑把でお祭り大好きな、変に神経質でバカ真面目" な私の誕生です。

…ときどき、私は頭の中で、この両家がケンカしてるのを感じます。
もしかしたら、私の描く絵にもそれは顕れてるかもしれませんね。それが持ち味だったりしないかな。

みなさんのお正月集会は、どんな過ごし方をしていましたか。またそれは、成長した自分にどんな影響をもたらしたでしょう?

左が父方の実家のある品川。
右が母方の実家のある中野を描いた絵です。
雰囲気の差を比べてみたく、制作してみました。


ご支援頂けますと、個展や企画展、画集発行、グッズ制作などに尽力できます!どうぞよろしくお願いいたします。