【2023】わたしの今年の12冊

【2023】わたしの今年の12冊

#今年のベスト本

思い返せば、今年は思う存分読書をできた年でした。
Kindle Unlimitedやブックウォーカーなどの定額サービスを利用したり、本屋で一目惚れした本を衝動買いしたり、普段読まないジャンルの本を図書館で探してみたり。

特に小説は、めぼしい作品は読んでしまったかなと思っていたのですが、全然そんなことはなく。
読書沼は底無し沼。来年もなんだかんだ、沼に浸かり続けてそうです。

そんな私が選んだ、個人的ベスト12冊。順不同(思いついた順)です。


⚫︎『アリアドネの声』(井上真偽)

地下深くで遭難してしまった盲ろう者を、最新技術(ドローン)を用いて救出する。
サスペンスでありながらミステリであり、何よりドラマが熱い。
ネタバレを避けようと思うと、確信的なワードを避けて紹介しなければいけないのが難しい。
もう少しミステリ要素が強ければこのミス1位もいけたかも。ミステリジャンルにこんな読後感の作品がもっと増えてほしい。

⚫︎『スパイ教室』(竹町)


スパイ少女たちそれぞれが個性的で、何よりそれを率いる先生の最強キャラがおいしい。推しはグレーテ。理想のヒロインって感じ。
一気読みせざるを得ない意外かつスピーディな展開。魅力的な謎を提示して、こちらをぐいぐい引っ張ってくれるのが嬉しい。
個人的にはライト文芸寄りの売り方した方が読者層には合っていそう。社会現象レベルでもっと売れてほしい。


⚫︎『お探し物は図書室まで』(青山美智子)


よくある連作短編もの、と思って読んだらまんまと魅了されてしまいました。
図書室を訪れる人々の抱える悩みに寄り添った本を薦める司書・小町さんのチャーミングなキャラが素敵。
文章も物語もキャラクターも、全てが優しさでできている。そんな温かい本でした。

⚫︎『わたしの美しい庭』(凪良ゆう)


まず装丁が美しくてずるい。
上記の『図書室まで』が優しさで満ちているのに対して、こちらは辛い世界の中の一筋の光に焦点を当てている印象。
多様性が叫ばれつつも、人の心はそう簡単には順応できず。
そんな中で、大人びた少女・百音と、血の繋がりがない保護者・統理。そして統理の友人・同性愛者の路有。3人の優しい関係が心地良いです。

⚫︎『方舟』(夕木春央)

年末ギリギリに読了。
地震で地下空間に閉じ込められる、しかも脱出に時間制限アリ、というシチュが上述の『アリアドネの声』と被るのですが、読後の印象が真逆すぎて面白い。
読み終わったあと、空気が薄くなるような感じをリアルに受けました。


⚫︎『誰が勇者を殺したか』(駄犬)

手に取ったときの印象を裏切られた、という意味では一番はこれ。フリーレンブームの最中で出版されたのは幸なのか不幸なのか。
筋書きも最高なのですが、キャラクターもよい。プロットには多少粗さがなくもないですが、キャラの魅力で押し切ってきます。
続編が見たいというより、彼らの日常を描いた番外編がもっと見たい。

⚫︎『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』(斜線堂有紀)

『恋に至る病』と迷ったのですが、テーマ性の強さでこちらに。
命の価値と金銭的価値は互換できるものなのか。好きな人の死体が死後とんでもない価値を持つと知った時、その富が自分に入ってくると告げられたとき、その死を1ミリも願わないなんてことができるのが。
青春ものとしても、恋愛(悲恋)ものとしても美しかったです。

⚫︎『可燃物』(米澤穂信)

このミス1位!
短編集なので難しいかなと思っていたので意外でした。ミステリ読みは困ったら穂信先生に投票しとけばいいと思ってない?
決して派手な展開はない。しかし堅実な警察描写と、丁寧な謎の提示。これこそ米澤穂信、という安定感がありました。
シリーズ化してほしいなぁ。


⚫︎『6人の嘘つきな大学生』(浅倉秋成)

6人の就活生の中から1人だけが内定をもらえる、しかも内定者は就活生同士の話し合いで決める。
鬼かという導入から、予想通り繰り広げられる泥沼の議論。イヤミスここに極まれりって感じ。
が、小説後半で見える景色が一変します。なかなかネタバレ無しに語りづらいけど面白かったです。

⚫︎『星の子』(今村夏子)


『むらさきのスカートの女』もまぁ笑っちゃったのですが、『星の子』の方が圧倒的に好きなのでこちらで。
痛々しいテーマで境遇なのに、流れる空気はどこまでも優しい。
ラストシーンのあと、彼らはどうなったんだろうか、とふと考えてしまいます。


⚫︎『世界でいちばん透きとおった物語』(杉井光)   

はじめにトリックありきで物語が作られたのでしょうが、その肉付けとなる物語が、これ以上ないほどに嵌っています。
《気づいた》ときのゾワっとくる感じがたまりませんでした。
騙されまい騙されまいと、あらゆるパターンを予想しながら読んでいたのに、まんまとしてやられました。タイトルに偽り無し。

⚫︎『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(汐見夏衛)


実写化にまつわるアレコレでちょこちょこ叩かれたりもしていましたが、《中高生に勧めたい本》でこれ以上の作品はなかったです。
読みやすくて、しっかり共感もでき、恋愛のドキドキもあり、何より作者の強いメッセージが伝わってきます。
今の中高生と戦争との距離感。こんな時代だからこそ考えてしまいます。

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