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貯留したCO2の利用法あれこれ

別ページで述べているように陸上で排出されたCO2を回収し、赤道反流上にあるフロートと港をシャトルする合成メタンタンカーやアンモニアタンカーにドライアイスまたは液化した状態で運び、フロート下面に設置するエアバッグで水中貯留する方法は、今いろいろ言われている他のCO2回収・貯留方法ー例えば地中貯留などーに比べて簡単至極であり、コスト面でも環境負荷の面でも圧倒的に優れた方法です。それに何と言ってもCO2を水中貯留すればほとんど無尽蔵に貯留できますから、大量に排出されるCO2の行先としては最適です。

しかし、ただ貯留するだけでは能がありません。邪魔なものをしまい込むだけでは原発の放射性廃棄物と同じ発想になってしまいます。                                                     CO2は原発廃棄物とは違います。私達が排出せざるをえないCO2であっても、それを上手に吸収したり循環させることで地球の環境を優しく保つことが出来ます。これは植物達が何億年もの間、一日も休まずに行ない続けてきたことですが、産業革命以降急増した人類の排出するCO2の量は植物に吸収してもらうには多くなり過ぎました。私達はCO2を大気中に拡散させて地球を温暖化させないためにも、自分達で始末をつけたいものです。                         それは出来ないことではありません。先ずは化石燃料の消費を減らすこと、地球の緑を増やすこと、そして、それでも排出されるCO2をリサイクルさせることです。ただ、CO2のリサイクルには未だに効率のよい手段が見つかっていませんが、赤道反流上に設置される広大なフロートには、CO2を貯留できる水中スペース、ほぼ無料・無尽蔵に生産できる自然電力とグリーンH2、それに豊富な水と太陽光エネルギーがありますから、億㌧単位のCO2のリサイクルセンターの役目を果たすのに最適な手段の一つです。赤道反流上のフロートではメタンガスの合成だけではなく、CO2を固定したり循環させる様々な利用法を試みることができます。

フロートでのメイン生産品になるであろう合成メタンにしても合成メタン単体では地中から勝手に噴き出してくる天然ガスや石油にコスト的に競争できません。だからと言って「合成メタンはCO2ニュートラルだから高くても買ってください」は通用しません。CO2の排出削減も「自分の利益や利権を害さないかぎり」という条件がつくと思わなければなりません。フロートの環境を最大に資源化して、他の章で示しているようにフロートでの多面的な生産活動により、消費企業とフロート運営者双方が利益をあげられる構造にする必要があります。ですから、ここでも合成メタンを例に引けば、天然ガスを産出して現に利益をあげている国や企業が投資してフロートのインフラ設備(フロート躯体、ソーラーパネル、水電解装置など)の一定面積とメタンを合成する工場船を確保して合成メタンを生産することが理にかなっているといえます。産出国のメタンガスはやがて枯渇しますが、産出国の政府や企業から見れば自分達で合成メタンを生産すれば、自国の天然ガスはその分備蓄に回せますし、合成メタンが出来たからといって産出国の政治的立場が弱くなるものでもありません。(備蓄といっても産出量を押さえればいいだけの話です。別に余分な資金のかかる話ではありません。)

CO2の貯留・再利用センターとしての赤道反流フロートの機能                                                                              十億㌧単位で可能なCO2の水中貯蔵と再利用                  太陽光から得たH2とCO2のサバティエ反応による合成メタンの生産                                                                             CO2濃度を増した環境下で植物プランクトンの大量集中栽培      フロートで生産するNH3と貯留したCO2による尿素製造

その他のフロート多目的利用                        フロートでのアンモニア製造                        海水からのリチウム採取                       海水からの水素マグネシウム製造                   工場船&補給船

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